番外編:アルの尻尾は気持ちいいね
今回の話は小話になります
翌朝レオンは息苦しさで目が覚めた。リリーがレオンを抱き枕のようにしてくっついて寝ていたのだ。
レオンがリリーの腕から何とか抜け出すと、パーティのメンバーは全員まだ寝ていた。窓から入る光もまだ薄暗い。
ゾイドは大きないびきをかき、ソフィアは布団に包まって寝ていた。アルは粗暴な態度とは裏腹に、横を向いて静かに眠っていた。
(アル、尻尾がついてる!!)
昼間は装備で隠していたのか、見えていなかった尻尾が布団の隙間から顔を出し、時折揺れていた。我慢ができなくなったレオンはアルの尻尾に近づいた。
(う、うわぁぁぁあ!ふわふわ!大きな猫ちゃんだ!!!)
前世の時から動物が大好きだった。もちろん許可などもらえるわけもなく、犬や猫を飼ったことはなかったが、学校の飼育委員などを率先して行うくらい、ふわふわした生き物が大好きだった。
アルはレオンが尻尾を突いたり撫でたりしても一向に起きる気配がなく、尻尾が時折動くだけだった。
ふわふわの尻尾を触っているうちにレオンもまた眠くなり、ウトウトとしながら布団に潜った。
♢
「た、大変!!!レオンくんがいない!!!」
翌朝リリーは青覚めた顔で叫んだ。
「リリー、うるさい・・・」
「ソフィア起きてよ!一緒に寝てたのにレオンくんがいないんだって!トイレにもいないし、どうしよう!!!ゾイド!ゾイドも起きて!アルも!!」
リリーがバタバタとみんなを叩き起こすと、
「・・・おい、いんじゃねぇかよ。」
とアルは自分の布団をめくり、アルの尻尾を抱き枕にしながら寝ているレオンを見つけた。
「キャ、きゃわいいいいいいい!!」
「このガキ、俺の尻尾を枕にするなんていい度胸だな。」
「ハハッ、子供に怖がられるアルが好かれるなんて、良かったじゃないか!よし、レオンくんも起きたら朝食を食べて出発しようか!」
「眠い・・・」
レオンは疲れが出たのか、この騒ぎの中でもアルの尻尾を大切そうに抱きしめ、すやすやと眠っていた。




