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第17話 鑑定スキルは特別です

 リリーたちがホームと呼んでいた場所は、カルラの屋台から数分歩いたところにある宿屋だった。

「今はここに泊まっているの。こっちの部屋だよ。」


 リリーに連れられて部屋に入ると、具合が悪そうにぐったりとしている大柄の男性と、男性を心配そうに眺める耳が尖った女性がいた。


(わぁ、あの人ってエルフかな?)


「ソフィア、ただいま。ゾイドの様子はどう?」

「リリー、アル、お帰りなさい。ゾイドに回復魔法をかけているけれど、変化ないわ・・・その男の子はどうしたの?」

「この子はレオンくん。屋台で偶然知り合ったんだけど、鑑定スキル持ちらしいの!」

「鑑定スキルを・・・?」


 ソフィアはレオンを険しい表情で見つめた。透き通るような白い髪に絹のような髪の毛。とても美しい女性だったが、その目つきはキツく、レオンはリリーの後ろに隠れるように身を潜めた。


「あー、レオンくん。ごめんね?あの子はソフィア。言葉はキツいけど優しい子だから大丈夫よ。」

「そんな子供が鑑定スキルを持っているなんて本当なの?信じられないけど。」

「まぁそれは俺も半信半疑だけどさ、とりあえず試してみたっていいだろ?ゾイドがよくなるかも知れねーじゃん。

 よし、ガキンチョ。あそこで寝ているゾイドを鑑定してくれ。」


 アルの言い方はバカにされているようで気分は良くなかったが、連れてこられた理由は苦しそうに寝ている大柄な男性、ゾイドの鑑定だった。レオンはそっとゾイドに近づき、ゾイドのステータスを鑑定した。


 【ゾイド:ヒューマン (35) Lv 30】


(レベルが高いだけあってか、全体的な数値も結構高いけど、特にDEF(防御力)は427、高いな。この人はタンクなのかな?にしてもINT(知力)やAGI(素早さ)は100程度って初期値から変えてないのかな・・・あれ?)


 レオンの表情の変化をソフィアは見逃さなかった。

「何かわかったの?」

「あ、えっと、その、ゾイドさんはどうして呪いの装備を付けてるんですか?」

「・・・呪いの装備!?どれ、どれのこと!?」


 レオンはゾイドが耳につけていたピアスの1つを指差した。

「【誘惑の石】でできているみたいで、幻覚の症状に襲われるって書いてあります。」

「これね!」


 ソフィアがゾイドの耳からピアスを外すと、うなされていたゾイドの表情が落ち着き、呼吸も安定した。

「・・・貴方、本当に鑑定スキルを持っているのね。」


 レオンが黙って俯くと、ソフィアはひざまづき、跪いてレオンの顔を覗き込んだ。

「貴方はゾイドの、いえ、このパーティの恩人よ。ありがとう。」

「あ、いえ、僕はその、そんな大したことは」

「レオンくん、ありがとう!隣町からゾイドがずっと苦しそうで、今朝からはもう動けないくらいになっちゃって困ってたの!鑑定士に頼むほどお金も時間も余裕なかったから、レオンくんに会えて本当に助かったよ!ありがとう!」

 リリーはレオンに後ろから抱きつき、レオンを持ち上げ嬉しそうにくるくると回った。


(うぅ・・・陽キャのテンション、キツい・・・)



 リリーの興奮も落ち着き始めた時、ゾイドが目を覚ました。ソフィアがレオンの鑑定の件を伝えると、ゾイドは深々とレオンに頭を下げた。

「レオン君だったね。今回は本当にありがとう!ずっと悪夢にうなされていてね、ここしばらくまともに睡眠が取れていなかったんだが、まさか呪いの装備を身につけていたとは・・・。

 君には何かお礼をしなければな!貧乏パーティだが、腐ってもBランクのパーティだからね、それなりの報酬は支払うよ。」

「いえ、僕はそんな、具合が良くなって良かったです。」

「オイ、ガキが遠慮してんじゃねーよ。欲しいもんはハッキリ言えよ。」


 アルはおどおどとしているレオンの態度が気に入らなかった様子で、イライラとしているのが伝わってくる。モゴモゴと話してしまうのは光の時からの癖だった。アルが大きくため息をつき、レオンはまたビクッと萎縮してしまった。


「・・・あのな、お前がやったことはすげーことだ。価値が分かってないようだけどな、鑑定のスキル持ちなら教会に行って証明して貰えばすぐに鑑定士になって一生食うことに困らないし、最低でも金貨100枚は今のでもらえるんだよ。自分のスキルにちょっとは誇りを持て!」


 アルはバシッとレオンの背中を叩いた。ジンジンとする背中の痛みに、レオンはハッとした。


(僕は、グズでノロマで何もできなかった前世とは違って、特別なスキルを持っている・・・このスキルがあれば、目標も達成できるじゃないか!!)


「あの!皆さんはBランクの冒険者さん達なんですよね?

 鑑定のお代は要らないので、僕をモンスターと戦わせてください!!!」


 レオンは大きな声でハッキリと、ゾイドの目を真っ直ぐ見つめながらそう要求した。

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