キミノコエデミチビイテ
キミノコエデミチビイテ
制作:Gift Of Memories
シナリオ:やんちゃ
森には妖精が住んでいる
可愛い妖精が…
でもね、その森に入ってはいけないの
二度と出ることが出来ないかもしれないから
不思議な世界は広がっている
僕は、君を連れて行くことが出来るだろうか…
ねぇ、君なら私を助けることが出来る
だからお願い、君の声で導いて…
キャスト
ユン(やんちゃ)
リィ(霜夜ルリ)
ユン:そこは妖精が住む森。綺麗な木々があって、透明な光を浴びて、湖が輝いている
そんな森に僕は行きたかった。妖精と会って、話がしたかった
でも、母さんは言うんだ、その森に入ってはいけない。二度と出ることが出来ない
かもしれないからって…
リィ:いつも私は森の中を散歩するの。妖精族は空を飛び、季節を運ぶ
私の役目はこの森を守ること、さぁ、今日も一日頑張らなきゃ
ユン:僕は、ここに呼ばれてる気がする、不思議な気持ちで、いつの間にかこの森に来て
しまってた。振り返ると、僕は森の中に立っていて、周り一面が木々と綺麗な景色
で埋め尽くされていた
ユン:もしかして、ホントに帰れなくなっちゃったとか…?
リィ:わわわっ、どいてどいて〜っ
ユン:うわっ、うっ、、な、何なんだ?
リィ:痛ったーい。あれ?どうして人がここにいるの?もしかして迷い込んだとか?
ユン:ちょっ、そっちからぶつかってきて、いきなり何だよ?って、まさか、妖精?
リィ:そうよ。私、リィ、この森は私が守ってるの。でもどうしてあなたがいるのよぅ
ユン:気がついたらここに来てたんだ。迷い込んだというより呼ばれたような気がする
リィ:そう、なんだ… もしかしてあなたが…
ユン:ん?何か言った?
リィ:うううん、何でもない、あなた、名前は?
ユン:ユン。よろしく。この森、綺麗な所だね、妖精なんて初めて見たよ
リィ:変に思う人だっているんだけどね、ユンは私のこと、怖くない?
ユン:どうして?こんな可愛い妖精なのに…怖いわけないよ
リィ:えっ、か、可愛い、だなんて…
ユン:リィ、どうしたの?顔が赤いよ
リィ:わわっ、何でもないんだってば。あ、あははっ
ユン:変なの。リィ、ごめんだけど、帰り道、案内してくれないかな?
リィ:駄目よぅ。私はこれから仕事があるんだから
ユン:仕事?
リィ:そう、この森は私の力で生きてるから。森中に光をまかなきゃいけないの
ユン:なるほど…大変なんだな。他の妖精は居ないの?
リィ:うん、私だけだから
ユン:妖精ってたくさん居るものと思ってた。ずっと一人なの?
リィ:そう、だね。うん、でも慣れちゃったから。この景色があれば、私は幸せだから
ユン:良かったら、友達になろうよ、僕で良かったらだけど、遊びに来るよ
リィ:ともだち…?
ユン:そう、一緒に遊んで、笑い合って、今日も楽しかった、また明日ねって、笑顔で
話せる友達。リィにはずっと居なかったんだろ、だったら僕が友達になる
リィ:ユンが、友達… ありがとう、嬉しい
ユン:仕事、手伝うよ、終ったら遊ぼう、この森を案内してよ、リィが見る景色を見たい
リィ:うん、いいよ^^
リィ:ユンなら、私を助けてくれると思った。何故か、そう思えた
とても優しい人だった。あなたの言葉が私の心に響いてくる感じだった
ユン:よしっ、これで終わりっと。リィ、終わったよ、そっちはどう?
リィ:うん、私も終わりなの。良かった、手伝ってくれてありがとう
ユン:うん。ホント、ここって綺麗な所だよなぁ、今まで何で来なかったんだろ
こんなに綺麗なのも、リィが頑張ってるからなんだよな
リィ:そうそう、色々大変だけどね
ユン:それじゃあ、遊ぶか、今日はリィの初めての友達記念日だ
リィ:はははっ、何それ、おもしろいよ
リィ:ユンと笑い合った、どんな些細なことも話して、いっぱいはしゃいで…
いつからだろう、いや、こんな気持ち、初めてなのかもしれない
楽しい。嬉しい、幸せってこういうことなのかな…
ユン:リィ、また明日、来るからな。今日はありがと
リィ:こちらこそ、ありがとう。楽しかった
ねぇ、ユン… ユンはね、ずっと私の側に居てくれる?
ユン:当たり前だろ、約束だ。リィと僕との約束
リィ;信じる。約束、だね。
ユン:うん。じゃあ、そろそろ僕は帰らなきゃいけないんだけど、帰り道は…
リィ:ごめん、ユン、この森に入った人は、出ることが出来ないの
ユン:えっ?どうして。噂では聞いたことがあるけど
リィ:ごめんなさい、私はここの妖精で、この森を守るために居るの
私もこの森から出ることは出来ない、この場所で一生過ごすの
ユン:そんな、そんなバカなことがあるか、リィだって、他の景色、見たいだろ?
僕が連れてってあげるから。僕の友達とも友達になってさ、いっぱい、遊んでさ…
リィ:ありがとう。でもね、この森に入った人は、森の力になってくれた
森が生きていくの、人の記憶を消して、闇を取り除き、光に変えるの
だから、ここはこんなに透明で、光満ちている、そんな優しくて、悲しい場所…
ユン:僕は、森と一緒になるってことなの?
リィ:いつかは…なると思う
ユン:嫌だよ、そんなことってあるか、リィだって、一緒に遊びたいだろ
僕と、友達になってくれただろ、だから、ここから出よう、一緒にさ!
リィ:出れるかな、もしかしたら出れるかもしれない。でも、でもね
ユンはその時、悲しむと思う。私が出ること望んで、一緒に出た時に…
ユン:何でだよ、リィは、出たくないの?僕と一緒が嫌なの?
リィ:うううん、私は、ユンとずっと一緒に居たいよ
ユン:じゃあ、行こう。僕が道を探す。絶対辿り着く、任せて
僕はリィが好きだから、絶対一緒に居たいから、行こう!
リィ:うん、分かった
リィ:私は何年もの間、この森で生きてきた。ずっと一人で生きてきた
初めて私を私として見てくれて、好きで居てくれて嬉しかった…
妖精じゃなきゃ、もっとユンと一緒に居られたかな?
ユン:こっちだ、そんな気がする。僕はこの森に呼ばれるように入った
僕の予感では、この先に出口があるような気がする
リィ:ユン、もしね、出口に出られたとき、悲しまないでほしいの
ユン:えっ?どういう意味だよ?
リィ:うううん、多分、出口を目指すのが正しい答えなんだと思う
私はずっと逃げてきた、ここで閉じこもってきたから…
だから、ユンの声で、君の声で導いて。
ユン:うん、リィ、明日もいっぱい遊べるぞ、な?
リィ:うんっ
ユン:見えた。光が出口を示してる。リィ、行こう
リィ;ユン、ありがとう。私を孤独から開放してくれて、ホント、ありがとう
ユン:リィ、見えるだろ、僕が住んでる所だよ、森も綺麗だけど、他にも色々綺麗な
とこあるし、楽しいこといっぱいあるから、り、リィ?
ユン:その時、妖精の森は瞬くように光を放ち、まるで何も無かったかのように消えた
真っ白に流れていく景色で、スローモーションのように、ふわっと溶けた
ユン:リィ!リィっ!
リィ:ユン、私を連れて行ってくれてありがとう
妖精はね、この森でしか生きられない。私はここでしか居ることが出来ないの
ユン:ど、どうして…僕は、何てことをしてしまったんだ
リィ:ユンは間違ってなんかないよ。私はホントは、こうする運命だったの
分かってたの。怖かったの。でもね、ユンが導いてくれた、私は幸せだよ
ユン:何で…ずっと一緒だって言っただろ、僕の世界、見えるだろ
今度は、僕がリィに楽しいこといっぱい教えてあげる番だ
明日もいっぱい笑えるぞ、なぁ、リィ…
リィ:ユン、きっと、また会えるよ。出会えて、良かった…
ユン:リィっ!
リィ:私はゆっくりと、光の中へ消えていく、空と風に包まれながら…
だだ、ずっと、ユンの声は聞こえてた、私を呼んでくれている
また会える時も、私のこと覚えてるかな? 私の名前、呼んでくれるかな?
ユン:僕は数年前の出来事にタイムスリップしていたように記憶が蘇った
そうだ、あの時、僕はリィを守ることが出来なかった
また、あの時の場所に戻ってきたんだな。逢いたいな…
リィ:君の声が聞こえる。ずっと私を呼んでくれてた
いつまでも、私を守ろうとしてくれてた
私の初めての友達… 今度は会えるよね? ずっと一緒に居られるよね?
ユン:振り返るとそこには、小さな少女が立っていた
僕は彼女に目を奪われ、じっと彼女を見つめてしまう
風に飛ばされた帽子は僕の方へと飛んでくる
ユン:落し物だよ、それとも風から僕への贈り物かな?
リィ:君の声で導いてくれた。だから、私、戻って来れたんだよ
ユン:久しぶり、リィ
リィ:うんっ! 会いたかった
ユン:笑顔で抱きしめて、いっぱい泣いて抱きしめて…
こんな大きな幸せを抱えて、君と出会えた
リィ:それはまるで奇跡のように…
私はこれから見たことのない世界を生きることが出来る
ユン:これからは一緒だな
リィ:一緒だね
ユン:君と一緒に居られる幸せを…
リィ:奇跡のような幸せを、感じながら…