表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

運命

作者: 神水たゆら

私は運命的な出会いをした。

彼は私のバイト先の常連さんで、いつも右端の窓の大きな席に座っていて毎回珈琲を頼んでいる。

顔はちょっとカッコいい・・・

けど、何より運命だと感じたのは彼の長く白い美しい指だ。

私は腹をくくり、バイトの終わりに彼を待ち伏せして思い切って告白した。

彼はテレながら私に良い返事を返してくれた、そこでお互い笑ってしまった。

やっぱりこれは本当に運命だった、彼の白い指は私の指と紅糸で結ばれていたんだよ!

そんな恥ずかしい話を彼は笑ってくれた。私は私の頭を撫でてくれるあの白い指が大好きだ。


私は運命的な出会いをした。

それは私のいきつけの古本屋さんの新しいアルバイトさんで、

綺麗な黒髪をしていた。彼はレジで座りながら本を読んでいる。

その大量の文字列に落とされるレンズ越しの黒曜石のような目は何より運命だと感じた。

通算8回目のある日。私は思い切って彼に思いを告げた。

彼はどうせ私の事など知らないどろうと思ったが、彼は私を知っていた。

告白を受けた彼はちょっと驚いてその目を見開いて、すこし時間をくださいといわれた。

3日後、私はまた本屋を訪れた。彼はいつもどおり座っていて、私が返事を聞くと黒い眼を細めて

よろしくお願いします。といわれた。

やっぱりこれは運命だよ!そんなありえもない話をしている私を彼はあの綺麗な眼で見つめてくれた。


私は運命的な出会いをした。

通っている大学にたまたま隣の席に座った男子生徒。

彼の足首は程よく括れていて白くて、運動選手のようだった。

授業中話しかけてみた。なにかスポーツをやっていたんですか?

聞いたところバスケをやっていたという。私もやっていました!

そこで二人の話は授業どころではなくなり、そのあとも何回か一緒に話をした。

運命だと思った。

私は思い切って彼に告白した。彼は照れ笑いをしながらすぐに返事をくれた。

私はいつも待ち合わせの5分前に来て走ってくる彼の足首。

荒い呼吸の彼に、運命だね!この出会い。っていったら、照れながら笑っていた。


私は運命的な出会いをした。

たまたま入ったCDショップのお客さんの一人がヘッドホンを耳に当て視聴していた。

私はその隣で視聴していた。ふと聞き終わったのか隣の彼はヘッドホンを外した。

その白い形の綺麗な耳には、銀色のピアスが入っていてその白さを際立たせている。

背筋が震えるくらい綺麗。これは運命かも知れない。

しばらくそのお店には入らずに外から眺めていた。

彼はそのお店の常連さんらしく、週に3回火曜、木曜、土曜とそこのお店に脚を運んでいた。

それに、特に買うものもないらしく、毎回視聴ばかりしている。時々視聴ではなくCDを眺めることもあった。

私は彼を約1ヶ月眺め続けた。彼は時々私に気づいてくれて、軽く会釈をしてくれる。

その頭を下げるごとに私はまた運命だと感じてしまうのだった。

そして、出会いから約2ヵ月後私は思い切って彼を店の外に呼び出し思いを告げた。

彼も、前々から君のことは気になっていたんだ。と言って私の思いを受け入れてくれた。

CDショップを回るデートの時、出会ったことは運命だよね?と私は聞いた、彼は両思いだったんだから運命以外のなにものでもないよ。と応えてくれた。

その日の彼のピアスも銀色だった。


私はあった運命を無駄になんか絶対にしない。


家に帰ると誰もいない部屋に只今。と言う。

バッグを放り投げて私は真っ先に押入れに向かう。

中には小さな小瓶が沢山入っていて、ちゃんとラベルまで貼り整理されている。

ラベルには【わたしのうんめい】と書いてありバックナンバーまで書いてある。

アルコールの中にある小さな肉片。これはつい最近の運命【耳】だ。

私は小瓶を蛍光灯に当てて見つめる。



そして私は今日。運命的な出会いをした。





end  20090131


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ