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1ー12 嫌な予感の的中率

子供の言い合いでもまだレベルが高いだろう。ギャーギャーと鳥が縄張り争いをするような剣幕でお互いの頬や唇を捻りだし、すったもんだとなる。


「あ、あのぉ」


手を上げて状況を把握しきれていない様子のアルザスが、おずおず、というようにそっと声をかける。


「あ」


うっかり存在を忘れていた。


「いやん、あたしったら」


きゃ、はずかしい、と言いながらミコトの体をぺいっと床の上に投げる。


「だっ」


尻餅を突いて、臀部、腰を擦れば開いた視線の先に白い手袋が見えた。


「大丈夫ですか??」


心配そうに覗き込まれる金色の相貌に自分の顔が映り込んでいる。アルザスが差し出した手を取ろうかどうかと迷っていると、少し強引にミコトの手を引き立たせる。


「わっ、っとありがとうございます」


とす、と相手の胸元にうずもれる形で転げ立ち、小さく謝って距離を開ける。しかし、彼はしっかりとミコトの手を握ったまま放さない。


握り込まれ怪我の有無をまじまじと確認をされる。


「どこかお怪我は?一見したところ、大丈夫のようですが・・・・お顔以外」


まっすぐ視線が注がれているのでおそらくユースに思いきり捻られたところが赤く痕になっているのであろうと見当をつける。


忌々しい、と視線をやればどこ吹く風とばかりに、大男は店に並べられた新しい武器ーー、特にイゼルが外出前に天井に吊り下げたままほぼ放置している偃月刀的な槍をじっと見つめている。


「えっと。そろそろ手」


離してもらっても大丈夫だと、いいかける言葉に被せるようにグッと右手が両手で握り込まれ、ミコトはしまった、と舌打ちした。


こちらがどうやら本命の大ポカだ。


「それにしても、武器屋の店員とはいえ、流石はラドリュード。相当の腕をお持ちのようだ」


「い、いやぁ、そんな。過大評価ですよぉ」


震える声に嫌な予感だけが背筋を這い、駆け上っていく。真っ白なアルザスの大きな手に視線を落とせば、深紅の宝石が細やかな紋様のように縫い付けられてある。


これはなかなかの魔法装身具だ。そんじょそこらの冒険者が身に付けるような代物ではもちろんないし。そうだ、彼の目的はなんだったか。たしか、「聖剣の修理」とかなんとか言ってなかったか。


「これほどの腕をお持ちだとはーー、ラドリュードの聖魔法具店店主殿に是非お願いしたい儀がある」


撃たれたように顔を上げ見開く相貌の先で邪気のない金の相貌が笑った。


「わたし、店主ではーー」


「実は」


言葉に、ミコトは背筋が少しずつ凍りついていくのを感じた。


コイツは人の話を聞かない。


まるで少年が憧れの英雄ヒーローを目撃したような、感嘆たる喜色の入り交じるその声。


なんだろう。

とてつもなく、嫌な予感しかしなかった。


ミコトは全身全霊、魂の奥底からイゼルを呪った。あの野郎、厄介ごとを予見して逃げやがったーー!!






いつもお読みいただき、

誠にありがとうございます!

評価やブックマークもしていただけて、感激しております!


今日はじめて感想をいただき

とても嬉しかったです!ありがとうございました!


感想をいただくことなんてないだろうなぁ、と思っていたのにお昼くらいに気づいてとても嬉しかったです。


自分でもわからないことを指摘してくださり、感謝申し上げます。



さて1章はここまで。

2章からは少しずつ物語の核心に向けて動き始めます。


聖魔法具とは?

ラドリュードとは?

ミコトの目的とは?

ラストダンジョンって?

急に現れたアルザスの目的は?

修理された聖剣はなぜ必要なのか?


などなど 相変わらず謎を散りばめつつお話を進めていこうと思っています。


感想など、またお寄せいただけますと嬉しいです(^^)ここまでお読みくださり、ありがとうございました!

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