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決戦の古城は赤い月とともに  作者: 牙龍 仁華
Save data 01.第一章 魔王と挑戦者
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VS魔王エルグイン turn3-part②

ローズは、己と魔王の弾幕の密度差に絶望した。

とりあえず指示通りにブルーポーションを飲む。ブルーポーション通称青ポは解毒剤として知られる。左手はグズグズに焼け爛れて溶け落ちてしまった。何故今これを飲むのだ、と不満に思っていると、なんと


腕が生えた。


「……はい!?」

「ローズ君、青ポは凄いだろ?」

「ほう、貴様……アカシックレコードに干渉できるのだな。その効果は神々の隠したもうた叡知であるはず……確実に始末せねばならんようだな!!」


黒い米粒弾幕がダグに降り注ぐ。

エメラルドゴーレムが防ぐ。無傷だ。

弾幕は止まない。


石のゴーレムと鋼鉄のゴーレムが障壁を砕いてゆく。更に二枚割れたようだ。既に合計五枚の障壁を破った。大事なので繰り返すが、障壁など三枚も張れば人間の魔術師としては最強の部類である。やはり、この魔王は純血の【魔族】か。だが、それならば張れてもあと二枚くらいだろう。魔族とは嫌というほど戦ってきたから、分かる。あとひと押しだ。


「エメラルドゴーレム、俺の守りは捨てろ。ストーンとアイアンもエメラルドと連携!クソ重いのぶちかませ!!」

「お前はどうすんだ!?」

「その為の雷球だ。あれを全て相殺しろとは言わない!攻撃に使わず、盾にするんだ!面を点で穿つ!密集させろ!!」

「そんな事が可能なのか!?」

「お前ならできる!」

「ダグの旦那、死んだら恨むぜぇぇ!!」


エメラルドゴーレムの受け持っていた米粒弾幕を雷球が飲み込んでゆく。


ゴーレム達が駆ける!バリン!障壁が一枚割れる。

が、ここでストーンゴーレムがシャドウレイを相殺して消滅。ピシリ!次の障壁にヒビが入る。ゴーレム達の追撃は止まらない。だが、一手足りない。


「ルイン」

「分かっている、ダグ」


【ギガントフィストlv.Ⅶ】

金色の巨大な拳が現れ、敵を屠らんと降り注ぐ!


バリィィン!


「クハハハハハハ……がッッ!?バカな、貴様は……倒したはずだ」

「よし、ダメージが通った。さすがルインだ」

「ダグ、このくらい当然」


ダグ曰く、竜神族の秘薬は蘇生アイテムである。

呪いとかの伝承の真相は知らん。

これも魔王が言う所の神々が隠したもうた叡知。


「アカシックレコード……貴様、【傲慢の魔王】たる我より深層に至っているのか。いやはや、邪神様の気紛れにも参ったものだ。いつか取って変わってやらねば、おちおち油断も出来ぬわ、全く!」


アカシックレコードとは何だろう?ダグはずっと疑問に思っている。自分はただ、前世の自分とやらの助言に従っているまでの事。奴曰く、この世界は絵本や小説の中のような世界らしい。ま、詳しい話は後にしないといけない。何故ならば


「しかし、しかしだ。この巨大なデスボールだけは防げまいよ。どれ程の叡知があろうと。どれ程の筋力があろうと。どれ程の召喚獣を従えようと。膨大な魔力による暴力、これこそが我が真髄……我が力ァァ!!」


さあ、消し飛べ。魔王は笑う。エメラルドゴーレムが守ってくれるが、みるみる崩れて行く。


「サミダレの奥義で、目にもの見せてやります」

風神ノ太刀・弐ノ型。神速の連擊を誇る絶技。

だが……


「危険だぜぇサミダレ。逃げよう。ここはもう駄目だ」

「サミダレ。ローズの言う通り。あの威力、この古城は崩壊する」

「ローズ!ルイン!お前らは先に脱出し、退路を確保。サミダレ、すまない。……俺と残れ」


「ダグ。何を言ってる」

「ダグさんよぉ……お前、死ぬ気か?サミダレも一緒に?」

「サミダレは残りますよ。まだまだ暴れ足りませんから」

「頼む」


「……ルイン。俺達は足手纏いらしい。」

「ダグ。……外で待ってる。サミダレも頑張って」


ローズとルインは駆け出した。エメラルドゴーレムが崩壊する。米粒弾幕とシャドウレイは相殺しきってくれたらしい。あとはデスボールだけだ。


「行きます!」

絶技がデスボールを斬り刻む……と思いきや、ダグを斬り刻んだ。


「……サミダレ。やはりお前はそちら側だったようだね。あいつらを二人だけで逃がす判断が正しかったようで、良かったよ」


「ダグは頭いい。何処で気付いたか知らないけど、サミダレは四天王の一人。満身創痍のその体をデスボールに潰されて、全て喰われてしまえ」


巨大なデスボールがついにダグを押し潰す。ダグは闇の塊に、溶け出すように消えて行った。

魔王の勝ち誇ったような高笑いと共に、古城は崩れ落ちてゆく。

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