第十五話 警備突破?!
いよいよ、新元号発表ですね。
俺達が乗っている馬車は街の門の前まで来た。
「身分証を出せ」
外から声がした。前に並んでいる馬車に向かって言われたものだった。
「あれは何をしてるんですか?」
俺はこの世界についてあまり知らない。
「あれは身分証を確認して、この街に入れていいかどうかを判断しているんです。一応首都ですので、貴族が集まったりしてますから、警備は厳しいんです」
「そ、そうなんですか。実は俺、身分証持ってないんです」
「ええ!持ってないんですか?平民の私ですら持ってますよ?」
「なにか事情があるようですね。ここは私に任せてください」
「お願いします」
いよいよ俺たちの馬車に警備兵が来た。
「身分証を出せ」
俺以外はみんな身分証を出す。
「おい、お前も出せ」
やっぱりそうなるよな。
「あ、あの、俺実は身分証を持ってないんです」
「なんだと?ならお前はこの街には入ることが出来ない。馬車から降りろ」
するとエルフィが俺に紙切れを渡してきた。何も書いていないただの紙切れだ。
「あらコウさん。私に預かっててと言ったじゃないですか?ほらこれ、この人の身分証です。見てください」
そう言ってシェスは警備兵に身分証を渡す。
「ああ、確かにそうだな。今後は自分で持っておけよ」
そう言って、警備兵は次の馬車へと行った。
「これって紙切れですよね?どうしてあの警備兵は身分証だと思ったんですか?」
「実は私、催眠術を使ったんです」
「え、そんなの使ってもいいんですか?」
「いえ、本当はいけません。実際、催眠術を使ったけど、警備兵に見つかり、牢獄に追放された人もいましたね」
「いやいや、いましたね。じゃないですよ、もしバレたらエルフィ様も追放されますよ?」
「私は大丈夫です。そうなったら家紋を出せば、追放は免れます」
エルフィは笑顔で言った。
貴族恐るべし。敵にまわさない方がいいだろう。
「もう街に入りましたが、ここで降りますか?」
ガーツさんの声だ。
「どうする?シェス」
「とりあえず、何でも屋に行きたいです」
「それでしたら、私の祖母が経営する何でも屋があります」
「そ、そうなんですか?!エルフィ様のお祖母様が経営するお店なら安心できます」
「それではそこで決定ですね。ガーツさん、祖母の店に行ってもらえますか?」
「かしこまりました」
馬車は街路を走る。家々はレンガでできていて、道は石で綺麗に敷きつめられている。たまにガタガタと揺れる。それにしてもすごくいい街だな。
広場に出た。
「ここからの馬車の通行は危ないので、歩いていただけますか?私はここで待っていますから」
そう言ってガーツさんは扉を開けてくれた。
「ありがとうございます」
俺はそう言って馬車から降りる。
なんて綺麗なところだ。俺の今いる広場の中心には、噴水があり、それを囲むように所々に長椅子があり、その横には緑が生い茂った木がある。緑溢れる広場だな。こういうところで読書をしたらどんなに気持ちがいいことだろう。
「それでは、私についてきてください」
そう言ってエルフィは何でも屋に向って歩き始めた。
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