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私の胎盤を食べたい

作者: 鑑光あみか

グロでも感動作でもありません

胎盤食とか気持ち悪くて考えたくもない方は速攻ブラバどうぞ!


超有名な超名作にタイトル寄せてる件については反省しております

長文書き溜めに疲れたわたくしの、ただの自分語りでございます


 昔、野生動物が出る番組を見ていて衝撃を受けました。

 草食動物であるインパラが、子供を産んだときに一緒に出てきた自らの胎盤を食べるシーンに。

 ナレーションではこう言っていました。


「血の匂いを肉食動物に気付かれないように、そして出産後の体力回復のために胎盤を食べるのです」



 体力回復。

 魅力的な言葉でした。

 何故なら私は小さい頃から虚弱体質で、母からいろいろな健康食品、栄養ドリンク、そしてよくわからない薬を飲まされていたからです。

 いちばん辛かったのはあの有名な緑の小さい錠剤(名称自粛)でしたね…… 何と言っても、一日三十粒飲めとか言ってくるんです。

 小学生が飲めるか! 三十粒!

 今私は小学生の親ですが、薬を一粒飲ませるだけでも大騒ぎです。

 それを三十粒。

 ちょっとした地獄でした。


 そんな私にとって魅力的な存在。胎盤。

 ベジタリアンが食べちゃうようなヤツですよ? 元気にならないわけがありません。

 そしてまだ幼かった私は、夢を持ってしまったのです。


 胎盤、食べてみたい……




 お昼の奥様のテレビタイムではよく見かけます。

 プラセンタ。

 オシャレな言い方しているけど要は胎盤。牛とか豚の。

 そしてなんかもう超健康そうな奥様方が言っているわけです。


「プラセンタのお陰で肌が――」


 健康なヤツの食べ物じゃねえよ!

 と、虚弱な私は思うのです。

 で調べると、ちゃんと健康食品としての胎盤(プラセンタとは呼んであげない)は存在しています。

 でも、牛とか豚とか馬とかのじゃないんだよ……

 自分のが、食べたいんだ。



 この夢を友人にしたらどんびきされました。

 この夢を母にしたら「やだ怖い」と言われました。

 私はあんたが何処からか持って帰って来た製薬会社名も書かれていない巨大な謎のサプリメントの方がよっぽど怖かったわ!

 それは一錠飲んでみたら喉に詰まって大変なことになったので捨てました。



 成人した私はやはり虚弱体質でした。

 ちょっと運動するとすぐ寝込みます。

 私は田舎者なのですが、東京の職場に内定しました!

 母の「あんた独り暮らししたら死ぬで……」で諦めました。


 その後、あの有名な薬草をお酒に漬け込んで作ってるヤツ(名称自粛)に出会いました。

 これがまた体質にベストフィットしまして……なんか元気になってきました!

 あれ本当に凄いです。一応名称自粛しているけど、激しくダイレクトマーケティングしたいくらい感謝しています。

 

 

 そして! 養〇酒(あ、言っちゃった)の体質改善のお陰か、虚弱な私に子供ができました!

 胎盤食、胎盤食のチャンスーーーー!!


 しかしここは田舎、そんなの試みている病院はありません。

 調べたら、どうやら病院ではなく、助産院などでやっているようです。

 わたくし……基本は虚弱です。

 助産院で元気に産める自信はありません。

 諦めました。

 そして案の定、出産時は別の病院から応援の医師が救急車で駆け付ける事態を引き起こしてしまいました。あのときは我が子ともども死ぬかと思った。現代医術凄い。マジリスペクト。まあこれは別の話なんで詳しくは書きませんが。


 だからこそ言いたい。

 健康に産める人だけが食べることができるなんてズルい……!

 あれは私にこそふさわしいサプリメントのはずなのに……!



 父は早くに病死しました。

 なんとか父の享年は越えました。

 でも私は死にたくないんだよう。胎盤食べてみたいんだよう(飛躍)。


 片親ゆえに大学は諦めたけど、受験勉強はしてみたくて頑張りました。

 母に安心してもらいたく、公務員試験を受けました。

 漫画家になりたいなと思って、働きながら投稿をしました。佳作までは行きました。

 某ゲームにはまって、こんなの作りたい! って思って、働きながら通信教育でプログラミングの勉強をしました。

 そして某ゲーム会社に面接に行きました。生暖かい目で「公務員のままでいなさい……」と言われました。

 なんとか縁があり結婚し、子供を産み、兼業のあまりの辛さに力尽き退職しました。

 そして今、パソコンの前に座っています。


 やりたいことは、私はやってきたんです!

 叶わなかった夢の方が多いけど、チャレンジはしてきました!

 でも、胎盤食は、チャレンジすらできなかった……!

 日本国内でいちばん胎盤食に関して後悔している人間だと思っています、私。



 今は、パソコンの前で小説を書いています。

 夢見がちだった自分の、自分のための小説。

 需要がないことはわかったうえで、楽しんで書いています。

 それでもせめて十人くらいにでも読んでもらえるといいなあっていうのが今の夢です(ダイレクトマーケティングその二)。


 これからも、夢は見ていきます。

 そしてチャレンジしていきたいです。

 でも、でも。

 ひとつだけどうしても叶わなかった夢がある。

 たとえこの先また子供ができても、体質上帝王切開は確実。

 点滴を打たれ尿カテーテルを刺され、数日間は病院食すらも食べられなくなるのだから、それは絶対に永遠に叶わない夢。


 胎盤、食べてみたかったなあ……

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 前の方もおっしゃっているとおり、胎盤食は風習があるところもあり。一種のカニバリズムみたいな扱いですけどね日本では。まあ臓器ですから焼いてステーキとかにすれば食べられなくもな…
[一言] こんにちは。虚弱体質ゆえ家族からスペランカーと呼ばれております。養◯酒、飲んでみたくなりました。お酒だから、酔っ払うのでしょうか。 胎盤といえば、2006年、秋篠宮妃紀子様が悠仁親王をご出…
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