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欲望の赴くがままに  作者: えっひょい
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5話:最強(物理)

ギルドのすぐ隣の建物。いや、建物というには小さすぎるだろうから小屋とでも言った方がいいだろうか。

ほぼ切り出された木だけで作られた手作り満載の小屋。辺境地という事で、隣に立てられているギルドの建物も、王都や人口の集まる街のギルドに比べたら色々とみずぼらしいが、この小屋はそれ以上だ。

俺とフリージアはそんな小屋の目の前で立ち止まる。 


「ここか……」

「えぇ、これがギルドから無料で貸し出される武具が仕舞われている倉庫よ」

「見たことは何度もあるが入るのは初めてだな」

「それは仕方ないわ。アンタみたいな上級者の人間が今更初心者用の武具なんて貸されたところで邪魔にしかならないだろうし」


そう言いながら取っ手を握りドアを開ける。

ランプなどの気の利いたものは無くはっきりとは見えないが、背後から照らされる日光で大体の部屋の内容を見ることが出来た。


壁には盾、弓、大剣、槍などの大型の武具、棚には片手剣、投げナイフ、双剣などの小型の武具、樽には弓やボウガンで使用される矢などが刺さってて、綺麗に整頓されている。床は勿論、部屋の角や棚の下などの汚れが溜まりやすい箇所には埃一つ無い。

あまり使われていない武具庫というものだから、自分が想像していたのは乱雑で埃塗れの足を踏み入れたくなくなる汚い様なものだったのだが、実際はまるで武具の売買を行っている鍛冶屋の店ではないか?と思わせるほどの清潔感と見易さだった。


「まったく使われないとか言っていたもんだから、もっと荒れ果てたもんを想像してたけど随分と綺麗に整頓してるじゃんか」

「ウチのギルドは暇だからね」

「あぁそういうね…」


たった一言の返答だけで大体想像がついた。

依頼書も少なければ、それをこなす人も少ない、仕舞いには暇を潰す物も少ないときている。

仕事をほったらかす事も、遊び呆けるの事も彼女等は出来ないもんだから、きっと受付嬢の二人は一応働こうと掃除ばかりしているのだろう。


「防具は普段村の人が使っている種類が有すからサイズは合うと思うから問題は無いとして、重要なのは」

「どの武器を使うか、か」


もしかしたら当分は今選ぶ武器を使うかもしれない。

大体の武器は扱えるから問題は無いには無いが、やはりそれなりに気に入った武器を使いたいと思うのは当然だろう。


「ま、もしもの時は武器を投げ捨てて拳一つで格闘戦に持ち込めば万事解決。なんと完璧な作戦なんだ、まさに俺の冴える頭脳だからこそ成せる技」

「アンタの万事は暴力で始まり暴力で終わるからね」

「そう褒めるなよ、照れるだろ」

「どんな耳と脳みそをしたらそんな返しが来るのか不思議でならないわ」


俺を褒めながら彼女は棚に置いてある片手剣と立てかけてある盾を両手に取って此方へ差し出してくる。


「先程言っていた片手剣がこれよ」

「これか」


見るからに細く小さい剣、そして鉄板一枚から作られた盾。

手に持つといつも自分が装備している防具と比べるとまるで何も持っていないのではないのかと疑うほどの軽さである。


「……これか」


思わず同じ言葉を二度呟く。


「持って、というかそれ以前に見ただけで分かるな。初心者向けだって」

「そりゃぁ初心者向けだからね」

「こんな鉄板一枚から作れるようなモンで敵が倒せんのかよ。これで襲い掛かったら逆に折れ曲がんじゃないか?」

「初心者がそんな力を持ってる訳がないでしょうに。相手に切りかかるだけだから普通は折れないわ。ま、貴方の場合、切ると言うより叩き潰すと言う方が似合うけどね」

「刃毀れしていても関係無し、砥石要らず。お財布に優しい」

「使われる刃物が不憫でならないわ」


まじまじと裏表を見たり、軽く素振りしてみるとあまりの抵抗の無さに逆に気持ち悪くなってくる。

普段はそれなりの重さをした防具をつけて違和感が無いように常時それなりに力を入れながら戦っているものだからしょうがないと言えばしょうがないといえるのだろうか。


「試し切りの一つでもやってみるか。暇だし」

「そうね。暇だし」


俺達は暇を潰せる事があれば積極的に挑む。何故ならこの村は暇だから。

フリージアはまだいいかもしれない、彼女はこの村に置いてあったり王都から取引で手に入れた本を読み続ける事が出来る。カトリナもこれに習って一緒に本を読むことが多い。

だが、俺はそうはいかない。あんな馬鹿みたいに大量に書かれている文字を長時間見続けるなんて俺には出来ない。それどころか、俺は依頼書の内容説明が「あ、長いな」と思ったらフリージアに手渡して口頭で説明してもらうレベルである。

俺達は武器を纏めて外に運び出し、村の少し外れにある木の密集地帯でそれぞれを見やすく並べる。


「まずは片手剣からにすっか」

「手荒に使って壊さないでよ、それだってタダじゃないんだから」

「そんなのはこいつに聞いてくれ」

「……不安しかないわね」


武器の握る感触を確認しながら、近くに佇んでいる木に触れる。


「この木で試し切りやってみるか」

「壊さないでよ?」

「何度も言わなくても分かってるって。なに木を切るだけで不安になってんだよ、鉄が木に負ける訳無いだろ」

「木相手じゃなくてアンタ相手なのが不安なんだよ」

「まぁまぁ見てろって」

「アンタのその溢れる自信は何処から来るんだか」 


木の正面に立ち、浅く腰を落とし身体を半身の状態にして左手を前に少しながら剣を持った右手を首辺りの高さにして後ろへ持っていく。

そして軽く息を吐き、剣先を木の方に向けて全身に力を込める。

 

「ふんッ!」(バキッ!)

「え?」

「オラァ!!」 


正拳突きの様に腰を捻り、ただ真っ直ぐに、ただ速く対象物に攻撃を打ち込み木に当たった瞬間、重い音と振動が周囲に響き、打ち込まれた所から上の部分は後ろへ倒れて、砂煙が舞う。

断面は切られたのだから綺麗なものだと思っていたが、残った下半分はまるで砲丸でも当たったのではないかと思うほどに荒々しいものとなっていた理由は分からない。

だが、木を切った代償に握っていた片手剣は握っている所から上が消し飛んでいた。


「凄いな……刀身を失いながらもこの威力。まさに捨て身の一撃。これは初心者武器も侮れないな」

「ただの初心者用の武器がこんな威力に一瞬でも耐えられる訳ないじゃない。その刀身は一撃を放つ前にアンタの力に耐えられずに地面に落ちたわよ。これはただ馬鹿の馬鹿力の正拳突きが当たった結果よ馬鹿」

「地面に?」 


彼女の言葉に疑問を持ちながら、自分の足元を見ると消し飛んでいた筈の片手剣の半分が落ちていた。拾ってみると刀身にはまったく傷がなく、握りつぶされた為なのか柄の部分が荒くへし折れている。彼女の言うとおり木に当たる前に俺がへし折ってしまったらしい。


「まさか試し切りする前に壊されるは思ってなかったわ」

「握ったときに変な音がしたと思ったが…」

「変なのはアンタの頭の出来よ」


なら片手剣は使えないのか……。そう諦めかけていた時、俺が片手剣を握っていた反対の手に装着された盾に目がいく。その盾は鉄板で出来ていて、折れた片手剣の刀身よりも分厚く頑丈で出来ているのが見て取れる。

唯一鉄の部分じゃないのは握るための皮の部分だけで、切断でもしなければ壊れることはそうそう無いだろう


「………………」

「………………」

「なぁ、盾で「駄目よ」」


俺が質問を投げかける前に、彼女の否定が遮る。若干彼女の俺を見る目が冷めているのは気のせいだろうか。 


「………………」

「………………」 


二人の間に気まずい無言が続く。


「………………」

「………………」

「で「黙りな」」


もう喋ることすら許されないらしい。俺の素晴らしい知能からひねり出した答えを何故そこまで否定するのだろうか。俺がそう彼女に不思議そうな目を向けると彼女は俺に呆れた様な目を向けながらフリージアは口を開き答えた。


「アドルフ、アンタ聞いたことが有る?貴方の使う武器は何ですかと聞かれて「はい、片手剣の盾だけです」って答える人。聞いた事ないわよね?居る訳無いわよね?居るとしたらそんな者は蛮族か頭の螺子が外れてる馬鹿か何かよ」

「はい」

「黙りな馬鹿蛮族」

「え、何その称号。そこはかとなく屈辱的なんですけど」

「だろうさ」


「いや、でも案外いけるかもしれないし」

「なんでアンタは最終的な選択が打撃になるのよ」

「ちょっと待て、誰もまだ盾で殴るとは言ってないだろ。もしかしたら防御として使うかもしれないじゃないか」

「じゃぁ殴らないの?」

「殴るよ」

「アンタに盾で防御するなんて選択肢が有る訳ないなじゃない。それにアンタが使うと、どうせ一発打って壊れるんだから盾でも鍋でも蓋でも一緒よ。分かった馬鹿?」


確かにそう言われると一撃でこの鉄板がへこむのが容易に想像出来てきた。

そこまで硬くない相手だったら何発か持ちこたえられるだろうが、違った場合は敵を吹き飛ばす代わりにこの盾は使い物にならなくなるだろう。

この後、実際に色々な武器を使ってみて自分に合ったものがあるか、確かめてみた。 


「はぁッ!!」(メキッ!)


「ふんぁッ!!」(バキッ!!)


「おらッ!!」(バキバキッ!!!)


「折れろぉ!!」(バキンッ!!!)

 


スパァンッ!!



「痛いッ!?」


 


途中でフリージアに引っ叩かれ頭にたんこぶを作りながらも、大剣、槍、双剣、槌、等々倉庫にあった全ての武器を使ってみたが、力を入れただけで壊れてしまった。軽い攻撃なら皆耐えてくれるのだが、いざ力んで攻撃しようとすると持ち手の処が粉砕してしまう。地面には持ち手の部分だけが壊れているというなんとも変わった武器の残骸が転がっている。


「まったく、根性の無い武器共が」

「途中から折りにいっていた人が何言ってんだか……」

「力んだだけで砕けるなんてな。やはり初心者武器は所詮その程度の武器でしかないということか」

「確かにそうだけど……あまり釈然としないわね」


何故俺をそんなジト目で見てくる。後、俺のたんこぶを木の棒でぐりぐりするの止めて。

俺は悪くない、持ち手の部分の耐久力が低すぎるこの武器たちが悪いんだ。冤罪もいいところだろ。


「となると、残りはこれだけとなるわね……」

「……これか」


意気消沈した声を出しながら目の前の武器に眼を向ける。そこに置いてあるのは唯一の遠距離武器である弓が置かれている。そう、今の俺に残された選択肢は今のところ、もうこれしか無くなったのだ


「似合わないの度合いが片手剣の比じゃないわね」

「まさに俺とは対極に存在する武器だからな。普段なら絶対選ばないぞ、遠距離の武器なんて」

「というか、そもそもアンタが加減を覚えていれば、こんな選択の幅を狭めなければならない様な展開にはならなかったんだけど」

「加減なんて何時迄もやってられるかよ。敵にチクチク攻撃なんてやってたら苛立って思わず手が出ちまうわ」

「まさに字の如く拳が飛んでいくでしょうね」 


そうなると敵を一撃で仕留めてしまう。討伐だけが目的ならそれはいい事なのだろうが、今回から初心者に偽装すると言う目的がある。初心者が相手を拳一撃で沈めてしまうと言うのは明らかに不自然な光景だろう。

気は乗らないが、これも酒池肉林を実現させる為だと自分に言い聞かせながら弓と矢を手に取ると、そのまま自分の位置からそれなりに離れた距離にある木に向かって構える。弦から手を離すと同時に矢は放たれ、目標の木へ一直線に突き進む。放たれた一秒近くで木の幹に鏃は突き刺さった。


「お見事」

「まぁ、狙った場所から少しズレてるけどな」


本当はもう少し上を狙った筈なんだが、風や距離の関係で斜め下にズレてしまった。別に本職ではないので、特にショックとかはないのだが思い通りにいかないのはあまり良い気分ではない。といってもこの誤差は些細なもので、戦い中ともなれば相手に刺さる事には問題無い。

だが。もう一つここで問題がある。


「こんな威力じゃオークの頭蓋すら貫通出来ん。非力もいいところだ」


弓はそのモノによって威力の限界というものがある。上級者の弓ならもう少しマシな威力を出せると思うのだが、今使っているのは所詮初心者用の武器でしかない。威力を限界ギリギリまで引き出したとしても、俺の求めている威力には程遠い。この問題を解決するには、やはり根本の武器を変えるしかない。 


「動きを止めるとか言う考えは無いのね」

「俺の戦いにそんな小賢しい選択肢があるわけ無いだろ。格闘戦なら拳で一撃、弓で戦うなら迷わず脳天に一撃よ」

「芸が無いわね」

「芸を出す前に終わるから、考えたところで意味が無いんだよ」


再び新しい矢を構え、先程の誤差を修正しつつもう一度放つ。先程と同じように矢は木の幹に刺さる。今度は自分の思った通りの位置に当たったので不満は無くなった。


「戦う人間は一芸を極めてやっと一人前。一芸すらをも極められずに多芸に手を出すなんざ、芯の緩い半人前がやるもんだ」

「アンタはその芯が随分と歪んでそうだけど」

「馬鹿言うな、俺ほど女にモテたいと言う歪みのない一本の芯を通して何年も戦って来た奴はいない」

「随分と薄汚れた芯ですこと」


最近フリージアが俺に向ける目線が冷め始めたのは気のせいだろうか?疑問に思う俺を見たフリージアは頭を押さえながら深くため息をつく。何か疲れることでもあったらしい。


「それで、アドルフは別に弓になっても構いの?」

「何でもいいさ。大体の武器は使わされたからな」

「使わされたって、それって随分と前の話じゃない」

「それでもさっき打った感覚は悪くない。実戦を何回か積めば、遠くからでもオークの頭位は打ち抜ける位にはなるさ」

「どれだけ脳天狙いに固着してるのよ……」


呆れながらも、彼女は周りの武器の残骸を纏めだした。流石に彼女一人にやらせては申し訳ないと思い、一緒に片付け始める。分割してしまった武器をそのままでは持ち難い為、纏め終えると元から持って来たであろう紐を取り出し、束ね始める。


「これ、ちゃんと弁償して貰うからね」

「そんなモンいくらでも買ってやる。10だろうが100だろうがドンと来い」

「ドン」

「痛ッ!?」


しれっと折れた槍の柄で俺の顎を下から打ち上げるフリージア。痛む顎を抑えながら彼女を睨むと、当の彼女は我関せずと武器を纏める作業を続けていた。長年の経験でこの状態の彼女に歯向かっても返り討ちにされるのが関の山なので、反論は諦めることにした。


「でも、確かに初心者用の武器というのは心許無いわね。アンタ相手にだけど」

「……だからってどうするよ、強い武器を買って使うわけにはいかないぞ?」

「そうね……」


武器を纏め終えた彼女は、立ち上がり膝についた草を払う。


「今から家の倉庫室に向かいましょ」

「?別にそれは良いが、何かあるのか?あそこに置いてある武器なんて限られた分しかないだろ」

「武器が無いのは最初から分かってるわ。……まぁ、行ってみないと何とも言えないけど、弓の素材探しにと」


話を聞きながら彼女の纏めてくれた武器を肩に担いだり、紐の部分を指でぶら下げて持つ。先程はまとめて持てていたのだが、いかんせん壊れてしまっているので分割するしかなかった。別に重量的に問題は無いのだが、壊れた木の部分が短かったり長かったりとサイズがバラバラの為、持ちにくくて仕方が無い。


「そんな無理に一人で無理に持たっていいわよ。私に渡してくれれば持つわよ」

「バッカ、さっきの状態だったらまだしも、こんな壊れてて持ちにくい武器を女に持たせられる訳ねぇだろ。刃物が掠って傷でも出来たらどうすんだ」

「……そんなカトリナの様なドジはしないわ」


まるで拗ねたように顔を俺から顔を逸らす。カトリナの場合、この壊れた武器一本どころか普通の片手剣一本持たせるだけでもこちらとしてはハラハラさせられるには十分だ。

フリージアがそんなミスをする筈がないのは分かっているが、やはり持ち難いからと言ってはいどうぞと女に物を持たせるというのも男としてどうかと思う。


「荷物持ちなんざ男に任せとけばいいんだよ。男は女と違って傷一つ作ったところでどうでもいい」

「まぁ……アンタの場合、掠ったところで薄皮一枚すら切れるかどうか分からないけどね」

「なんたって最強無敵のアドルフさんだからな。それに、フリージアが掠り傷負う位なら俺がナイフで刺された方がマシだマシ。女が血を流すなんざ、夢見が悪くてしかたねぇよ」

「アンタの筋肉にナイフが刺さるケース自体少ないでしょうけど」

「ま、それもそうだけどな」


そう言って、はははと笑っているとフリージアは下を向く。


「バカ………」

「え、今馬鹿って言った?」

「……えぇ言ったわ。誑しのアンタは馬鹿で十分よ。ほら、さっさと行くわよ馬鹿」

「ちょ、おい」


俺を罵倒しながら何故か軽く頬を紅く染めて、まるで拗ねるように早足で帰路へ歩き出す彼女。俺は少し慌ててに荷物を持ち彼女の後を追う。

機嫌が治まったのか、歩く速度が弱まった所で俺も彼女の横に着いた時点で足を緩めた。機嫌取りという訳ではないが、話題を変えようと先程の話を切り出す。


「それで、さっきの話だと弓でも作るのか?」

「……アンタが使って壊れない弓なんてここの村にはある訳無いからね。とは言ってもアンタの言った通り耐久性の高い弓を買ってきては何の意味も無い。だったら一から作り出せば何とかなるかと思ってね。弓は基本糸と木材、確かこれまでの依頼報酬でそれらしい物が有った筈よ。余計な装飾はせずに素材そのままで出来た弓なら性能は違えど外見はその初心者用の武器で通るんじゃないかと思ってね」


確かにそうすれば俺の初心者という肩書きを不審に思う人間はいなくなる。

魔物の甲殻などを利用して作られた装備は、そのモノによって見た目や性能をされる事が大半だろうが、彼女が言った様に木と糸を使って作られたものなら、性能は使用された素材に依存するだろうが見た目は製作する職人に左右される。

手の込んだ装飾品をやら形をする場合や、特に手を加えなければ手作り感満載の初心者用の武器に見える事だって出来る


「耐久性威力抜群のひのきのぼうみたいなもんか」

「アドルフにしては的を射た例えですね」

「お、今褒められた?」

「はいはい、褒めました褒めました」

「もっと褒めてくれても良いんだぜ?アドルフさんは褒められて伸びるタイプなんです」

「これ以上伸びられたらこっちは溜まったもんじゃ無いわよ……」


呆れたように言いながらも最後にはクスッ、と笑みを浮かべるフリージア。結果的には彼女の機嫌取りには成功したらしい。


「それにしてもあの倉庫か。貰ったもの適当に突っ込んでるから何処に何が有るか分からんぞ」

「私が毎回整理してるから大丈夫よ。アンタは受け取ったらすぐ入り口付近に乱雑に置くからね、毎回足を踏み入れるのが大変なのよ」

「道理で毎回同じ所に置いても平気だったのか、てっきり座敷童子か何かがやってくれたのかと思ってた」

「座敷わらしを勝手に便利な妖精か何かにするんじゃないよ」

「いつも、ありがとうございます」

「はいはい」


やはり彼女には頭が上がらないな。

そう改めて感じながら、彼女と談笑しながらギルドへと帰っていった。



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