第7話
「おい、そこの2人」
ええ!? チンピラに話しかけられたちゃった。私たち何もしてないのに……。1人が話しかけ、5人のチンピラは私たち2人を囲むように近づいてきた。灯りは街灯ひとつだけ。暗い高架橋の下では、逃げることや、助けを求めることは絶望的だろう。
「カップル2人で一緒に下校たぁ、いい度胸してんなぁ。俺たちへの当てつけか?」
「いえ、当てつけなんて。そんなつもりはありませんよ」
「カップルだってところは否定しねぇのな。イラつく野郎だ」
なんて滅茶苦茶な理由! お前たちみたいなチンピラに、和哉くんとの時間を無駄遣いできないだから、どっか行ってなさいよ。
「まあ、どっちにしろ、俺たちを不快にしたんだから、ほれ」
意味深なことを行ってチンピラのリーダーのような男が和哉くんに左手を出して、何かを催促する。
「なんですか?」
「ああん? 言わなきゃわかんねぇのかよ。慰謝料だよ慰謝料。俺たちを不快にしたんだから当然だろ?」
「そうだぞそうだぞ。有り金全部で勘弁してやっから、早く出せよ」
うわ、そんな慰謝料が請求できるわけないでしょ。こいつらバカ?
「すみませんが、お金はありません。なので、どうか許していただけないでしょうか?」
和哉くんは礼を尽くして、お金を払わずに穏便に済ませようとする。しかし、奴らに対してそれは悪手だったようだ。
「ああ? なめてんのかテメェ!」
「よせよ。わかったわかった。じゃあ金は勘弁してやる。代わりに」
「代わりに?」
殴りかかってこようとした1人をリーダー格が止め、第2の要求をしてきた。いや、あんたらは要求できる立場じゃないんだけどね。
「代わりに、その女をよこせ」
「っ!」
「グヘヘ、さすがリーダー。そりゃ、金よりいいや。あんまエロい女じゃねえが、まあせいぜい可愛がってやるぜ?」
リーダー格が私を要求し、周りの男たちが舌なめずりをして、下卑た顔を私に向けてくる。
「ふざ」
「ふざけるな!」
「か、和哉くん?」
ふざけないでというつもりが、高架橋の下に大きな声が響いた。和哉くんが珍しく声を荒げて叫んでいたのだ。私のために。
「そんなふざけた理由で香織を渡すわけないだろ! 彼女には指一本触れさせない!」
「和哉くん……」
そう言い和哉くんは両手を広げて、私を守るようにして前に立つ。やばい。今私泣きそう。すごく嬉しい。こんなに大事に思ってくれてるなんて……。
「ヒュー、カッコイイねカズヤくん。けど、これは決定事項なんだ。だから、……さっさとどけよ!」
「ヒャッハー! 女をよこせぇっ!」
「ぐあっ!」
「和哉くん!」
和哉くんが男の1人に腹を殴られる。男たちの拳には、いつの間にかギラリと鈍く光るものが。
こいつら……!
「この……」
「やめるんだ香織! 君を、危険にさらしたくない。」
「でも和哉くんが!」
「いいんだ。おいお前ら、香織に手を出すなら、俺を黙らせてからにしろ。」
「ギャハハハ! カッコイイねカズヤくん?」
「まあそういうのがイラつくんだけどなっ!」
「遠慮なく黙らせてやんよ!」
「ぐはっ!」
和哉くんは身を挺して私を守るつもりのようだ。けど、私はそんなことを望んでいない。どんどん傷ついていく和哉くんを、見ていることなんてできない。
「和哉くん!」
「だ……めだ、香織……。おごっ!」
「オラオラオラ! 抵抗しねえとはホント真面目でバカなヤツだぜ。」
「和哉くん!!」
和哉くんが割って入ろうとする私を制し、何か言おうとするが、途中で腹を殴られ声が出なくなる。
「お、れが……なんとか、するから……。心配、するな……。」
「そんな、和哉くん…」
和哉くんは覚悟を決めた目で私を見て言う。私は納得できないが、和哉くんの思いを大事にするべきなのだろう。男の意地、だから。女の子にとっては、そんなのただの無茶で、全然かっこよくない。その男の意地のために、彼は私を守るのだろう。
「そらよ!」
「がぁは!」
しばらく和哉くんをタコ殴りにした後、リーダーの男が和哉くんの顎を思いっきり蹴り上げる。和哉くんはそれで地に伏してしまった。
気絶する和哉くんを見て、チンピラたちは満足気な顔をする。
「いやぁ!和哉くん!」
私は倒れた和哉くんの側に駆け寄る。口から血を流し、身体はあざだらけだ。
「はっ、口ほどにもねぇな!」
「さーて、女女〜。」
「っ!」
チンピラたちは私を見て、再度下品な顔をしてくる。和哉くんの思いを、無駄にするわけにはいかない。あの女をどうにかすることはできなくなるけど、ここはやり直しをするしかない。
そう決意して、和也君の右手に私の右手を伸ばす。
「オラ立てよ。」
「っ!」
「グヘヘ、イイコトしよーねー、カオリチャン?」
しかし、チンピラの一人が私の伸ばした右手をつかんで立ち上がらせる。まずい!これじゃ和哉くんとやり直しができない!
「やめて!放して!」
「大丈夫大丈夫。そのうちすぐに気持ちよくなって、そんなこと言えなくなるさ。」
「俺たち好みに調教してやんよ。おいお前、あれは持ってきたか?」
「もっちろんさ。これをひと塗りすれば、もう何も考えられなくなるぜ。」
「彼氏の目の前でたっぷり犯してやる。起きたら愛しのお前が俺たちの奴隷になってるのを見て、絶望するさまを見るのが楽しみだぜ。」
いやだ!こんなやつらに犯されてなるものか!
だが、そう心で叫んでも、体格と力が違いすぎて、手を振りほどけない。
「いや、やめて…許して…」
「だから、俺たちの奴隷になったら許してやるって。」
「そうだぞ。ほら、股の力抜いて…」
男の1人が私の太ももに手を這わせる。恐怖で、喉が締め付けられるように苦しくなり、私は声が出なくなる。
そして、男の太く汚い指が、私の中に入ってきた。
まさかの、香織ちゃん襲われちゃう展開!
やっぱり作者は鬼畜なようです。