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GLoop〜やり直し世界と僕〜  作者: 倉里小悠
第1章 華形香織
13/21

第11話

スポーツ描写ってやっぱり難しいですね。

次書くことはないかな…。

感想によるかも。

 試合時間残り2分。またしてもボールがゴールリングを音もたてずに通り抜ける。


「っちぃ、手も足も出ねぇ!」

「はあ……はあ……、西条のヤツ、汗1つかいてないっす……」

「バケモンかよ……ふざけんじゃねぇぞ!」


 息の上がったバスケ部2人が悔しそうに呟く。再度、攻めようとパスを回しながらコートを上がる。しかし、気づいたらボールを西条に奪われている。見ているこちらも何が起こっているのかわからない早業だ。


「な、くそっ、沙原ぁ!」

「またっす!? かずやん!」

「わかった!」

「俺も!」


 再びゴールを決めようとコートを駆け上がってくる西条に対して、滝のような汗を流した和哉くんと陸上部の男子が進路を阻む。しかし西条の表情に変化はなく、薄い笑みが浮かんでいる。

 刹那、西条の動きがぶれる。和哉くんと男子が困惑の表情を浮かべる。そして西条は何もなかったかのように、彼らを回避して進んでいく。


「またかよ!?」

「催眠術か何かなのか……?」


 2人とも、目の前にいるはずの西条に反応できない。その光景は、はたから見ても異常だった。西条が妙な動きをした瞬間、彼を止めようとしていた人は困惑した様子で、彼を素通りさせてしまう。


「うぉおおお! 決めさせねぇ!」


 もう1人の陸上部男子が、西条が先ほどからスリーポイントシュートをしている地点に先回りする。しかし、それは悪手だった。


「っ、バカ! 前に出るな!」

「やべ!?」


 ディフェンスである男子の1人が前に出たのを見た瞬間、西条は方向転換し誰もいない場所へ。そしてそこからシュートを放った。またもや西条側の点数が3点上がる。0対72。試合時間はあと1分。それを確認した和哉くんは、陸上部の男子に駆け寄っていった。


「西条君が絶対に、あそこからシュートを決めるわけじゃないんだ。彼自身に気を付けて」

「す、すまねぇ、沙原」

「失敗したことは気にしないで。気にしてコンディションが下がる方が問題だから。それと隼人、俺が前に出るから下がってくれるかい?」

「はぁ……はぁ……、分かったっす……」

「ああ、後ろで息を整えながら、西条が上がってくるのを気にしててくれ」


 和哉くんがミスした男子にアドバイスをした後、彼に失敗を気にしないように言い、息も絶え絶えで肩を上下させている伊東を後ろに下がらせる。


「沙原。俺たち2人でできる限り西条を抑えてる。その隙にシュートを頼む。体育の授業だからそうそうファールはとられないはずだ」


 斎藤が陸上部の1人との作戦を和哉くんに告げる。和哉くんのプレーに頼りきった作戦だが、それ以上の良案は浮かばなそうだ。少し考えた後、和哉くんはその作戦を承諾した。


 コートをボールを突きながら上がっていく斎藤。そこへ西条が突っ込むかのように迫ってくる。即座に斎藤は和哉くんへボールをパスする。


「頼んだぞ沙原ぁ!」

「こっちは任せろ!」


 斎藤と陸上部の2人が西条を囲むように、周りに立つ。ボールを受け取った和哉くんはコートを一気に駆け上がる。途中、慌てた文化&帰宅部の男子たちが和哉くんを止めようとするが、そこはさすがバスケ部エース、集団で固まって迫ってくる男たち4人をうまくあしらい、独壇場へ。レイアップシュートを決めようと、跳び上がってボールを持った手をゴールへ近づける。体育館の温度が上昇していくように、湧き上がってくる。

 しかしそこへ黒い影が迫る。


「っ、西条君!?」


 あっさりと斎藤たちの包囲を破った西条が、和哉くんの放つボールを奪い去ろうと手を伸ばしていた。試合時間残り30秒。体育館全体に、緊張が走る。時間が引き伸ばされたかのように、和哉くんたちの動きがゆっくりに見える。


「残念だったな」


 和哉くんのシュートは決まらなかった。西条が一瞬で目の前に現れて、驚いた和哉くんがボールをリングに当ててしまったのだ。西条がリバウンドをとってコートを上がる姿を見て、全体の空気が弛緩し、またかという言葉が聞こえてきた。しかし、


「まだだ!」


 諦めムードになる空気を吹き飛ばすように、和哉くんが叫ぶ。走る。今まで見たこともないような速さで。試合時間が残り10秒を切った。和哉くんは西条を必死に追いかける。

 スリーポイントのラインに立った西条。未だコート上を走る和哉くん。彼らの距離は、短いようで、あまりにも大きかった。

 それでも諦めない和哉くんに、私も声をあげた。


「頑張れ! 和哉くん!!」


 一瞬、西条の動きが固まった。すぐさまシュートのフォームに移るが、和哉くんはその一瞬を好機と、西条に手をかける。だが、西条はそれを避けながら、シュートを放った。今まで百発百中である、西条のシュート。観戦するクラスメートは、やっぱりだめかと諦める。先ほどまでと同じコースで飛んでいくボール。タイマーがビーッ、と時間の終わりを告げた。


 ボールは……


––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––


 放課後の帰り道、私は用事があり、和哉くんは黒岩先生から激しい運動をしたから今日は休め、と言われて、一緒に並んで歩いていた。バカ2人も同じく黒岩先生に部活参加禁止を言い渡されたそうだ。


「いやー、惨敗だったね。ごめんね、香織。期待裏切っちゃって」

「ううん、裏切ってなんかないよ」


 謝る和哉くんに私は笑って否定する。


「だって和哉くん。最後に西条に勝ったでしょ?」


 そう、西条が放った最後のシュートは、それまでと同じ軌道を描きつつも、ゴールから少し外れて、決まらなかったのだ。ボールがゴール下に落ち、試合終了のホイッスルが響く中、本当の意味で無表情となった西条が非常に印象に残った。まあすぐに、いつもよりちょっと深めに笑っていたのだが。ちなみに、西条のシュートが決まらなかったのを見て、超常現象が起こったかのようにクラス中が騒いでいた。


「あはは、そう言ってくれると嬉しいよ。試合に負けて、勝負に勝ったってところかな」

「うんっ。さすが私の恋人だね! ありがとう、和哉くん」


 傾きかけてきた日の中、私は和哉くんと満ち足りた気持ちで、途中別れるまで歩いた。

香織ちゃんがヤンデレしてません。

作者も驚きです。


あ、あと、あらすじでも書いてますが、感想で今後の展開の予想を大募集しています!

是非是非、送ってください!

作者がニヤニヤ、ドキドキします。

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