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二人の距離

白い天井が見える。本のページをめくる音が聞こえ、

その方向を向くと鈴がいた。

「鈴っ。」

「どうしたの?」

こくりと首を傾げている。

ベッドの横の椅子に座り、本を読んでいたようだ。

「体は、大丈夫なのか?」

「涼よりは、大丈夫よ。」

「ん?、俺よりは痛っ。」

体全体が痛いし、動かしたら軋んでいる。

「これは、やばいな。」

「鏡先生が、今日中に治ると言っていたわ。」

「あいつ、怪我させた張本人のくせに

他人事みたいに言いやがって。」

「私が何だって?綿桐くん。」

「げっ、いたのかよ。」

「口が悪いな君は。学園長に怒られたよ。罰則として、

お前の治療と荒くせずに鍛えさせろだとさ。」

「自業自得じゃねえか。」

「明日から始めるのでちゃんと治しといてください。」

「私も、鍛練相手として参加するから。」

「マジかよ。鈴もするのか。」

翌日、放課後。

「では、肩慣らしに模擬戦をしといてください。」

「最初から荒くないか?」

「私がした方が効率はいいのですが、

いかんせん相手がこれだと。

5割程度でやっといてください。」

鏡はそう言ってどこかに行った。

「鈴、本当にするのかよ。」

「涼が強くなるためだから仕方ない。じゃあ、いく。」

鈴がナイフを作る。いつもはもっと速かったはず

なんだけどな、そう思っていると、ナイフが目の前に

きていた。速いが、ギリギリ躱せる速さだ。

鈴の5割でこんなに強いのかよ。

俺が5割だと鍛練にならないから7割だ。

10分程したら、鏡が帰ってきた。

こちらをちらっと見たら固まった。

「綿桐、5割でって言いましたよね?」

「鈴が、強くてつい。」

「彼女の方で、調節してくれるので次からは

5割でお願いしますよ。」

「はい。」

「では、次に魔力を体に無駄なく集中させる練習

ですかね。鈴さんは、物の創造に使う魔力を

減らす練習をしておいてください。」

「綿桐くん、まず魔力で体を包む感じでしてください。」

「こうか?」

「そうそう、いい感じですよ。

次に、包む魔力量を増やしましょうか。

できるだけ均一を保ってください。」

「難しいな、これ。」

「うーん、ダメですね。

まあ、すぐにできたらおかしいですけどね。

今日はここまでにしましょうか。

彼女にも言っといてください。

集中してるようですし。では、解散。」

そう言って素早く帰っていった。

「あいつ、帰りたかっただけなんじゃないのか。

おーい、鈴、帰るぞ」

鈴の方を向くとナイフが大量に地面に刺さっていた。

「すごいな。全部、鈴が作ったのか?」

「まだ、全然ダメだわ。魔力を節約したら

鉄からナイフへの創造が甘くなって

中身がスカスカですぐに折れるの。」

「今日は、終わりだってさ。帰ろうぜ。」

「まだ、もうちょっとだけするわ。」

「じゃあ、教室で待っとくぞ。」

そう言って演習場を後にした。

教室で待っていると、数人の女子達が声をかけてきた。

「ねえ、綿桐くん。今日、夜桜見に行かない?

クラスの数人で行くんだけど、人数が少なくて。」

「うん、行くよ。」

「やったー、ありがとう。

夜8時、桜公園の西入口で待ち合わせだから。」

女子達が教室から出て、入れ替わりで鈴が

教室に入ってきた。

「鈴、桜見に行かないか?」

「行かないわ。ひとりで行ってきて。」

そう言い残し、鈴は駆け足で出て行った。

追いかけようと、思ったがもう19時だ。

今から行かないと、間に合わない。

「鈴は明日でいいか。約束が優先だ。」

約束したら破れない質の俺は桜公園に向かった。

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