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ジュノウ=ラージェリィ

もともとがショート小説なのですが章分けしているのでとても短いですが話を分けていますご了承ください

前髪に赤いメッシュの入った男が、拳銃片手にドアのコールパネルを操作する。

 ピンポーンと、部屋がロックされていないことを意味する電子音が返ってくるのを確認した男は、人一人がやっと通れるぐらいドアが開いた時点で部屋に滑り込んだ。

「全員そこをうご、アレ?」

 前髪に赤いメッシュをいれた男は、拳銃を構えたその姿勢のままで石化した。

 なぜなら男の踏込んだ部屋はもぬけのカラで、しかも壁にはスプレーで、「惜しい!」と殴り書きされていたものだからキレた。

「ジュノウ様をなめるな!」

 ジュノウは、十五メートル以内なら五十センチの鉄板を苦もなくぶち抜くというモンスター拳銃グスタフを十発全弾を壁に射ち込んだ。

「しまった」

 壁に開いた大人の拳大の穴からみえる隣の部屋の風景を見てジュノウは大きな大きなため息をついた。


「ジュノウ=ラージェリいいい。オ・レ・が・何が言いたいのか、わ・か・る・な?えぇぇぇぇぇぇ!?」

 まだ40も前半なのに、随分と頭の上のほうが寂しいジュノウの上司。近藤貞治捜査課長は、いまにも頭の血管を切りそうな形相で叫ぶ。

「これ以上、髪の心配をさせるな!でしょ」

 ジュノウはボソリとつぶやく。

「お前がグスタフで開けた大穴は、ラーシャの名画「乙女神降臨」に、多大なる傷をつけた」

 近藤は一息つく。

「絵の補修代、壁の修理代、絵の持ち主への慰謝料、近隣住人への迷惑料、被害総額は六億だ。六億」

 近藤はジュウノウの頬を両手でつまんで上下に振る。

「へぇーあの永遠の処女を傷ものに・・・」

 ジュノウはいやらしい笑いを浮かべる。

 さっきのつぶやきを無視していた近藤も、さすがにこのつぶやきはさすがに聞き逃せなかった。

「ジ・ジュノウゥゥゥゥゥゥ!貴様の謹慎は二週間だ!判ったら始末書書いて、とっとと出て行け!!」

 近藤が大声で叫ぶ。

「わ・わっかりました!」

 ジュノウは脱兎の勢いで課長室を飛び出す。

「今月十枚目、今年通算百枚目の始末書達成おめでとう!」

 ジュノウを出迎えるように、部屋の外でポーニーテールの女性が、腕を組んで待っていた。

「茶化さないでくださいよ。麗華先輩」

 ジュノウは、ポリポリと頭をかく。

「茶化す?事実でしょうが。署はじまって以来の快挙だって課長嘆いていたわよ」

「相手はエンジェルなんですよ」

 ムキになって答えるジュノウを見て麗華は、くすくす笑う。

 ジュノウが、アイドル・エンジェルという麻薬がらみの事件でプッツン切れて暴走するのはあまりにも有名で、しばし笑い話のタネになる。

 なぜジュノウが切れるのか?本人が黙して語らないのでいろいろな憶測が流れている。

「以後き・を・つ・け・まあ・す。変換っと出来た」

 ジュノウは送信ボタンをクリックするとおもいっきり背伸びをする。

「二週間の減俸休暇・・・何やってすごそうか」

 ジュノウは右手の親指の爪をかじりながらつぶやく。

「ジュノウさん。ブルーさんって人から外線です」

 ジュノウ専用のインターホンに、ミッドナイトブルーのショートカットの女性が映し出される。

「ブルー?ああ、どうもありがとう。それより直美ちゃん。今晩いっしょにディナーでもどう?」

「そうね。二月間始末書書なかったら、考えてあげる」

「本当?絶対?やった!約束だぜ」

 ジュノウのハシャギぶりに直美はくすりと笑う。

「じゃ」

 ジュノウは軽くウインクすると、盗聴防止装置を作動させ電話回線に切替える。

「どうした。ここに連絡することは禁じておいたはずだぞ」

 それまでのジュノウとはまったく違う口調である。

「すいません隊長。しかし、最優先情報を手に入れましたので」

 青い髪の男の言葉に、ジュノウはわずかに表情をかえる。

「例の、赤のNo2が出てきました。今晩十一時T&T港にA・Aの取り引きを臭わせて喰らいつかせました。先日逮捕した売人。かなりの大物だったようです」

「よくやった青龍。餓狼発動だ。「詩神」に六時に集合」

「ヤー」

 ブルーこと青龍が敬礼するのを見届けるとジュノウは電話回線を切った。

ありがとうございました

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