一年のミリオンファイブ
―――コンコン―――
理事長室の扉からノックの音が聞こえた。
「入れ」
「失礼します」
入ってきたの水のクラスの生徒会長だった。
「朝早くからどうしたんだ?」
「申請書をお持ちしました」
理事長に一枚の申請書を提示した。
それに目を通した理事長は
「へぇ~・・・。これは本当かい?」
面白そうな笑みを浮かべた。
「はい。事実です」
それに対し生徒会長はそう応え
「昨日私のチームの一員であり、ミリオンファイブの一人、水島利己は同じチームの一員の新入生、新城裕と勝負し負けました。それで規定通り水島利己から新城裕にその座を変更させてもらいたいのです」
「・・・早いな、新たなミリオンファイブを任命してからまだ1ヶ月も経ってないとは。・・・前代未聞だな」
「はい。私も驚いています」
「どうやって勝ったんだ?あの動く不動要塞って言われた水島に。この新城は一年だろ。スキルもまだそんなに揃ってないはずだが・・・」
「通常攻撃です」
「通常攻撃だと?」
「はい。プログラムでは」
「本当はなんだ」
「剣術の技で勝ちました」
「剣術か。・・・なるほど。それだったらスキルがなくとも通常攻撃として戦えるな。面白い・・・」
「それで、理事長承認はどうなりますか?」
「いいだろう。承認しといてやる」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
「・・・清水」
「何でしょう」
「これから大変になるだろうが、卒業まで精一杯励めよ」
「そのつもりですよ。理事長。・・・では」
生徒会長は理事長室から退出した。
「さて、この事を知ったら他のクラスの奴等はどう反応するか見ものだな・・・」
理事長は職員室へと電話をかけた。
「・・・私だ。今から送るデータを至急各校舎に提示してほしい。・・・ああ、頼む」
「・・・食われるなよ」
「おはよう。裕」
男子寮から出ると利己がいた。
「おはよう。利己。ずっとそこにいたのかい?」
春だといってもまだ肌寒いのに。
「だって、裕が何時登校するかわからなかったから・・・」
「だったらメールやチャットしてくれればいいのに」
「私まだ裕のID知らないから・・・」
「ごめん。じゃあID送っておくね」
俺は利己のモニターに自分のIDを送った。
「今度は私のIDね」
今度は俺のモニターに利己はIDを送った。
「それじゃあ行きましょ」
「そうだね」
二人で仲良く登校した。
校舎に着くと広場に人が集まっていた。
「何かしら?・・・行ってみましょう」
利己に連れられて皆が集まっている場所に向かった。
すると周りの生徒が道を開けてくれた。
でも、何か不自然すぎる。
最初に俺と利己に気づいた生徒の反応といい、何か犯人でもみたような驚き方をしてるな。
一体あそこに何があるんだ?
そんな事を考えていると皆が集まっていた場所に辿りついた。
「一体何が・・・」
「これって・・・」
俺と利己は驚いた。
広場にあったのは掲示板だった。
掲示板には毎回学校行事が記載されている。
学校行事に驚いているわけではない。
その掲示板の中心に掲示されてるデータと顔写真にだ。
「これって、裕よね」
「・・・俺・・・だね」
でもどうして俺が・・・?
「裕。ここ読んで」
利己が指差した場所を読んだ。
この度、我が水のクラスのミリオンファイブ水島 利己は先日新入生の新城 裕と戦い敗北しました。
これにより、規定通り、今後は新城 裕がミリオンファイブになることを認める。
学園エデン理事長 上河原 巴
「・・・・・・」
何も言葉でない・・・。
皆のあの反応はこれだったんだ・・・。
それにしても、こんな大胆に広めるなんて・・・。
「おはようございます。お二人共」
呆然と立ち尽くしていた俺達に声をかけてくれたのは清水先輩だった。
「どうしたんだ二人して。寝不足か?」
そして後ろにはアニキがいた。
「清水先輩。これは一体・・・」
俺が指差し掲示に清水先輩とアニキは目を通した。
「お!よかったな裕。有名人だぞ!!」
アニキは俺の背中を叩きながら豪快に笑った。
「いや、笑う事ではありませんよ」
「そうか?俺なら嬉しいけどよ」
「それはアニキだけですって・・・」
「新城くん」
「は、はい」
「この状況は、私が今朝理事長に申請書をだしたからです」
「どうして・・・」
「新城くん。ミリオンファイブとは何かわかりますか?」
「・・・クラスの代表、ですか?」
「そうです。ミリオンファイブはクラスの代表。その代表が弱い人で務まると思いますか?」
「・・・いえ・・・」
「そうです。弱い方だと、討ち取られる可能性も高くなり私達の領土もなくなります。そうなると単位を取得する手段が他のクラスより不利になり、学業にも支障をきたす可能性があります。それの可能性を少しでも低くする為、クラスで一番強い人がその座に座る。新城くんは水島さんに勝ちました。ハンデなしの全力勝負にです。それにより、現ミリオンファイブはあなたです。わかってくれますね」
「・・・・・・はい」
「ここにいる生徒の皆さんはもう知ってますね。あとで生徒皆さんに改めてメールでお知らせします。詳しい話は今日の放課後説明します。放課後体育館へ集まって下さいね。では皆さん早く教室入りましょう」
「そういうことだ。また放課後でな!」
そう言って清水先輩とアニキは校舎に入っていき、他の生徒も入っていった。
「裕、ごめんね。私の性で迷惑かけたみたい・・・」
「利己は悪くないよ。それに、清水先輩が言ったのは最もだ。俺は皆の代表になったんだから恥じないように頑張るよ」
「うん。頑張って裕。私も頑張るから」
「ありがとう。利己」
「早く教室行きましょ」
「そうだね」
俺と利己も校舎に入っていった。
放課後になり水のクラスの生徒は体育館に集まっていた。
俺は先輩達と一緒に壇上に立っていた。
「ねぇねぇ。新城ちゃん。どうだった授業中」
隣にいた西先輩が話しかけてきた。
「あまりよくなかったですね。皆こっちを見てきますし、休み時間も別の教室から見に来る人もいて心身が疲れました」
「アッハッハ!お疲れ~!!・・・でもこれからまだ疲れると思うから頑張れ」
「え?どういう意味ですか?」
「それは始まってからのお楽しみ~」
「?」
「皆さん集まったようですね。ではこれから新しいミリオンファイブの発表と今後についての作戦を発表します」
清水先輩が壇上の中心に立ち開催の合図をした。
一気に静まり返る生徒達。
「ここにいるほとんども皆さんが知っていると思います。先日ミリオンファイブだった我がクラスの代表。水島 利己さんは今この壇上にいる一年生の新城 裕くんと戦い負けました。これにより、規定通り新城 裕くんを現ミリオンファイブ。我がクラスの代表となります。新城 裕くん。皆に挨拶を」
清水先輩は俺を壇上の中心に立たせた。
「一年の新城 裕です。この度ミリオンファイブとなりクラスの代表となりました。まだ経験不足で至らぬ所もありますが、精一杯頑張りこのクラスを勝利へと導きます」
そう言って俺は元の位置に戻った。
「では、これより今後の作戦に入らせていただきます。今各クラスの勢力図はこの通りになっています」
壇上の後ろに大きな空間モニターをだし、仮想世界エデンの地図を表示させた。
「今エデンの勢力は5つに分かれています。色で分けるとこうなっております。・・・火のクラスは赤。風のクラスは緑。水のクラスは青。大地のクラスは茶。金剛のクラスは黄に分けてます」
色分けされたエデンを見ると、火のクラスは北と北西部分。
風のクラスは西南部分。
水のクラスは南東部分。
大地のクラスは東と東北部分。
金剛のクラスは北東部分となっている。
「勢力図は以上になってます。これを数字で表すと、火のクラスは30%。風のクラスは10%。水のクラスは24%。大地のクラスは22%。金剛のクラスは14%となっています。現段階では私達は三番目の勢力となっています。そこで今一番警戒するのは隣接している大地のクラスです。風のクラスの生徒は学業を優先にする生徒が多いのでここは少数チーム、5人以上10人未満のチームを配置します。大地のクラスには10人以上のチームを配置させます。今後は戦争になった場合はそのように出撃して下さい。私達のチームは基本大地のクラスの方に向かいますが、風のクラスの方で問題があればそちらにも向かいます。よろしいでしょうか?」
『・・・・・・』
生徒達からは反論はなかった。
「では、今後はどのクラスに戦いを挑むのかですが、・・・大地のクラスを制圧したいと思ってますが皆さんはどうでしょうか?」
そう言うと一人の生徒が言った。
「風のクラスは攻めないのですか?」
「はい。攻めません。今風のクラスを制圧することは多分ですが可能です。ですが、制圧したとなると隣接するのは火のクラスです。今一番勢力が大きいクラスです。それに火のクラスは好戦的な生徒が多い。それまで相手をするとこちらの戦力が維持出来なくなります。なので今は大地のクラスを制圧し、こちらに引き入れ戦力の拡大を狙います。よろしでしょか?」
「わかりました。ありがとうございます」
「方針も決まった事ですし以上で説明を終わります」
清水先輩は閉会を合図をした。
「あれ?西先輩。何もなく終わりましたけど・・・」
先輩の勘違いだったのかな?
「いいや、これからだよ・・・楽しみだな~」
「どういう・・・」
「では、最後に今のミリオンファイブに不満のある方はこの壇上まできて宣戦布告をして下さい」
「ほらキタヨ~」
「・・・え?ちょっと待ってください!」
「どうかしましたか?新城くん」
「どうかしたかではないですよ。どうして戦わないといけないんですか!?」
「新城くん。あなたは確かに我がクラスの代表です。ですがあなたの強さを知っているのは私達だけ。他の生徒は知りません。信じられない、認めたくない生徒はいます。その為に今ここで皆さんがいる場で宣戦布告をしていただき、決闘場で戦ってもらいたいのです。反発する人がいるとクラスはうまく起動しません。わかりましたか?」
「・・・どうして戦わないと駄目ですか・・・」
「はい」
「・・・・・・」
「裕頑張って」
「頑張れ新城ちゃん♪」
「・・・健闘祈る」
「頑張れよ裕!」
「・・・はい」
「では、宣戦布告をしたい生徒は壇上に上がって下さい」
『・・・・・・・・・』
「いませんか?いませんなら―――」
一人の男子生徒が壇上へ向かってきた。
「あれは、堂島 慶介だね」
「どんな人なんです」
「二年生で実力No.2の人よ」
「・・・・・・」
その二年の男子は壇上に上がった。
「二年の堂島慶介だ。新城くん。君の実力を知りたい。手合わせをお願いする」
「では皆さんは決闘場へとダイブして下さい。二人も早めにお願いします」
そう言うと生徒達は皆ダイブしていった。
「俺は君の実力を見たわけではないけど疑ってないよ」
「・・・え?」
じゃあ何で宣戦布告を・・・。
「宣誓布告した理由はね、俺が戦えば皆納得するからだよ」
「納得・・・」
「そう。本当は皆心の奥では君を疑ってると思う。入学したばかりの君があの水島さんを倒せるはずないって、何か小細工をしたに違いないって。そんな疑念を払う為に俺は君に宣誓布告した」
すごいな。
この人は周りの人の考えや思いを理解している・・・。
そしてその場で最善な手を打ってくる。
「新城君。一つ聞いてもいいかな?」
「何ですか」
「君は水島さんと知り合いなのかな?」
「はい。幼馴染です」
「・・・そうか。君のおかげで水島さんは変わったんだね」
「・・・え?」
「前の水島さんはね、表面上は誰とでも接してくれたりしてたけど、奥底では誰も信用してない感じがあったんだよ」
「・・・・・・」
「でもね、今日それがなくなってたんだよ。それは君のおかげなんだと今わかった。新城君は凄い人だよ」
「いえ。俺なんかよりも先輩の方が凄いです。周りの人に気を配ってこんな事を買って出るなんて。・・・俺には出来そうにないです」
「そんな事ない。君も出来る人間だと俺は感じてる。じゃあそろそろいこうか。皆が待ってる」
「はい。・・・ダイブ!」
仮想世界エデン決闘場
「・・・ここが決闘場」
周囲は円形となっていて回りは生徒達で一杯だった。
俺と堂島さんはその中央で対峙していた。
武装を見ると同じ職のナイトだ。
「新城君」
堂島先輩が声をかけた。
「何ですか?」
「君はスキルをセットしてるかな?」
「いえ、まだです」
「ならするといいよ。ミリオンファイブになった生徒は無条件で一つだけスキルをMAXに出来るから」
「そうなんですか?」
「そうだよ。待ってあげるから選ぶといいよ」
「わかりました。少し待って下さい」
「ゆっくり選んでくれていいよ」
俺はスキル一覧を開いた。
「さて、裕はどう戦うか楽しみだな!」
「そうだね。同じ職同士だから熱い戦いになりそうだよ」
「・・・楽しみ」
「水島さんはこの戦いどう思います」
「・・・堂島くんとは戦った事があります」
「どうだったんだ?」
「私にはマジックパワーがあったので一方的に勝ちました。ですが、裕は私と違ってナイトです。同じ職同士だと錬度の高い人が有利だと思います」
「では、堂島さんが勝つと・・・」
「いえ、裕は勝ちます。だって、私に勝ったんですか」
「いいねぇ~。未来の旦那様を信じるのって」
「///」
「新城くんは今スキルを決めている最中ですね。何を決めるかで勝敗は分かれてもおかしくないでしょう・・・」
「どれがいいのかわからない・・・」
スキル表を開くとたくさんのスキルがあった。
近距離の技・範囲攻撃・中距離の攻撃・能力アップ・吹き飛ばし。
どれもいい感じがして悩むな・・・。
でもあまり先輩を待たせるのは良くないな。
何か俺にあったスキルは・・・。
「・・・これは」
「どう。決まったかな?」
よし。これにしよう。
「はい。決まりました」
「なら、準備はいいかな?」
「いつでも!」
お互いが戦闘態勢を構えた。
「どうやら決まったみたいだな」
「では、開始の合図をお願いします」
「よっしゃ!任せろ!!」
アニキは大きなドラを鳴らした。
勝負開始の合図だ。
「全力で行かせてもらうよ!」
先に動いたのは堂島先輩だった。
盾を前に出し視界を遮りながら。
「ハア!!」
初手の斬撃を斬撃で返す。
そして続く連続攻撃も防いでいく。
「なるほど・・・確かに強い。ならば!」
「なっ!」
先輩が盾で殴ってきた。
「っく!」
体が動かない・・・。
このままだと・・・。
「!?」
先輩を見ると武器が大剣に変わっていた。
「パワースマッシュ!!」
大剣が振り下ろされ命中し吹き飛ばされた。
「・・・今のは・・・」
立ち上がり構える。
「今のはナイトのスキルスタンだよ」
「スタン・・・」
「盾で相手を殴りつけ一定時間動けなくするスキル。そしてその間に俺は武器を変え大剣のスキルパワースマッシュでダメージを与えた」
先輩は再び盾と片手剣に持ち直していた。
「これが俺の戦い方だよ。一人でも戦いが出来、チームでの連携プレイも可能な戦闘スタイルだ」
「・・・さすがですね」
「君も早く見せるといい。手加減できる相手ではないと思うよ」
「そう、ですね」
俺は剣を構えた。
「新城流剣術一ノ型『焔』!」
俊歩を使い一気に距離を詰め五連撃を食らわす。
「サイクロンストーム」
先輩が振るった剣から竜巻が出現した。
「!!?」
その竜巻に巻き込まれ吹き飛ばされた。
今のは吹き飛ばしスキル・・・。
なるほどああやって使うものだったんだ。
攻めてきた相手には吹き飛ばし、守る相手にはスタンを使って動きを封じて攻撃する。
利己の時とは違う意味で厄介だ。
「こないならこちらから行くよ!」
「っ!!」
それに堂島先輩は油断しない人だ。
冷静に相手を見てどんな状況でも勝ちを焦らない。
堅実な人だ。
「考え事をしててもいいのかな?」
再び盾で殴りかかってきた。
「二度は通じない!」
体を後退し盾を避けた。
「甘いよ。スラッシュ!」
地面を切りつけ風の刃を放った。
その風の刃を盾で受け止めた。
盾の構えを解くと先輩が大剣に持ち替えていた。
「パワースマッシュ!」
「ッガハ!」
再びダメージをおい、吹き飛ばされた。
「あらら、一方的だね~・・・」
「・・・絶望的」
「真さんはどう見ます。堂島さんの事を」
「そうだな。一言で言うと堅実だな。しかも片手と大剣を上手く使い分けている。どっちの持ち味も殺さず最高に使ってるな。相当鍛錬したんだろうな。強いな」
「うわぁ・・・アニキがまともな事言ってる・・・」
「・・・不快」
「お前らは俺をどうみてんだよ!俺だって真面目に話す時はあるわ!!」
「・・・アニキさん。今の状況だと堂島さんが有利ですか?」
「・・・そうだな。このままいけば堂島の勝ちだな」
「裕・・・」
「・・・ハァ・・・ハァ」
強い。
俊歩を使って攻撃しても決定的なダメージを負わせない。
それに避けても流れる川みたいに次々とスキルを連発されて守りを崩され重い一撃をもらってしまう・・・。
・・・弱点らしきものが見つからない。
職が違うだけでこれだけ戦い方が変わるのか。
「どうしたんだい。まだHPはあるだろ。こないのかい?」
「・・・・・・」
焦るな・・・。
焦って攻めてもやられるだけだ。
攻めても吹き飛ばされ、守られ、カウンターをもらってそれで終わる。
「・・・新城君」
「・・・なんですか」
「君はスキルを使わないのかい?」
「スキル・・・あ!」
そうだ。
俺は戦う前にスキルを習得したんだった。
だけど、このスキルで勝てるのか・・・。
「悩むなら使ってみればいい」
「先輩?」
「戦いでは悩んだ瞬間負けるよ。悩む暇があれ使って試せばいい」
「・・・そうですね」
やっぱり凄い人だ、堂島先輩。
先輩の言うとおりだ。
悩んでいて勝てる勝負なんてない。
使ってから考えればいい。
「では、使わせてもらいます」
「・・・ああ」
俺はスキルセットから習得したスキルを発動させた。
「スキル。バーサーカー」
その瞬間俺の体が熱くなった。
「・・・あれは・・・」
会長が驚いていた。
「あいつあのスキルを習得させたのか」
「これは、勝負がわからなくなったね~」
「・・・暗雲」
「頑張って。裕」
・・・なんだこれ。
体から力が漲る!
それに体がとても軽く感じる。
これならいけるかもしれない!
「なるほど。君はそのスキルを選んだんだね」
「はい」
「いいスキルだよ。スキルバーサーカーは自身の体の能力を大きく向上させる能力アップしダメージをおっても痛みを感じないのスキルだ。その力はどの職よりも強い最強のスキル。だけど、その能力は一定時間。それを過ぎると体に負荷が一気にかかって動かなくなる諸刃の剣。ただ、スキルLVMAXだと時間がかなり伸びで負荷も軽減される。ミリオンファイブ専用のスキルと言ってもいいくらいだ」
「そうだったんですか」
「じゃあ君の時間がなくなるし、一気に決めさせてもらうよ!」
「はい!」
お互いが正面からぶつかり合い通過した。
『・・・・・・・・・・・・』
決闘場が静まり返る。
「・・・・・・いい、一撃だったよ」
倒れたのは堂島先輩だった。
「ご教授ありがとうございます」
ドラが鳴り響き終了の合図が鳴った。
会場が歓喜と興奮の声で響きわたった。
俺は倒れた先輩に手を差し伸べた。
先輩はその手を取り立ち上がった。
「予想以上の強さだったよ」
「いえ、先輩がご助力してくれなかったら負けてました」
「謙遜はしなくていいよ。俺はアドバイスはしたけど手加減はしていない。君は実力で勝ったんだ。誇っていいと思うよ」
「・・・はい!!」
「今後は君に不信感を抱く生徒はもういなくなるだろう。後は鍛錬をしてしっかりと強くなるんだ。もちろん学業もだよ。俺に出来ることがあるなら尋ねてくるといい。可能な限り君をサポートするよ。ミリオンファイブ」
そう言って先輩はログアウトした。
こうして俺は水のクラスが全員が認めるミリオンファイブの一員になった。