全ては単位の為に
平穏な日常。
その何気ない日常の中。
とある学園でとある事が起こっていた。
それは・・・。
戦争。
・・・学園エデン。
今この学園では戦争が起こっている。
静かな教室の中。
生徒達は静かに授業を受けている。
・・・ような感じだが。
皆意識はない。
皆の意識は今、仮想世界のエデンにいる。
戦争はそこで起こっている。
単位を巡って・・・。
この・・・学園は普通の学校とは違う。
学園の中は広く、様々な店がある。
生徒達はこの学園内で買い物したり遊んだりする。
これだけで普通の学校とは大きく違いがあるのだが、もう一つの違いの方が生徒達にとっては重要なのである。
その違いは・・・単位を得られる条件が違う。
普通の学校なら授業を受け、テストをし、一定の点数以上だと単位もらえる。
それはこの学園でも同じ。
だがそれ以外での取得がある。
それが、生徒同士での領土争奪戦。
この学園は5つのクラスに分けられている。
火のクラス・水のクラス・風のクラス・大地のクラス・金剛のクラス。
生徒は入学式に適性検査を受け、それによりクラスが振り分けられる。
クラス同士での領土と単位の争奪戦。
戦争で勝てば相手側の領土占拠し単位が手に入る。
また、敵の生徒を倒した場合はその本人に単位が手に入る。
この学園では単位は金として使える。
食べ物・衣類・家電製品すべてを単位で買える。
強ければその分多くの単位を手に入れ自由に出来る。
その自由を得るために皆頑張っている。
仮想世界の大陸。楽園エデン。
豊かな土地であり険しい自然のフィールド。
この大陸の中で戦争は行われている。
エデンを制覇する為に・・・。
エデンを制覇したクラスは多大な単位を得られるか、願いを一つだけ叶えられる。
その願いは不可能なものでも可能になると言われている。
それだけの理由で生徒達は己のクラスがエデン統一を果たす為、常に戦い続けている。
そして、今日、その戦争に新たな兵力しんにゅうせいが加わる。
入学式。
「ここが学園エデンか・・・」
やっと利己に会える。
元気にしてるかな。
俺の事、覚えてるよな。
会ったらいきなり抱きついてきたりするかな。
それとも怒ってるかな・・・。
いや、間違いなく怒ってるだろうな。
約束守れなかったから・・・。
だけど、今度は守る。
その為に俺はここに来たんだ。
もう利己を泣かせない。
俺は学園の門をくぐった。
学園の中に入りしばらく歩くと俺と同じ新入生が集まっていた。
「あれ?クラスわけ表がない・・・」
どこに提示してあるんだ?
あたりを見回っていると教師が一人こちらに向かってきた
「新入生の皆さんはこちらの施設で適性検査を受けて下さい。それが終わった人は体育館に集まって待機してて下さい」
「あの、すみません」
「はい。何ですか」
「適性検査って何ですか」
「これから三年間あなた達が通うクラス分けを行うところです」
「クラスわけで適性検査ですか?」
「はい。あちらで行ってますので後はそちらの先生の指示に従ってください」
「・・・わかりました」
言われたとおり俺は施設のある方へと向かった。
施設につくと多くの新入生が列を作って並んでいた。
「こちらに並んで待っていてください」
「中で何をやってるんだ?」
そう思いながらも自分の番が来るまで待った。
「次の方どうぞ」
俺の番だ。
「はい。失礼します」
中に入ると医者らしき人が空間モニターを出していた。
「こちらのベッドに横たわってください」
「はい」
ベットに横たわると頭に何かの装置を装着させられた。
「あの、これは?」
「適性検査の道具です。すぐ済みますからそのままで」
「・・・・・・」
そう言うと医者は俺の体をスキャンしモニターに記録していく。
「・・・はい。終わりました。あなたの名前は?」
「新庄 裕」
「新入生の諸君。まずは入学おめでとう。私はこの学園の理事長の上河原 巴だ。別に覚えなくてもいい。覚えるのはこの学園は普通の学校ではないこと。豪遊したければ強くなり単位を取得しろ!出来ない者は協力しあい領土を奪還し単位を取得しろ!クラス以外の人間は敵と思え!鍛錬を怠るな。以上、三年間を有意義にすごすがいい」
理事長は壇上から降りていった。
「入学式は以上です。新入生の皆さんはこれからクラス事の校舎に案内します。案内は各クラスの代表が案内します」
入学式はあっけなく終わりクラス事に生徒は集まっていった。
「俺のクラスは・・・」
「水のクラスの生徒さんはこちらに集まってください」
俺のクラスだ。
「・・・あそこか」
声のする方に向かうと女子生徒がいた。
「あなたは水のクラスですか?」
「はい。今日からお世話になります」
「こちらこそ。私は水のクラス生徒会長の清水 蓮です」
生徒会長といったその人は丁寧なお辞儀をした。
綺麗な人だな。
「新庄 裕です」
「新庄さんですね。覚えましたよ。これから宜しくお願い致します。では集まったようですし、クラスにご案内致します」
「ここが水のクラスの校舎です。ここで皆さんは勉学を学びながら鍛錬し戦争に参加します。では、教室に入りましょう。簡単な説明をさせて頂きます」
校舎の中に入り広い教室へと入った。
「まずは皆さんにこれをインストールしてもらいます。モニターを開いてください」
俺達は空間モニターを開いた。
「授業はこのモニターから行います。それと戦争もです。これをどうぞ」
メールボックスを開くと一つのファイルがあった。
「それをインストールして下さい。終わったら早速ダイブして待機して下さい」
「これをインストールするのか」
俺は言われたとおり、エデンと書かれたファイルをインストールした。
「それで・・・ダイブっと」
すると
「・・・ここは・・・」
周りが草原だった。
それにいつの間にか制服だったのが防具へと変わっている。
「・・・これは本物か?」
地面に生えている草を触ると感触がある。
匂いもするし風も感じる。
他の生徒も驚いている。
「ここがエデンです」
生徒会長もダイブしていた。
「これって全部本物なんですか」
「はい。本物です。ですが、少し違います」
「違う?」
「今から説明します。皆さんよく聞いてくださいね。ここはエデン。私達が単位を取得する場でもあり統一する大陸です。ここにあるものはすべて本物。斬る事も出来れば燃やすことも出来ます。ただ出来ないことは人を殺す事です。私達の今ある体は生身の身体能力をインストールされたプログラムで出来ています。生身の体は今教室で眠っています。戻り方は戦争が終わるか殺されるで元に戻ります。皆さんちょと自分の体、どこでもいいのでつねって下さい」
「・・・・・・痛い・・・」
頬をつねると痛みを感じた。
「皆さんわかっていただいたと思います。プログラムであるこの体、痛覚があります。斬られたり殴られたり魔法をくらいますと死ぬほどの痛みを味わい元に戻りますが傷や痛みはありませんの安心してください。、新入生の皆さんは鍛錬をしっかり行って下さい。元の世界で鍛錬すればその分強くなります。強くなれば死なないようになります。鍛錬は主に先輩達と組んでチームで行います。どのチームに入るかわ皆さんの自由です。自分の職にあったチームに入るのも良し、高みを目指し強いチームに入るのも自由です。ここまでで何か質問はありますか?」
一人の男子生徒が手上げた。
「チームに入るの自由っていってましたけど、何か条件とかあるチームはあるんですか?」
「そうですね。あるところはあります。例えば自身の力を示して合格する。判断力・決断力・チームプレー力など色々ありますね。私のチームも一応あります。もし興味があったら受けてみてください。他にはありますか?」
今度は女子生徒が手を上げた。
「戦争での取得単位数を教えてくれませんか?」
「では取得単位を説明します。戦場で相手方の生徒を倒した場合、通常は200単位ですが、皆さんは新入生ですので単位が2倍取得となり400単位となります。ですが、相手が同じ新入生なら200単位です。上級生に勝つのは非常に困難ですが頑張って挑むのもいいですよ。そして、領土戦では防衛側と攻撃側があります。攻めてくる方が勝てば3000単位。防衛に成功すれば5000単位となります。正直いいますと防衛戦のが不利です。相手がこちらの領土に侵入してから、こちらに防衛指示が届きますので時間がかかります。戦場に着いたら目の前に敵がいるか罠が仕掛けられている可能性があります。ですが、防衛成功すれば報酬単位も大きいので、皆さん頑張りましょう。・・・他にありますか?」
「全員単位数は一緒なんですか?」
「・・・いいえ。皆さんも後々知る事になりますが、5つのクラスには一人づつ賞金首がいます。賞金は100万単位。通称ミリオンファイブと呼ばれています。その方々の力は一騎当千の如く強力です。ですが、もし倒せたならそのクラスの土地はすべて奪われ、更に討ち取ったクラスの配下になります。ですので、もし私達のミリオンファイブがやられそうになった時は全力で守って下さい。・・・他にありますか?」
一通り見渡し誰も手を上げなかった。
「では次に職について説明します。職は全部で5つ。ナイト・アサシン・ソーサー・フェンサー・ファイターとあります。職同士での相性はありません。ですが、特徴はあります。ナイトは仲間を守る盾となり援護するスキルを持ち、自身でも攻撃が出来る万能型。アサシンは姿を隠しながら近づき敵の武器防具を一時的に使えなくするスキルや妨害系のスキルを持ち遠距離では弓も使用してきます。ソーサーは魔法使い。遠距離・中距離での魔法を使います。フェンサーは素早い身のこなしで多彩で華麗なスキルを使いこなします。ファイターは自身の拳ですべてを破壊する超接近職。一撃が重いです。では改めて自分達の姿を見てください。それがあなた達の職です。適性検査はクラス分けの他、この職選びをするのにもあります」
なるほど。それで皆服が違うのか。
「スキルは自身が強くなればポイントが増えそのポイントで覚えることが出来ます。また強さに応じてそのスキルの強さは変わります。覚えたスキルはスキルセットして使えますがMPを消費します。消費したMPは時間経過で回復するかアイテムで一時的に一定時間回復も出来ます。HPも同様です。それではどうしたら戦闘不能になるのか、自分達の上空に提示されてるゲージを見てください。緑はHP,青はMPですHPは1000、MPは100です。危ないときは下がって回復に専念して下さい。説明は以上です。では皆さん戻りましょう。フィールドアウトしてください。・・・ログアウト」
「はい。皆さん戻りましたね。では明日から学園生活が始まります。皆さん頑張りましょうね」
生徒達は教室をでて寮に戻っていった。
俺を除いて。
「あら、新庄さんどうかしましたか?」
「清水先輩。一つ聞いてもいいですか?」
「何でしょう」
「この学園に水島みずしま 利己りこはいますか?」
「水島さんですか?はい。おられますよ」
・・・いた。
「どこにいますか!?どのクラスですか!?どのチームですか!?」
「落ち着いてください。ちゃんとお話します」
「す、すみません・・・」
「新庄さんは水島さんを追ってここに入学したのですか?」
「はい。そうです」
「そうだったんですか」
「それで利己はどこに・・・」
「水島さんは私達と同じ水のクラスで私のチームの仲間です」
「俺も入れてください!」
「・・・わかりました。では、明日生徒会室に来てください。そこで試験をします」
「試験?」
「はい。先も言いましたが私達のチームに入るには条件があります。それをクリアすればチームに加えます」
「・・・わかりました。明日伺います」
「では、放課後お待ちしております」
俺は男子寮へと帰っていった。
荷物を置き部屋にあるベッドに寝転んだ。
「明日。利己に会える・・・」
会ったらどんな罵倒されるかな。
最悪殴られるかもな。
「・・・それでもいい」
何をされても俺の性なんだ。
『僕は一度でも利己の友達になったつもりはない!!』
あんなひどい事言った自分を恨んだ。
憎んだ。
その性で利己を傷つけ悲しませた。
だから誓ったんだ。
もう二度と利己を裏切らない。
利己の傍にいて盾になることを。
放課後、生徒会室に入ると清水先輩と他の先輩方がいた。
「こいつが新しくチームに入りたいって言ってきた新入生か」
「・・・・・・」
体格のいい男と痩せている男が見てきた。
「よく来てくれました。新庄さん」
奥のいすに座っている清水先輩が言った。
「それで利己は?」
「もうすぐ来ますよ。座ってお待ちください」
「そうだぜ新入生。くつろいでな」
「・・・休憩」
「・・・わかりました」
そうだな。急いでも仕方ない。
ここにいれば利己にあれるんだ。
利己に会うのは何年ぶりだろうな・・・。
あの約束覚えてるかな。
「やーやー。皆さん元気だったかな~!」
扉を豪快に開けて入ってきた女子生徒。
「あれ?見ない顔だね。誰?」
「昨日連絡があっただろ。チームに入りたいっていう新入生だ」
「お~!君がそうなのか!!うんうんいい男になる素質があるね~!」
「・・・あの、まじまじ見られると、その・・・」
「何だい。照れちゃって可愛いな~」
「だ・・抱きつかないで下さい!!」
「命?どうしたの」
「・・・利己?」
扉の外を見ると懐かしく見覚えのある顔がそこにあった。
「・・・・・・」
「利己!」
俺は利己の方へと駆け寄った。
「利己。久しぶりだな。覚えてるか?」
「・・・・・・」
「・・・利己・・・」
「会長。この人がチームに加わりたい新入生ですか?」
「はい。そうですよ」
「・・・・・・」
「すみませんが私は反対します」
「・・・利己」
「あなたが私の名前を呼ばないで下さい!」
「・・・ごめん」
「まさかこの学園に来るなんて・・・、教えたのは父ですか・・・」
「利己のお父さんは悪くないんだ。俺がお願いしたんだ」
「その口で名前を呼ぶな!」
室内が静まり返った。
「会長。試験はどうするんですか?」
「そうですね。誰で手合わせするかまだ決めてないんですよ」
「ならこの俺、東郷 真が!」
「私がやります。会長」
「いいの?水島さん」
「構いません。では新入生。いきますよ。・・・ダイブ」
「・・・・・・」
「何ぼさっとしてんだよ。早くしろよ」
「・・・サボり駄目」
「私先に行ってるね~。ダイブ!」
他の先輩方も先に行ってしまった。
「新庄くん。大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
「無理ならまた後日でも構いませんよ」
「・・・清水先輩」
「はい」
「あれが今の水島利己ですか」
「・・・ええ。私達の知っている水島さんよ」
「俺の知っていた利己とはだいぶ変わりましたね。やっぱりあの時のあれが原因か・・・」
「・・・何があったのかは深くは聞きません。でも、新城くんが原因かどうかは直接本人に聞いてみたらどうですか?」
「・・・え?」
「もしかしたら違うかもしれませんよ。だから直接聞きましょ」
「・・・そう、ですね」
わからないことは利己本人から聞けばいい。
シンプルでわかりやすい。
「わかりました。・・・ダイブ!」
「お。キタキタ!」
「遅いぞ新人!」
「・・・遅刻」
「準備が出来次第開始します」
「新城くん。頑張って下さいね」
「はい。頑張ります」
「・・・準備はいいですか」
「ああ。何時でも」
「あなたのLv1。スキルはないということですか。でははあなたに合わせてこちらも通常攻撃のみとさせてもらいます」
「わかった」
「試験の合格は開始から30分以内に私に一撃でも与える事。それが出来れば合格です。よろしいですか」
「ああ。何時でもいいよ」
「・・・会長。合図をお願いします」
「わかりました。ではこれより新規加入者への試験を開始します。・・・始め!」
「いくぞ!」
利己の懐に飛び込む。
「甘いです」
魔法攻撃が飛んできた。
それをギリギリで回避し直撃を防いだ。
「!!?」
いてぇ~・・・。
回避してこれかよ・・・。
これほどの痛みだとは思わなかった・・・。
「お~あの新人やるな」
「・・・出来る」
「すごいすご~い!」
「水島さんの攻撃をよく避けましたね」
何か観戦している先輩方が驚いてるな。
そんなに凄いのか?
「よそ見してる暇はないです」
続けざまに魔法の通常攻撃が放たれる。
それをどうにか避ける。
「くそ。近づけない」
利己ってこんなに強かったのか。
昔はよく泣いていて俺が守ってやってたのに。
「どうしました?避けるだけで精一杯のようですね」
「クソ!」
「なぁ、どっちが勝つと思う?俺は水島だな」
「・・・同じく」
「私は新入生かな。会長は?」
「・・・そうですね。私は―――」
「甘いです!」
しまった!避けた場所に攻撃が・・・!
「グハっ!!」
・・・ちくしょう。
もろに食らった・・・。
息が出来ねぇ・・・。
「どうします。降参するならここで終わらせますが?」
「・・・・・・」
ここまで強くなってたのかよ・・・。
レベルの差が違いすぎる。
今度こそ守るって誓ったのに。
・・・これじゃあ無理だな。
利己の言ったとおりこのまま降参するか。
俺がいなくても大丈夫そうだし・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・違う。
何逃げてるんだ俺は。
利己が強くても関係ない。
俺が利己より強くなればいいだけだ。
利己の盾に俺はなると決めたんだろ!
なら勝たないとな!!
「立ち上がる力がまだありましたか。それでどうします。力の差を思い知ったはずです。降参しますか?」
「・・・まだ終了まで10分ある。誰が降参するかよ」
「死ぬほど痛い思いをまだしたいと」
「やってみろよ。俺は利己を今度こそ守るって決めたんだ!生半可な攻撃じゃあ止まらない!!」
「勝手に言ってなさい!」
「っ!」
「お~・・・。よく立ち上がったな。やるな新人」
「・・・根性」
「かっこいいね~。それに利己っちも動揺してるね。何でだろ?」
「どうしました。私に一撃与えないとチームに入れませんよ」
「近づけない!」
利己の攻撃が的確すぎる。
俺が次にどこに移動するかわかってるみたいだ。
・・・待てよ。
そうか、わかってるんだな。
利己は昔から耳がよかった。
その身体能力がプログラムに更新されてるから耳がにいいんだな。
でも何の音で・・・
「よく避けますね」
「っ!」
まただ。
一体何の音で・・・。
音が鳴る物なんて何も・・・これか!
「何やってるんだあいつ?」
「・・・脱皮」
「え?まさかこれって脱いで・・・!!」
「な、な、何をしている!!」
「何って脱いでるんだよ」
「脱ぐ必要があるのか!」
「ある。利己勝つためだ」
「どういう意味だ!いいから着ろ!!」
「いいや着ない。それに脱いだのは防具だけだ。盾はある」
「ふざけるな!」
「・・・思ったとおりになった」
利己は俺の防具の音を聞いて避ける場所を特定してたんだな。
これで攻撃が避けやすくなった。
これでいける!!
「っ!」
「いくぞ利己!」
「スゲーぞ新人が押し始めたぞ!」
「・・・奇跡」
「まさか利己っちに勝っちゃうのかな!?」
「・・・・・・」
よし!攻撃が届く範囲まであと少しだ!
だけど、さっきよりも攻撃速度と精度が上がってきてるな。
まぁ近づけばそうなるか・・・。
チャンスは一回。
絶対決める!
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
「真正面から来るとは。終わりです」
「甘い!」
咄嗟に盾投げた。
「そんなのは攻撃入りませんよ」
盾を避けると姿が見えなくなっていた。
「どこにいきました・・・」
「ここだよ」
「!?」
後ろを振り向くと新城はいた。
「てい!」
利己の頭に剣の柄を当てた。
「勝負あり!勝者。新城 裕!」
「お前スゲーな利己に勝つなんてよ!」
「・・・驚愕」
「かっこ良かったよ~。お姉さん惚れちゃいそうだったね~」
「あ、ありがとうございます!」
奇跡的にどうにか勝てた・・・。
「おめでとう新城くん。これであなたは私達のチームの一員です」
「・・・・・・」
「水島さん。いつまで拗ねてるんですか」
「拗ねてません」
「・・・新城くん。聞くなら今ですよ」
清水先輩は他の先輩方に聞こえないように耳元で囁いてくれた。
「では、チームの紹介は明日にしますので、今日はもう解散しましょう」
「そうだな!じゃあな新人!」
「・・・さらば」
「またね~ルーキーくん♪」
「・・・後は頑張って下さいね」
利己以外の先輩は皆生徒会室から去っていった。
「・・・利己」
「気安く呼ばないで下さい」
「・・・俺の事、本当に覚えてないのか?」
「・・・・・・・・・」
「覚えてないならそれでいい。だけど謝らせてくれ」
「・・・・・・・・・」
「あの時は約束を破ってすまなかった」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・それだけ」
「・・・・・・」
「それだけなの?たったそれだけで許せと言うの・・・」
「・・・ごめん」
「謝らないで!」
「・・・利己」
「私がどれだけ傷ついたか知らないでしょ!ずっと傍にいてくれたあなたの裏切りで、・・・あなたの性で私は・・・私は人を信じられなくなったのよ!!」
「・・・・・・」
「誰も信じない。誰も信用しない。信じるのは私自身。そう決めたの」
「利己!」
「もう私に話しかけないで。・・・さようなら」