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すがぽん珍道中  作者: サビヒメ
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スガポン05 すがぽん、一歩前進

生暖けぇ風が流れて青い火の玉がポッポポッポでて白い煙がふわ~っと上がる。


「おおおーいしょ、おーい!でてこーい!」


幽霊出るには出たんだが、あんまり威勢がいいもんだから出るに出らんなくて後ろで考えてしまった。


「まだ出てこねぇかこのやろう!何やってやがる!「お待ちどうさんです・・・」


いきなり声が聞こえて肝が冷える。


「なんでぇ今お待ちどうさんっつったの誰でぇ!えぇ!?」


周りを見やって探してみたら、後ろで幽霊困ってた。

幽霊は前に出ると思ってたんだが、声が後で頬を掻く。


「ちょっ、コイツ後に居やがる…気味の悪ぃ前にまわれ前に!ちきしょう、前にまわれちきしょう・・・・何がお待ちどう様だこのやろう・・・てめぇ様ぁ天ぷらそば売って歩いてんじゃねぇんだろこんちきしょう!」


「大きな声ださねぇでくだせぇよぉ…人が来たら変に思われるじゃないですか・・・」


「えぇ・・・?出るなら出る出る、幽霊らしく、恨めしいとか言ってつけろよ・・・」


「恨めしくねぇんですもの、こっちはねぇ」


「殴るぞおめぇ、何が嫌で恨めしくもねぇのに毎晩毎晩枕元に出てきやがるってぇんだいっつもいっつも「そうじゃねぇんすよ・・そぉじゃねぇんすよ・・・いぇいぇ、いぇいぇ・・・


・・

・・・。


「うぇっへっへっへっへ・・・おやかたぁ、少しコマまわしちゃぁくれませんかぁ・・?」


「ダメだダメだ、お前さんが懐寒ぃのは知ってんだ、おめぇの腹ン中こっちも読んでやってんだ、そいつはナシにしてもらおうか」


「へっへっへっへ、親方ぁ・・あっしも幽霊やってんで、足は出しませんよぉ」


すっと背筋を立ててお辞儀をする。


<<チャリーン>>


「んー、あれだな、やっぱへっつい幽霊は難しいな、最後の掛け合いの幽霊の嘆きがどうやったらいいんかな・・・」


ん?幽霊?幽霊なんて出ちゃいないよ。

でたのはへっつい幽霊だよ。


ふー、コレで本日6席目、大分堂に入って来たんじゃないだろうか。


昨日の夜は海の日だったんで海で飲もうと思ったが、ちらりと戸板を開けてみりゃまだしとしとしとしと降っていやがる。


なんで仕方ねぇから不味い酒かかえて座布団座って一人でのんだ。


海の日だからねってんで、海の家でのんべんだらりとしてるなら、まぁそれもわるくねぇかとちびちびやってる間に寝ちまって、二日酔いがひでぇかなと思いきや、朝にはスッキリ酒が抜けていた。


まぁ味は残念だがものとしては悪くなかったんだなぁと思いつつも、残ってるのが正味あらじの空瓶とあっちゃ、しこしこポイントかせがにゃなあと思う所にもなろうもんだわな。


も少し貯めればまとも酒も買えるかしれん。


さてと、一心地つけたところでもう一席とも思ったが、如何せん午前様から座りっぱなしで少し腰が痛くなってきた。


上にあがって新鮮な空気でも吸ってこようかなという気にもなる。


よしと頬を叩き、よいしょよいしょと梯子を上り、戸板を開けると雨はきれいさっぱり止んでいて、雲一つない快晴だった。


「うーん、やっぱ海は白い砂に青い海だよなぁ」


と、一人ごちてもろ肌脱ぎに一人海へと歩き出す。


海にふんどし一丁でざぶざぶ浸かりながら過ごしてると、強迫症状という単語を思い出した。


強迫性障害とはつまるところ、何か起因があって、それに対する恐怖感から、その状況に対する嫌悪感が募り、自分でもバカバカしいと思いながらも、その行為を止められなくなる精神病の一つである。


生活に支障を来している人が現在40人に1人いるといわれる。


たとえば、一日に何十回と手を洗ったり、鍵かけ忘れたかなって家に何回も帰って確認したり、洋服だのの順番が1個ずれると最初からやり直したりする。


たんに汚れてるから洗う、のではなくて、自分で洗わなくてもいいのに。とは解りつつも、洗う行動をやめようとすると、強い不安感が襲うような状態なんだな。


大体はまぁ強いストレス環境下におかれておかしくなっちゃうんだけど。


治療法としては、原因に触れながらその恐怖感を抑えるために、

手を洗ったりだとか、鍵の確認だのを我慢して、すこしずつ慣れていったりして、社会復帰を目指していく。

それを支援する団体もある。


俺がさっきからビーチを見やっては、ビキニの女衆が居ないかをしきりに確認してるのも、脅迫症状に類するものなのじゃないのだろうかと、思っているんだ。


思い返せばつい胸の大きい人の谷間を何度も何度も確認してしまうのは、あれも強迫症状なんだな、俺は決して悪くない。


一しきり思案が終わり、ぷかりぷかりと水に浮かぶと、鼻の上にヤシの実が落ちてきた。


「へぶっがぼぼぼぼぼ」


頭が痛いわ水を飲むわ、頭の中には≪人は痛くなければ覚えんのです・・・》とか聞こえてくるわ。


何を覚えろっていうんだよ!どんな特殊状況だよ!

何か、この痛みを忘れないでねってか!?

もう絶対お前この島出るとき伐採してやるからな!!


もう色々と凄いことになってちょっと死が垣間見えたが、もうそんな時間か、とひとまず島に戻る。


「いただきます」


手を合わせお辞儀をし、思案する。


当面の目標としてはポイントをある程度貯めて、この島を脱出ないし、何か進展を見出すために、あの自動販売機から≪鍵≫たるものを取得せにゃならんな。

あの後違う話と同じ話をやってみたが、貰えるポイントは一律1RP。

しかし、点数の付け所が違うようであった。


新しい話、というか、まだやってない演目であれば、文化ポイントに入り、すでにやった話であれば、文化は0RPでその他にポイントが入るようだ。


つまるところ、新作なら新作1点、新作じゃなくても努力点で1点あげるよ、でも今あんたアレだからね、本当なら1点もあげないんだからね。

てなかんじの自動販売機の思いが少し伝わってくる配点だ。

余談だが、わりとまくらやしめがポイントが入りやすい。


うん、つまりは内容がアレなんですね、すみませんガンバリマス。

取りあえずの所、今のペースでノンビリやれば1日10RPは稼げそうだ。


それと新しい発見として、どうやら口頭でリクエストすると点数内であれば新しい品目が表示されるようだ。


以下が現在のラインナップである。


<<塩     5p>>

<<砂糖    5p>>

<<靴下    4p>>

<<パンツ   4p>>

<<水     3p>>

<<玉葱    2p>>

<<ふんどし  1p>>


さばの水煮だとか、イナバのタイカレーやらコンビーフだとか缶飯だとか、比較的安いであろうものを上げてはみたものの、どうやら出なかった。

ああ、米が食いたいなぁ。


それと、取りあえず必要かなと思った中で、着替えがあったので言ってみたら通った。

取りあえず、当面はふんどしでいいかなぁ。

温暖な気候で、夜もさほど気温が下がらないため、ふんどし一丁でも問題が無いのである。


むしろすがすがしい気分にもなってる自覚がある。

ティッシュ系もと思ったが、基本は全部水洗なのでいいかと思い、頼まなかった。

もしかしたらリクエストにも限りがあるかもしれないのだ。

肝心のポイントがたまった上で希望の物が手に入らないとなったら大参事である。


「ごちそうさまでした」


大体方針が決まったあたりでヤシの実が食べ終わったので、2畳間に戻る。


まぁヤシも食ったし座っててもしょうがないので、まずお辞儀。


「こんにちはー「えー・・・っちわ「あぁ誰かと思ったら、はっつぁん「えーあーじゃ、お邪魔していいかな「ええあぁ、いいよ、あがんな。

・・

・・・。

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