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すがぽん珍道中  作者: サビヒメ
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スガポン04 すがぽん、壁に語る

「つれづれなるままに、日ぐらしすずりにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」


一日ぼーっと硯にむかって妄想書いたら憑かれた様に筆が止まらぬと、卜部さんは言っていたが、やっぱりあいつ天才だな、俺何も浮かばなくなってきたもん。


・・・・ん?


ああ、あががががってなってるよ?

あれから3日が過ぎたんだ。


あの時からだを拭いた布っきれは和服だった。

ちょいと小さく胸の頭に斜めにかかる。

どうやら少し色っぽい。


にやける俺の現状は、やまない雨を寝て待って、居たり立ったりしてるンだが、どうにも個室に孤独じゃやること無くて困ってた。


起きて半畳 寝て一畳と漱石さんも言っちゃあいたが、まさかそこから一歩も出ないとまではおもうめぇ。


これはアレだな、こういうストレステストあったな、狭い空間に押し込めて、暇な時間で何するかって、アメリカのクレイジー染みた実験が。

俺はまぁ、用を足しに出られはするが、ここ以外に行き場が無いから、やっぱり一緒の様な気もする。実験終わりの合図は無いが。


そこでうんうん唸ったわけだ。

まぁ一応?定例議題はあったんだよ。目の前の箱は何なのか、ってね。


ここに一つの箱がある。縦は2尺の横1尺。

どうやらそれは自動販売機の様を呈している。

陳列棚には液晶画面が、下のところに取り出し口。どうやら金を食うわけじゃない様だ。

こいつに支払うチップもないが。


お金の表示のある場所には、なにやら 1RPという謎表記。恐らく、多分はこれを消費するとはと思うのだが。


上の液晶版は真っ白で。何を買うかもわからない。


「これはあれか?田舎の田んぼの道路にぽつーーんってあるあの深夜にこっそり自販機か?」


等とごにょごにょ喋ってみるも、特に当たる節もない。

そうして3日が立ったところだ。



ふむ。分からないことが分かったなんて恰好のつけた事を思ってみても、自体が移ろうはずもなく、暇すぎて死にそうな事をどうにかしたいと思う。

なんだ、何か一つ議題を俺にくれ。


こんなことなら日本三大奇書が一つ、黒死館殺人でも持ってくるんだった。

難解過ぎていつも思案に現をぬかし、とうとう読み切ること無くここまで来ちまった。

アインシュタインとド・ジッターの無限宇宙論争の件も今の暇さなら行ける。

三回転半ぐらいさらにひねられても大丈夫だね、いや嘘言った、多分無理。


黒死館で思いついたが、恐らくどん詰まりの時は論理を超えた何かが必要で、しばしば発想の転換期に入る。


それでは何をするべきか。


「そうだ、一席ぶとう」


上手く出来るかどうかは分からないが、俺の好みは談志、何をしようと手前の勝手、下手の横好きへのかっぱ。

取りあえずはまぁやってみようというわけだ。


「まぁね、これでも現世って言っていいのかは分かんないんだけどさ、俺が居た前の世界じゃ良く談志師匠の話を聞いてたんでね。

門前の小僧習わずとも経を読むとね、いっちょやってみようじゃねえかと来たところで。これからやる話は染物屋の弟子思いの親方に一途な弟子と大名道具の花魁とでののお話でございましてね、古典落語らしいものであるンですが、こう湿った日にゃあカラっと気持ちも晴れるような、しかしまたお涙頂戴して湿ってしまうそんなお話でございます。

「たつ!「へいっ・・・「久蔵はどうしたい?「寝てます。「なに?寝てるって「患ってます・

・・

・・・。


門前市をなした、ってねぇそりゃそうでしょう。

昔はこういう、差が激しかった、そりゃいい悪いは別としても・・最高のところが、ね、庶民というか、地面のところに来たその心意気っていうのに・・・江戸がわっと沸いたというのは、さもありなんとも思いますがね。

なんかねぇかねぇ、菅谷修平に惚れてなんていう、なんかねぇかねぇ。ねぇこともねぇんだろうけども。島に来てまだ空のウニとヤシの木しかみてねぇ様じゃ恐らく望めねぇだろなぁ。もう無理かな、中々な。

昔から謂う紺屋高尾の一席でございました」


<<チャリーン>>


なにやら珍妙な音とともに、よく見れば自販機の表示枠に<10RP>と表示されていた。


「ああ、ああーっ、なるほどね!RPは落語ポイントね!なんだ簡単じゃーん、そうか落語ポイントかー、だったら俺凄いよ?いっぱいあるよーじゃんじゃん行ける。次はなんにしようかなぁ」


等と一席ぶった興奮冷めやらぬところで自販機を、ちらりとみると表示枠に。

<文化点初回ボーナス9点>

<まくら      0点>

<調子       0点>

<間        0点>

<盛り       0点>

<振り       0点>

<おち       0点>

<しめ       0点>

<合計9p>

<評価、前座補佐代理>


「はっ?!細かっ!採点細かっ!絶対この機械落語マシーンかなんかだろ絶対!

しかもなんだよ前座補佐代理って、その前座の人どこに居ンだよ、教えてもらうわ落語。

まじかー・・、くっそ、最後の方結構気合入れてやってたのに、もう俺結構汗かいてるよ?

しかも文化点初回ボーナスってなんだよこれ!!これ次回から貰えないんじゃないのこれって!?

まぁ確かに自分でやりながらちょっとにやけちゃったりさ?途中かみっかみだったところもあったし、談志になったり志ん生になったりしたような気もスっけどね?!

でもこれあきらか俺だからダメって言ってるようなもーんじゃーん、はー・・・」


等とぶつぶつ嘆いていると、自動販売機の表示が変わる、真っ白だった画面の白からぐるぐると洗濯機の様に回転する渦が映る、やがてなにやら文章が映し出された。


<<調理酒 10p>>

<<塩    5p>>

<<砂糖   5p>>

<<水    3p>>

<<玉葱   2p>>


日本語かよ!!いや、日本語じゃないと読めないけどさ!!

なんかがっかりだなこの残念自販機!!


ふう・・・落ち着け、落語に詳しかろうと、俺が如何に評価されなかろうと取りあえず置いておこう。

コロンボみたいにクールに行くぜ。


・・・ふむ。まぁ色々でたな。

なるほどこれは購入できるポイントまで貯めると表示されんのかな?多分だけど。

んで、この画面を操作して購入、と。


んんんー?コレどーっすっかなー。

やっぱさー、一番気になんのは調理酒だろ?だって酒だよ酒、フランス語でいえば命の水だよ?

まぁそれはブランデーだけど。

でもさ絶対これ、絶っっ対まずいやつだよこれ、だって話一本で買えるんだろ、まぁ塩とか砂糖とかも量もわかんないけどさ、多分この話で30分かそこら話してるから、時給700円だとして、350円でしょ?

いやまぁ、俺練習もなんもしてねえしな、そりゃ確かにさっきは評価にたいして色々言っちまったが、基本素人だしなぁ。

まぁまぁ、700円で?


30分350円だから、10pで調理酒350円の。5pが砂糖、砂糖175円。玉ねぎが2pつまり玉ねぎ1おそらくで70円。


どういう値段だよ!!

単位分かんねぇよ!


えー・・・・怪しすぎるなコレ、まぁこれ貯めといてもいいんだけど、取りあえず稼ぐ方法見つかったしなぁ。

・・・んじゃまっ、折角だし景気づけにいっぺぇいってみんべか。


「よし、んじゃ、調理酒にしよか。調理酒一つくれや」


何も起きない。


定例として5分ぐらい待ってみたが、何も、起きない。

調理酒という文を触ると<<調理酒 購入しますか?>>と表示が変わる。タッチパネルかよ!と騒ぎ立てたかったが、取りあえず操作できるので続けて操作していくと、<<ガチャン>>と自販機らしく、下のポケットに500mlぐらいのボトルが落ちてきた。



【調理酒】

 ∟1.8ℓ


自販機の中に手を入れて、取り出してみると大きくなった。


「でけえよ!?なんで一升なんだよ!いやまぁ嬉しい・・・からいいか、なんか疲れたわ」


こうして俺は、かなり怪しい感じだが酒を手に入れることが出来るようになった。

とはいえ、ポイント制度が怪しすぎる所為で、いつまた買えるか分からないので少しずつ飲もうと思う。


取りあえず記念すべき初収穫となるその酒をルンルン気分でヤシの殻にそそぐ。


「あー、なんかいいね、この、マスじゃないけどこの、木のお椀に入れる感じ」


とわけの分からぬほめ言葉を呟きつつクイっと煽る。


「ぶっまっっっっっずこれ!まっず!!」


まぁ、本当に予想通りであったのだが、本当に不味かった。

しいてたとえるとするならサルミヤッキという奇怪な、リコリスの実と塩化アンモニウムの化合物のあれな、あれになんかどろっとした・・・甘酒のコクの部分だけ10倍に濃縮したみたいな感じのコクを加えたみたいな味がするわ・・・。


なんだろう、一口飲むごとに苦味がたまってく気がする。あー、やばい不味い。

あと酔いが早い。

これはアレだな、人間をぶっ壊すために生まれてきた酒だな。


「てかこんなん料理にいれちゃってまともな料理できんのかよ・・・くそまじいにもほどがあんだろ・・・」


等とつぶやきながら、今日も夜が更けていく。


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