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LOST DAYS  作者: GRR
1/8

第1話 -別の音-



「寒ぃね」



まんま口から出した。

人気(ひとけ)のない放課後の校舎。その一室の照明が点灯、生徒が集い『部活動』を始めている。


肌寒い年度末。こと期末試験期間において、全校生徒は部活動停止、完全下校を規則としてる。



「なんで鍵持ってたの」


「いいから手を動かせ」



俺達は[パソコン室]を失敬した。無許可で。

「成果物の納品期限」を言い訳に"試験期間"に[パソコン室]を開けた部長様にぼやきながら、俺はパソコンのキーボードを叩いた。


カチカチカタカタ、カチカチカタカタ。


今日も多分ずっと鳴ってる、部屋内に響く作業音。

そいつに集中していたとき、ふと窓の外の"別の音"に気が付いた。



「ん」



結構はっきり、確かに聞こえた。俺は作業を中断させて席を立った。



「サボったら飲ますぞ~」


「ちょっと休……え、何を怖い怖い怖い」



部長様から休憩の許可を得た。しかめ面だった。

俺は窓に歩み寄り、カーテンのスキ間から外を窺った。


外は既に真っ暗だった。冬場の日の沈む速度に感心しつつ、"音"の聞こえた方向を流し見た。



「……気のせい?」



"音"はもう聞こえない。それに暗くてよく分からない。

せっかく得た休憩タイムも、目的の音の正体を確認できずに過ぎようとしていた。



「……ありゃ?」



カーテンを閉め直した時だった。今度は窓の反対方向、部屋の出入口側から"別の音"が聞こえた。



「なに、蟻ゃ?」


「違う」



丁度部長様とも目が合った。



「先生来ちゃったかな~」


「まじで。やっと帰」



っぶね。



「ん~?」


「何でも、部長様。俺が出る」



俺は少し遠回りをして出入口の鉄扉に向かった。

"音"はまだ聞こえている。センセーとかが「とっとと帰れ」と言いに来たと、そう思った。



「ハイどちら様です?」



声を掛けながら、俺は出入り口の鉄扉に近づいた。



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