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今昔の果て  作者: ユーリ
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1話 日常


 今日私は親友を殺した。なぜこんなことをしてしまったのか自分でも分からない。私は彼女を愛していた。


 私は狩野由香。群馬に生まれたごく普通の女の子。見た目は素朴でどこにでもいる陰キャメガネだ。家庭も一般的で特に目立ったものもない人間だ。

「お〜いご飯だよ〜」

夜ご飯の時間だ。私は勉強を一時中断して1回のリビングにご飯を食べに向かった。

「受験勉強終わったんだから少しは気を緩めてもいいのよ?」

ママは心配そうに話しかけてきた。

「受験はなんとか合格したけど、ギリギリだったし勉強についていけなくなりたくないからね。」

私は難関と言われる東京の高校を受験し、なんとか合格した。将来のためにいい学校に行っていい会社に就職して親孝行をしたいと子供ながらに思っていたのだ。

「勉強頑張ってくれるのはいいけど、お友達と遊んだりすることもママは大事だと思うけどな。」

中学のほとんどを勉強に費やしたおかげで友達と言える相手がいない私をママはすごく心配していた。けど勉強を頑張っていたから他のことをする余裕はなかったのだ。

「友達なら高校に入ってから作ればいいよ!中学では特に仲良くしたいなって人が居なかっただけだし!」

ママに心配をかけたくない一心で強がった。ママは「まぁそーね。」と言ってその話しにはもう触れなかった。

遅れてパパも食卓についた。

「とりあえず受験も合格したし安心できるな。」

パパは安心した表情で私に笑いかけた。

「パパはあんまり何もしてくれなかったけどね〜。」

私は冗談混じりで話した。パパは申し訳なさそうにしていた。こんな感じで私たち家族3人は平和に日常を送っていた。

 進路が決まった私は残りの中学生活をどう過ごすか少し考えていた。友達のいない私は勉強がなければただのぼっちだからだ。これから誰かと仲良くしようという気にもなれなかった。

「退屈だな〜」

早く卒業の日にならないかと心の底から思っていた。

 月日が過ぎ、ようやく卒業式を迎えた。卒業式が終わり、最後のホームルームを終えて家族と帰ろうとした時、クラスメイトに話しかけられた。

「由香さん、最後だしみんなで写真撮りたいなって思うんだけど。」

学校ではほとんど話さないため、どう答えればいいか焦ってあたふたしてしまった。

「わ、私なんかが写っても大丈夫なの?」

クラスメイトは困り顔で返してきた。

「当たり前じゃん?同じクラスなんだし!」

そう答えたクラスメイトは続けて話した。

「あまり由香さんとは話したこと無かったけど、私たちが面倒くさがってた仕事とか色々してくれてたし、結構感謝してたんだよ!」

まさかの答えに私はさらに動揺した。クラスメイトからは煙たがられてると思っていたからだ。

「別に大したことは……」

何を話していいのか分からず、あたふたしていると、

「謙遜しなくていいよ!ほんとに思ってる事だから!良かったら連絡先交換しない?由香さんとちゃんと話してみたい!」

私は突然の事で戸惑いながらも初めて両親以外と連絡先を交換した。

「ありがと!春休み良ければ遊んでね!」

私は小さく頷いた。

 クラス写真を撮り終えて両親と一緒に卒業祝いのお寿司を食べてうちへ帰宅した。

「ママ今日ずっと泣いてたね。」

パパがママを笑いながらからかっていた。

「パパも少し涙目になってたくせに。」

ママもすかさず、反撃していた。

「由香もおつかれさんだったね。高校入学まで少し勉強のことは忘れて羽を伸ばすといいよ。」

その言葉を聞いて私はクラスメイトとの事を話したくなった。

「今日初めてクラスメイトと連絡先を交換したんだ。春休み遊ぶかもしれない。」

ママとパパが驚いた表情で見つめてきた。

「それはよかったわね!勉強ばかりで友達ができるか心配だったけど、由香のことを見てくれてる子もいたのね。」

まだ友達ではなかったけど、ママが喜んでくれたからそれ以上は言わなかった。

 春休みに入ってすぐにクラスメイトの相田芽衣からメールが来た。

「今度由香ちゃんともう一人の友達三人で買い物でも行かない?カフェとかで話そうよ!」

初めてのクラスメイトとのメールで初めての遊びのお誘いに内心戸惑いつつも嬉しい気持ちになった。

「私なんかで良ければよろしくお願いします。」

初めてのメールにいい返事が思いつかなかった。芽衣さんは「よろしく!」という返しがきていい人なんだなと思った。

 遊ぶ日になり、私は出かける準備をしていた。

「どんな服がいいんだろ?」

悩んでいるとママが状況を察してくれて一緒に準備を手伝ってくれた。

「初めてのお友達とのお出かけだからね!気合い入れな!」

私より気合いの入っているママを見て少しだけ落ち着いた。

準備を終えて集合場所に向かった。集合時間の十五分前に着いたのでまだ二人とも来てなかった。心の準備をするには丁度いい時間だった。

「おまたせ!」

芽衣さんともう一人のクラスメイト谷口茜さんが駆け寄ってきた。

「ごめんね!待たせちゃって!」

私は大丈夫と小さく頷いた。

 二人と合流してしてから大型ショッピングモールで服や小物の買い物をし、疲れたのでカフェに立ち寄り休憩した。

「由香ちゃん無理してない?結構疲れてるように見えるけど。」

茜さんが私を気遣ってくれた。

「大丈夫。こういうの初めてだけどすごく楽しかったよ。」

私がそう言うと二人とも嬉しそうに答えた。

「私達も楽しかったよ!もう少し早く声掛けてたらもっと遊べてたのにね!高校は別だけど、また遊ぼうね!」

その言葉に私は泣き出しそうになるのをグッとこらえた。

 カフェを出た私たちは最後にプリクラを撮ろうという話になったので、ゲームセンターに向かった。そこにクラスメイトの男の子たちがいた。

「あ、芽衣と茜じゃん!ゲームしに来たんか?」

そう話しかけてきたのはクラスの中でも目立つ方だった滝川玲央くんだった。

「あんたいつもここにいるけど、暇なの?」

芽衣さんは玲央くんと幼なじみでよくこのゲームセンターにも来るそうだ。

「今日ほんとは他の奴ら呼んでサッカーする予定だったんだけど、風邪ひいたやつが三人くらいいて無くなったから暇になっただけだよ」

芽衣さんと玲央くんが楽しそうに話していた時、茜さんがコソッと話しかけてきた。

「あの二人付き合ってるように見えるよね。どーなんだろ?」

私はあまりクラスの交流関係を知らなかったから「わからない」と苦笑いをしながら言うしか無かった。すると玲央くんが私を見て、

「この子誰だっけ?」

唐突に質問してきた。

「同じクラスの狩野由香ちゃんだよ?なんでわかんないの?」

芽衣さんがちょっと怒り気味で玲央くんに答えた。まぁ私を知らないのは当然だろう。誰とも話してなかったし、いつも教室の隅っこで勉強しかしてなかったから。

「私影薄いし、分からないよね。」

すると玲央くんが笑いながら、

「全然知らんかったわ、ごめんな!」

別に気にしてはいないが少しむかついた。それに芽衣さんと茜さんが怒ってくれてその場を離れた。玲央くんは本心を言っていたようでポカンとしていた。バカそうだ。

「気悪くさせたよね、ごめんね。あいつ悪いやつじゃないけど、空気読めないとこあるからね。」

芽衣さんが謝ってきたが私は本当に気にしておらず、大丈夫と笑顔で言った。

 プリクラを撮り終えてクレーンゲームで遊んで帰る時間になったのでここで解散することになった。すると芽衣さんが

「玲央まだいるっぽいし、ちょっと付き合ってくるわ!」

そう言うとお別れの挨拶をして玲央くんを探しに向かった。それを見送って私と茜さんは一緒に帰ることにした。

「今日は楽しかったね!春休みはまだ長いし、また遊ぼうよ!」

そう言われると嬉しくて大きく頷いた。

 駅まで一緒に向かい、家の方向が違ったのでそのまま別れた。一人になり、今日一日のことを考えたらすごく寂しくなった。今まで同級生と休日を過ごすことなどなく、名残惜しい気持ちがあった。帰りの電車で二人のことを考えているとまた会いたいという気持ちともう一つ自分でもよく分からない感情が芽生えた。芽衣さんが玲央くんのところに向かおうとした時、駅まで茜さんと二人で帰り別れた時、私の心には今まで感じたことの無い何かが生まれていた。初めてのことばかりだったからかもしれない。けど、後にあれほどの事件が起きてしまうとは今の私に知る由もなかった。

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