1号
馬車を降りた、その先には...あの日、マノンさんと出会った施設があった。
マーリン「...ここは、マノンさんの職場ですよね...。1号はなぜ、あの部屋に居たんですか?1号も、他種族の者なんでしょうか。」
マノン「いや、1号は...彼女は特異体質の人類だ。亜人類という、人類に元々備わっていた力が特異変化し、発現した。」
マーリン「人類の力が特異変化した...。元々はどんな力だったんでしょうか。」
マノン「未来予知の力だ。だが、彼女の力はまだ研究段階であまり詳細が分かってない。」
話している内に、特別隔離室と書かれた部屋に案内された。
その部屋にはガラス越しではあったが、眠ったままの1号が居た。
マノン「彼女を見て、何か思う事はあるか?」
1号は、相変わらず透明な白さだ、というのは違うのだろうか...。他にもっと...。
マーリン「あ...なんだか、髪が長い?」
マノン「そうだ。これは予測の範囲に過ぎないが、恐らく彼女は寝ながら通常の数倍の時を生きているのではないか、という事だ。毎回のデータでは、約5年分に値する。」
マーリン「毎回...?1号は、一体幾つなんですか?それに、半年寝てるだけで5年も...寿命がすぐ来てしまいます。」
マノン「彼女は生まれて22年経つ。マーリン、お前に合わせた時は17歳頃だったと思うがな。時を早めたり、巻き戻したりとやりたい放題なのだ。難しいのが、本人は無自覚で力を酷使している。だからすぐ、眠くなるのだ。」
マーリン「なぜその事を本人に言わないのですか?」
マノン「記憶の混乱を招いた事があったのだ。かつて、私と彼女は同郷の幼馴染みだった。彼女の力が発現したのは...あれはまだ幼い頃だった。今と同じ現象が起きたのだ。じきに町医者のベッドで目を覚ました1号は、5年もどこに居たのか、と聞いてきた。まだ半年しか経ってないと説明しても、彼女に記憶があったのだ。私が居なくなり、5年経ったという記憶が。先生は記憶の混乱を避ける為に魔法がかけられた特別な部屋を用意し、慎重に観測するようにと言い渡してきた。」
マーリン「1号が、マノンさんの幼馴染み...。それに、先生も、この部屋に魔法をかけていたんですね。」
マノン「この研究施設が出来てからは、先生の魔法ではなく人類の魔術による管理でデータを収集している。お前も見たと思うが、ここに居る者達は生きやすい環境下で管理されるべきなのだ。彼女にも、何が適切なのかを考慮している最中だ。」
―マグノイヤー魔導師・執務室―
話はまた明日にしよう。そう言われ、執務室のベッドへ案内された。
1号に関して、マノンさんに関して、沢山聞きたいことがあるが...話の整理も必要だろう。
私は横になりながら、明日は何をしようか考えている内に眠りについた。




