魔術研究施設
かつて、人類は人外との協定を結んだ。
互いに傷付け合う事はもう辞めようと、1人の男が多種多様な種族に掛け合った。
人類の国は、弱く脆かった。その命も短命であり、力も劣る。
人外との保安協定は多くの人々の心の支えとなった。
国民を不安と恐怖から救ったとして、当時の国王はその男を英雄とした。末代まで安寧を守護される様、エルフ族の魔法を受けることを命じた。
エルフ族の魔力は強力で、英雄の助けとなり、今の時代もまだ英雄の末裔は守護されているのだという。
―7年前―
人類の国とエルフの国の国境。
今日もエルフの国には晴れ間に花びらが舞い、美しい景色だ。我が国は今日も雨と霧まじり。国境に来ると、こうも違うかと驚くことだろう。
マグノイヤー「国境部隊長は居るか?」
国境兵「お疲れ様です。部隊長なら、エルフ国境側の兵に呼ばれて1km先の屯所へ向かわれました。」
我が国のかつての英雄が結んだ協定があれど、国境は互いの国がそれぞれ兵士を配置している。互いの国境兵は連絡を取り合い、通る者を監視する。
今の時代、魔術はあれど人類の国はまだまだ弱く脆い。他種族の者は、まだ危険視せざるを得ない状況だった。
マグノイヤー「...ローランド。探したぞ。」
国境部隊長・ローランド「おぉ、久しぶりだな。わざわざこんなとこまで来たのか。」
マグノイヤー「少し話す事が出来た。今夜、ブラウン通りの酒場で落ち合わないか。」
ローランド「随分急じゃないか。まぁ良いか、19時に向かうようにするよ。」
マグノイヤー「すまんな。」
ローランドは、私がかつて所属していた部隊で同期だった男だ。私が魔術の道を目指すと決めた時も、背中を押してくれた。甲斐甲斐しい所もあるが、総じて助かるものだな。
19時頃・ブラウン通りにて―
マグノイヤー「わざわざ呼び立ててすまんな。この酒場なら個室もあるし話しやすい。」
ローランド「話には聞いたことあったが、個室代も馬鹿にならんだろう?いくらしたんだ?なんてな...」
マグノイヤー「そんな事よりも、早速本題に入りたい。お前の国境兵としての意見と知識が欲しいんだ。」
ローランド「相変わらず忙しいヤツだな。まぁいいけどよ。」
マグノイヤー「...近々、魔術研究所が設立される...これはまだ世に出ない内密の情報だ。国家を挙げての支援もある。これからの人類は、一般家庭でも使えるような術具が作成されていくだろう。」
ローランド「ほぉ。それがありゃあ、国民の生活も一気に活気づくし潤うだろうな。」
マグノイヤー「だがそこで1つ心配事なんだ。すでに入国済の他種族にも簡単に使える日が来る。当然、正しい使い方だけでは無い事例も出てくるだろう。そこで、おまえの情報が欲しい。」
ローランド「確かに、新しく入国して来た奴らに関してよりも、肝心の奴らはすでに入国済の奴らだ。問題の元を辿ればキリがない位にな。ただ、本当に問題なのは...人類側と他種族が手を組んでる事さな。例えば、闇市とかよ。」
マグノイヤー「闇市か...。確かに黒い噂は絶えないが、本当に存在したとは...。」
ローランド「まぁ、俺を慕ってくれる連中ってのも居る。そいつらも含めて、闇市に調査入れる位は俺にだって出来るさ。ただ、秘密裏にだ。」
マグノイヤー「....相談してみるもんだな。既に私の魔道部隊も用意はしてある。問題が起きる前に片付けよう。」
私たちは、何度も計画を練った。
国の兵士と、有志の者たち。更には私立の魔道部隊が動くのだから失敗は出来ない。
そしてその計画は、魔術研究所の発足が発表された後、闇市での情報を集めてから決行する事となった。
得た情報を元に、根本から闇市を解体するのが目的だった。




