――★中編★――
百一回目の金曜日。私は早退届け(理由:時空胃痛)を出し、放課後三時間前に軌道図書館へ。リブートの謎を調べるため、司書AI「頁魚」にアクセス。
〈検索ワード〉:〈リブート・シティ コア〉、〈時間巻戻 人工衛星〉。結果は検閲モザイク。だがAIが囁く。「観測者特権レベルを持つ者なら、コア干渉が可能」。観測者──記憶を保持する存在。つまり私?
空を見上げると、校舎屋上のさらに上、雲を突く塔「赫光スパイラル」がそびえる。最上部にコア制御室があるというウワサ。それが次の目的地。
私は相棒を求めて体育館へ。遼くんはバスケのフリースロー中。球がリングを弾き、私の足元に転がる。
私「遼くん、放課後、塔に付き合って」
遼「え?」
私「世界を救う作戦。ついでに大事な話もある」
遼「……面白そうだね」
こうして急造2人パーティ結成。
夕刻、塔の昇降リフトへ忍び込むと、SF映画ばりの真空チューブを真上へ射出。リフトの壁面ディスプレイが警告を連呼。「観測者以外の立入は禁止」
私は胸を張る。「観測者Aランクで~す」。たぶん無免許。
制御室には水晶球体──コア──が浮かび、内部で時計の針が逆回転していた。
遼「きれいだけど、なんか怖い」
私「ここを止めれば、何も巻き戻らない。今日の告白だってやり直しじゃなく“本物”になる」
操作パネルに手を伸ばす――警報。床が透け、量子スライムみたいなセキュリティドローンが出現。私は即興ラップで撹乱しつつ遼くんをシールドに(逆!?)。
遼くん「歌ってる場合!?」
私「ラップは言霊ブーストよ!」
ドローンの放電がパネルをショート。コアにヒビ。塔全体が悲鳴を上げる。
外の空に、再び緋色の裂け目。そこから覗く巨大な瞳と視線が合った。
〈実況〉「ラスボス“時空管理者”登場!! 勝算0.1%!!」
けど、遼くんが私の手を握る。
遼「もう巻き戻るのは嫌だ。今日を生きたい」
私「私も。だから、まだ言ってない言葉がある」
塔の非常口が開き、強風が吹き込み空へ。――コア崩壊までT-00:05:00。
私は遼くんに向き直る。「エンディングは、空の上で取るよ!」
――中編、終了。