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第十九章:新たなる光と影

ソフィア・フォン・アイゼンハルトは、王都で広がる噂を静かに聞きながら、ほくそ笑んだ。

エリスとレオンの婚約が発表され、貴族社会だけでなく庶民の間でもその話題は広がりつつあった。騎士と貴族令嬢の恋、裏切られた婚約者が本当の愛を手に入れる物語――それはまるで劇場で上演される壮大な恋愛劇のようだった。

「ふふっ……予想以上に美しい話に仕上がったわね」

ソフィアは窓の外を眺めながら呟いた。彼女の計画は順調だった。エリスとレオンの婚約は、貴族社会においても評価が高く、多くの人々が祝福していた。そして、その影で、エミリアとレオナルトはさらなる窮地へと追い詰められていた。


王都の広場では、庶民たちがエリスとレオンの婚約について語り合っていた。

「聞いたか? エリス様とレオン殿が婚約なさったそうだ!」

「ああ、あのレオン殿は王家の騎士団の中でも屈指の実力者だと聞く。それに、ずっとエリス様をお守りしていたとか……」

「まるで物語のようね……。裏切られた令嬢が、誠実な騎士と結ばれるなんて……素敵だわ!」

王都のあちこちで語られるこの物語は、まるで憧れの象徴のようになっていた。特に、エミリアが仕組んだ陰謀の顛末を知る者たちにとって、それは痛快な結末だった。

「それに比べて、あのエミリアとかいう女はどうなった?」

「ああ……あれはもう終わりだ。協力者たちも次々と職を失い、商人たちも関わりを絶っているらしい」

「そりゃそうさ。嘘で人を貶めた報いってやつだな」

人々は溜飲を下げるように頷いた。


エミリアとレオナルトは、完全に孤立していた。

レオナルト・フォン・グランツは、かつて王家に次ぐ権力を誇った名門貴族の嫡男だった。しかし今や、社交界で彼の名を口にする者は少なくなり、顔を合わせれば冷たい視線が突き刺さるようになっていた。

「まさか……こんなことになるとは……」

彼は唇を噛みしめながら、自分の判断の過ちを痛感していた。エリスを裏切り、エミリアを信じた結果がこれだ。貴族社会での立場も危うくなり、かつては彼に頭を下げていた者たちも、今では彼を避けるようになっていた。

そして、エミリアはそれ以上に悲惨な状況に追い込まれていた。貴族の支援を完全に失い、彼女に手を差し伸べる者は誰もいなかった。偽証をした使用人たちもすでに解雇され、行く当てもなくなっていた。

「私……何も悪くないのに……」

エミリアは震える声で呟いた。しかし、その言葉を信じる者は、もういなかった。


一方、ソフィアはさらなる計画を進めていた。

「さて、次は……」

彼女は新たに開発した魔道具の試作品を手に取り、静かに微笑んだ。生活を便利にする画期的な魔道具は、すでに上流貴族たちの間で話題となっている。さらに、王家には馬車の揺れをなくす特別な魔道具を献上することで、より一層の影響力を確立しつつあった。

「これで、私の認めた者だけが、より良い未来を手にすることができる……」

ソフィアはそう呟きながら、今後の展開を思い描いた。

光と影――それは、今後も続いていく。

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