表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

第九章:静かなる報復

 夜会が終わり、ソフィアたちは別室に集まっていた。エリスの汚名は晴れ、多くの貴族が真実を知ることとなった。だが、これで終わりではない。

「エリスお姉様、本当にお疲れ様でした」

 ソフィアは姉の手を取り、優しく微笑んだ。エリスは安堵したように息を吐き、穏やかに微笑み返す。

「ソフィア、あなたのおかげよ。本当にありがとう」

「いいえ。これはまだ序章にすぎません」

 ソフィアの瞳には、冷静な光が宿っていた。確かにお姉様の名誉は回復されたが、エミリアが裁かれたわけではない。むしろ、これからが本当の戦いだった。

「これで終わりではないわ。エミリアは今、追い詰められているけれど、まだ完全に潰れたわけじゃない。きっと何かしらの手を打ってくるはず」

「……そうね。彼女があれで大人しくなるとは思えないわ」

 エリスもまた、警戒を緩めていなかった。今までのエミリアの行動を考えれば、このまま引き下がるとは思えない。

「それに、もう一つ考えるべきことがあります」

 そう言ったのはレオンだった。彼の鋭い視線は、決意に満ちていた。

「レオナルト様、彼もエミリア嬢にだまされたとは言え、エリス様を陥れる手助けをしたのです。簡単に許すべきではありません」

 エリスの表情が曇る。ソフィアは当たり前だというようにうなずく。彼もまた、お姉様を傷つけ、盲目的にエミリアを信じた罪がある。

「当然ですわ。レオナルト様が、どういう思いでいたのかは知りませんが、私は許すつもりはありません。」

 その言葉に、レオンの目が細められる。彼の視線はエリスに向けられていたが、どこか柔らかいものが含まれていた。

「エリス様、ご安心ください。貴女を裏切った者たちには、必ず相応の代償を払わせます」

 レオンの真摯な眼差しに、エリスは戸惑いながらも頬を染めた。その様子を見ていたソフィアは、静かに微笑む。

「ええ。そのための準備はすでに進めています」

 そう、これで終わりではない。むしろ、ここからが本当の復讐の始まりだった。

 エミリアの影響力を完全に潰すためには、彼女が築き上げた偽りの評判を徹底的に壊す必要がある。そして、レオナルトにもその報いを受けさせる。彼はエミリアに操られた被害者ではない。盲目的に彼女を信じ、エリスを追い詰めた加害者だ。

「彼には、自らの行いが何をもたらしたのか、思い知らせる必要があるわ」

 ソフィアの瞳が鋭く光る。彼女の復讐の幕は、今まさに上がろうとしていた。

 ソフィアの唇に、静かな微笑が浮かぶ。

「エミリア、レオナルト……私たちを陥れた代償を、きっちり払ってもらうわ。覚悟しておきなさい……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ