【最終話】「ふたりとも愛している」宣言で大団円
「ミサ、あなたもです」
ブラッドのカッコ可愛い顔に、さらにやさしくキュートな笑みが広がった。
「これからは、あなたも父上に甘えておねだりしてワガママを言ってください。これまでの分もです。父上にとって、あなたは大切な妻なのですから。そのついでに、ぼくのことも可愛がってください」
ブラッドのカッコ可愛い顔にいま浮かんでいるのは、悪戯っぽい笑みである。
「イヤだわ、ブラッド」
そのあまりの可愛さに、推し活魂が復活した。
ブラッドを全力で抱きしめてしまった。それこそ、彼が「苦しいです」とギブアップするほど。
「ふたりとも、任せておけ。これからは、いくらでも甘えておねだりしてワガママを言えばいい。いままでの分もな。なにせわたしは、ブラッドの父親でありミサの夫なのだから。この際だから言っておこう。ブラッド、ミサ。ふたりとも……」
クラークは、ブラッドとわたしの下敷きになったままいったん言葉を止めた。
「愛している」
そして、囁いた。
「父上、聞こえませんでした」
「クラーク、聞こえなかったわ」
ブラッドとふたりで同時に言った。
「ふたりとも、愛している。これからは、ふたりとも全力で守り、愛する」
いまのは、耳が痛いほどの怒鳴り声だった。
と同時に、背中から抱きしめられた。ブラッドもいっしょに。
ブラッドとともに、わたしも抱きしめられた。
「それにしても重いな。ブラッドはともかく、ミサ。きみは、小柄に見えてじつはけっこう体重が……」
「失礼すぎるわ」
せっかくのいい場面なのに、いわれなき誹謗中傷、というよりか疑いを叩きつけられた。
その腹いせに、全力で体重をかけてやった。
「降参だ、降参。頼むからどいてくれ」
クラークの降参宣言に、ブラッドが笑い始めた。
笑いはすぐに伝染する。
笑いは、前途を明るく照らす。そして、導いてくれる。
笑いは、すべてを解決してくれる。
笑いは、だれをもしあわせにしてくれる。
このしばらく後、クラークはじつはずっとわたしのことを好きだったのだということが判明した。それから、ブラッドが隣国の元王女のひとり息子として王位継承権の争いに巻き込まれることになる。その為、クラークとわたしが大活躍することになる。
いまこのときには、そういうもろもろのトラブルが発生するとは予想も推測も想像も出来なかったことはいうまでもない。
もっとも、そんなワクワクどきどきするトラブルの数々、推し活同様グイグイ推していくにきまっているのだけれど……。
(了)




