ほんとうの親子
「わたしは、どうやら考え違いをしていたらしい。ブラッド。学校に進学するかどうかは、おまえが決めるといい。ミサの言う通り、いまはまだ焦る必要はない。おまえは、優秀なのだから。それから、いまはまだ学問やその他もろもろのことを身につけるより、もっと大切なことがあるのだから。ずっといっしょにいたければそれでもいい。将来、やはり進学したいというのならそれでもいい。だから、いまはまだいっしょにいて欲しい。いっしょにいて、ともにすごそう。おまえとミサとわたしとで」
「父上……」
ブラッドは、わたしの上でその蒼色の瞳を潤ませている。
「ブラッド、よかったわね。これからもお父様といっしょにすごせて。これからは、お父様に甘えておねだりしてワガママを言えばいいわ。これまでの分もね。クラークにとって、あなたは大切な息子なのだから」
ブラッドは、クラークの遺伝子を受け継いでいないらしい。
彼は、じつはクラークの妻であった元王女と彼女のもともとの婚約者との間の子だという。
すくなくとも、クラークは彼女からそう聞かされたらしい。
それが真実かどうかはわからない。だけど、時期的にもその可能性が高いという。
しかし、ブラッドはクラークの息子である。たったひとりのかけがえのない息子なのだ。
それがたとえ生物学的に血がつながっていようといまいと。
ほんのすこし前までは、それも怪しかった。が、クラークとブラッドは、たったいま本物の親子になったのである。
いいえ。本物以上の親子になったのだ。
真実や事実など、どうでもいいことである。
いまのこの瞬間がすべてなのだから。




