~ERROR~
時は大VRMMORPG時代。約5年前、完全没入型のVRMMORPGが大流行し始め、今では完全にゲーム界隈での主流になっている。そんな中、今年発売予定のあるゲームが発売前から話題になっていた。
「Four Character Idimaatic Compounds Online」通称FCO。
キャラクターは1人につき1つしか登録できず、それぞれの性格、考え方、血液型、雰囲気、または完全ランダムなどで四字熟語が振り分けられる。その四字熟語によって、ステータスの伸び方や潜在能力、得られるスキルなどが様々に変化していくという。また、従来のものにはないような操作感の精密さ、リアルと見分けがつかないようなグラフィック、本当に人間かのようなNPC、敵の種類、世界観などで、初回発売の抽選の倍率は120倍を超えているという。この物語はそんなゲームで運営からもプレイヤーからも「エラー」と呼ばれ、恐れられ、称えられ、崇められた者の物語である。
「あ、当たったーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
俺の名前は織田三郎。織田家の三男坊であるから安直にこんな名前が付けられた。1番上の太郎兄ちゃんは某T大学卒業で、「天才医師」としてテレビにもあがめられるほどの有名な医者だ。次男である次郎兄ちゃんは、3年連続でバロンドールを取り続けている「日本の至宝」として現在はスペインの強豪チームを転々としながらプレーしている。こんなとんでもない家庭で育った俺の才能は、、、、、、ちょっと運がいい、それだけだ。2人の兄に比べられて、勉強も普通、運動も普通で何度も落胆されながらこの20年間を過ごしてきた。だけど、宝くじは10万円を当てたこともあるし、懸賞の応募をすると、大体2回か3回に1回は絶対に当たる。そんなちょっとだけ運がいいだけの俺が10年分ほどの運を使って、倍率120倍を超えるFCOの初回抽選を引き当ててしまった。
「これは早く純樹に報告しないと!」
俺には薄っぺらいよっ友しかいないが、1人だけ、幼稚園からの幼馴染がいる。高橋純樹。次郎兄ちゃんに幼稚園のころからサッカーを教えてもらっていて、おかげで運動神経抜群の超絶イケメンである。
「純樹!純樹!応募していたFCOが当たったぞ!」
「まじ?今話題になっているあのFCOか?お前は昔から強運の持ち主だもんなぁ」
「こんなでっかい物に当たったのは初めてだよ!楽しみだなぁ」
「いいな~俺も次の抽選は申し込んでみようかなぁ」
「そうだよ!一緒にやろうぜ!!」
「まぁ春学期の単位が取れたらやるわー。また感想でも教えてくれよ。」
「おう!とりあえず届いたらやってみるわ!」
そう意気込んで1週間たったついに今日、FCOのカセットが送られてきた。この日のために大学の課題はすべて終わらせ、バイトもやめてきた。いつでも寝れるように明日の準備もして、布団も敷いて準備完了!
よし!いざFCOの世界へ!!