2 狩り
「あれ? 何が起きて………」
気づいたら家の中で倒れていた。
そうだ、確かゴブリンに………。
「ゴブリン―――ッ!!」
慌てて立ち上がり、周りを見渡すがゴブリンはいない。
代わりに紫色の石が落ちていた。
「なんだ? これ………」
そう疑問に思った瞬間、目の前に水色で透明な板―――プレートが現れる。
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ゴブリンの魔石
レア度:E-
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「ゴブリンの……魔石?」
これって、ゴブリンを倒したから出てきたってことか?
考えていくと、あの時の記憶が鮮明によみがえってくる。
そうだ、傷は!?
服をめくり、体中を確認するが傷はなく、服も元通りだ。
まるであの時の出来事がなかったみたいに。
「夢か………」
自分で呟き、手に持っていた魔石を見て、それを否定する。
「なんだよ、なんか説明書とかないのかよ!?」
そう叫んだ途端、ゴブリンの魔石のようなプレートが現れる。
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南沢シュウ
体力:10
筋力:12
敏捷:11
魔力:0
固有スキル『オリジンハンター』『ゲームシステム』
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これは………ステータスか?
後、固有スキルって名前の通りなのか?
『そうです』
「ッ!! 誰だ!?」
『私は固有スキル、ゲームシステムから派生したものです。あなた様のサポートを行います』
サポートシステムと受け取っていいんだな?
『はい』
機か異質な音声に抑揚のない声、まるで機会としゃべってるみたいだ。
それはいいとして、知りたいことが沢山あるんだ。
「なあ、ゴブリンがなんでいるんだ」
『情報権限レベルが足りないのでお答えできません』
「は? 情報権限?」
『はい。あなた様の知りたい情報をお教えするには情報権限レベルを上げなければなりません。あなた様の情報権限レベルは最下級。レベルを上げるためにはエリアボスを倒さなければなりません』
え、えーと、つまりだな。知りたい情報が欲しいならエリアボスを倒せと。
「エリアボスって―――」
その後俺はいろんな情報を聞いた。
分からない情報もあったが、自分のスキルなんかについては結構分かった。
「さて、『ゲームシステム』の本領発揮と行こうか」
家の中から武器になりそうなものを持ち、食料なんかもポケットに入れておく。
電気が止められているために、冷蔵庫の中のものは全部ダメになった。
インターネットも繋がってないし、当面の目標は情報収集かな。
その前に強くならないとな。
ドアを開け、俺は家を出た。
静かだ。
いつも、今の時間帯はうるさいのだが。
人一人っ子いない。
だが、モンスターが徘徊している。
見渡すだけでも数匹いる。
そしてそのモンスターは、何かを食っていた。
遠いからか判別はできないが、何かを食っている。
あたりに血が飛び散っている。
少なくとも、生き物を食っているのは間違いなかった。
『精神異常耐性LV1を取得しました』
吐き気などが少し収まる。
「他のモンスターを探すか………」
現実から目を背けるように、俺は反対側へ歩き出した。
少し進むと、別のモンスターが見えた。
ゴブリンだ。
数匹で集まって話し込んでいる。
俺は八つ当たりのような感じで、ゴブリンへと突っ込んでいく。
残り十数メートルのところで流石に気づかれる。
だが、自分たちに恐れをなしておらず、予想以上に速いのが合わさって、ゴブリンたちは動けないでいた。
ゴブリンと俺のステータスは俺の方が上だが、数匹集まれば苦戦を強いられる。
だが、俺の固有スキル『オリジンハンター』のおかげで、対モンスターの場合、能力値が跳ね上がる。
今の俺のステータスはこれだ
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体力:60(+50)
筋力:62(+50)
敏捷:61(+50)
魔力:50(+50)
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すべてに+50の効果がある。しかも、モンスターを倒すたびにこの上昇値は上がるというのだ。
まさにチートだろう。
止まっているゴブリンはただの的だ。
ナイフを片手に接近。
首筋に当て、そのまま振るう。
思いの外すんなり通り、一匹のゴブリンの首が飛ぶ。
それに気づいて他のゴブリンが向かってくるが、手遅れだ。
既に攻撃は終わっていた。
『レベルが上がりました。ポイントを取得しました』
ポイント。
それが俺のスキルの効果だ。
俺以外の人はレベルが上がると自然に筋力などの数値が上がる。
だが俺は、ポイントとして保有することができる。
ステータスに割り振ったり、それ以外の使い道もある。
ひとまずは保留していこう。
そんな感じでゴブリンを狩って数時間。
プレートが現れる。
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クエストが出現しました
ホブゴブリンの討伐:0/1
報酬:スキル「ゴブリンスレイヤー」
ゴブリン種に対してステータスに+10%の補正
クエストを受諾しますか?
YES/NO
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