第1話【プロローグ】
第零章 第一話【プロローグ】
ガラスティアというオープンワールドのMMORPGがあった。サービス開始時は非常に人気があったがゲームのリアル度のせいで難易度が高く次第に人が過疎化してしまったゲームだ。膨大な量のスキルや職業、超広大なワールドマップ。リアル重視のため、食事や睡眠もしっかりととらなくてはならない。そんなゲームだ。
そんな過疎化によってサービス終了を眺める数少ないプレイヤーがいた。彼は自分が建てた森の家のバルコニーに腰かけて感傷に浸っていた。2年でのサービス終了によりまだまだやり足りないことばかりだった。自由度は確かに難易度が高い。しかし、その分やれることは非常に多いのだ。
彼事ジェイルという名のプレイヤーはポーション、武器防具、建物などすべての生産系を極めようとしていた。しかし、それほど長くゲームが続かなかった。彼が到達したのは【薬品の境地】というポーションだけだった。しかし、それでも大抵のことはできるようになっている。
そして、ついにサービス終了の時間となり。ジェイルが見る画面は黒く塗りつぶされていく。ジェイルは慌てることもなくただただ受け入れる。そして、本来ならここで強制的にログアウトとなり、今後はゲーム自体が起動しなくなるはずだった。しかし、彼が見たのは黒く塗りつぶされた画面の真ん中に白文字で【本当に終わりますか?】という文字だった。ジェイルはただただその文字から目が離せなくなる。
そして、気が付いた時にはその文字に手を伸ばし指が画面と触れることとなった。触れた個所から光が漏れジェイルの身体を包み込む。光が収まったときにはもう、そこには誰もいなかった。
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※ここからはガラスティアの説明となります。読み飛ばしても問題ありません。
ガラスティアは、平面の世界で最果てには奈落しか存在しない。そして、天を支える天柱と呼ばれるものが世界のいたるところに存在する。天柱は中がダンジョンとなっておりそれを攻略することがプレイヤーたちの目的となる。その中でも、とりわけ難易度が高いのが世界の中心を支える天柱パンドラだ。天柱の中で最も太く、最も長いそれは最高位のプレイヤーでさえ到達階層158階で半分に到達していない。予想最上層は500と言われている。
そんなガラスティアでは、職業がありステータスやスキルもある一般的なRPGの要素が存在する。しかし、一般的でないのはその数だ。まず、職業は最初のメイン職業2種類、戦士、魔法使いの2択しかないがそこからの派生が非常に多岐にわたる。特殊条件でしかなれない職業もあり、すべてを知るものは運営だけだろう。また、その職業を支えるスキルも豊富だ。純粋に能力が上がるもの、デメリットがあるもの、デメリットしかないもの、ネタだとしか思えないものなどだ。
そして、職業が多くあるということはそれだけ武器や装備もそれ専用のものが存在する。それらを作るための前提素材などもありアイテムは無限と言っても良いほどだ。
主人公が持つ【薬品の境地】などは貴重なスキルだ。無数にある薬品の9割を作成済みであることで得られるそれは人口が減少したガラスティアではたった一人といえるだろう。そもそも、境地が付くスキルはそれぞれに存在するが、ガラスティアで持っていたのは主人公ともう一人くらいなものだ。
プレイヤーの技術次第ではマスケットレベルであれば作ることができる。さすがに現代兵器のようなものは無理だが、それでも近づけることはできる。そういった小難しい要素と一つ一つの作業に時間がかかることからこのゲームは最初は人気だったが急激に廃れていった。
ゲームとは新規が参加していかなければ人口は減少しかしないのだ。