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第三話

 なかなか領土にできる空き地がないため、僕の経験値は頭打ちになっていた。

 経験値がなければ新しい【召喚】が試せない。

 毎日、毎日、僕とダーナはゴブオの野菜畑を見学しては、すくすく成長する野菜に一喜一憂していた。

 

 そんなある日、僕たちの畑に地権者がやって来たのだった。

 土地の持ち主だ。

 真の支配者の登場である。

 

「これは一体……」

 

「あ、この空き地の持ち主ですか?」

 

「ああ。お前たちか、勝手にウチの土地に畑を作ったのは」

 

「はい。今は僕の領土なので」

 

「領土? なにを言っているのか分からないが、ゴブリンが住み着いていると聞いて駆けつけてみれば……本当にゴブリンが街中で堂々としているじゃないか!」

 

「あ、ゴブオは僕の従魔なんです。だから大丈夫――」

 

「大丈夫なわけあるか! 魔物だぞ! あとウチの土地!」

 

 激高するオジサンに、ダーナは畑で取れた大根を水洗いして、差し出した。

 

「生でそのまま、食べられます」

 

「だ、大根……生で? は?」

 

「新鮮な大根は水々しくて甘いんです、どうぞ」

 

「あ、ああ」

 

 ダーナの有無を言わせぬ大根攻撃!

 オジサンは目を見開いて「美味い!」と叫んだ。

 

「こんなに美味いなら、確かに価値ある畑だ。潰すのはもったいない」

 

「でしょう? 野菜を物納するので、畑を続けさせてもらえませんか?」

 

「いいだろう、気に入った! どうせ空き地だったしな!」

 

 凄い、ダーナがオジサンを丸め込んだ!

 でも確かにゴブオの作る野菜は家でも好評を博している。

 家庭菜園とはひと味もふた味も違うのだ。

 凄いぞゴブオ!

 

 かくして僕たちはオジサンから領土を守った。

 主にダーナとゴブオのおかげで。

 

 

 

 オジサンによればまだ余っている土地があるらしい。

 土地持ちのオジサンの持つ空き地を片っ端から領土にしていく。

 すると【召喚】がレベル3になった!

 

「やった、ギフトがレベルアップした!」

 

「やりましたね、サロモン。家に帰って【召喚】をしてみましょう」

 

「うん!」

 

 次は何が【召喚】されるのかな?

 

「【召喚】!」

 

 ズモモモモモ!

 

 複雑な魔法陣がくるくると回りながら派手に輝く。

 現れたのは?

 

 モコモコした羊だ!

 

「羊って……なんか凄いの出てきたよ?」

 

「あら、ラッキーシープじゃないですか」

 

「なにそれ。魔物?」

 

「はい。幸運をもたらすという希少な魔物ですよ」

 

 へえ。

 ステータスを確認してみよう。

 

《名前 ナイロン 種族 ラッキーシープ

 ギフト 【幸運】》

 

 確かに【幸運】なんてギフト持っているけど、具体的にはどういう効果なんだろう?

 

「どの辺がラッキーなの?」

 

「見ただけで幸運が訪れると言われています。今日からは毎日、見られますね」

 

「そうなのか……」

 

「では【転職】させましょうか」

 

「え、羊にもクラスがあるの!?」

 

「ええ。生きとし生けるものすべてにクラスは存在します」

 

「凄いね【転職】!」

 

「ええ。それでは――【転職】」

 

 ナイロンの足元をクルクルと魔法陣が回りながら輝く。

 すると目の前にリストが出てきた。

 

 魔法系が多いみたいだ。

 あ、〈水魔法使い〉があるぞ。

 コイツとゴブオがコンビを組めば、畑仕事が捗るに違いない!

 

「よし、ナイロンは今日から〈水魔法使い〉だ!」

 

《ナイロンを〈水魔法使い〉のクラスにしますか?》

 

 イエス!

 

 早速、ゴブオのもとへ連れて行こう!


《名前 サロモン 種族 人間 クラス 魔王

 ギフト 【召喚Lv3】【領土支配】》

 

《名前 ダーナ 種族 天使 クラス 神官

 ギフト 【転職】【光属性魔法】》

 

《名前 ゴブオ 種族 ゴブリン クラス 土魔法使い

 ギフト 【農耕】【土属性魔法】》

 

《名前 ナイロン 種族 ラッキーシープ クラス 水魔法使い

 ギフト 【幸運】【水属性魔法】》


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