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【召喚】から【転職】持ちの天使が出てきたとき、物語は〈魔王〉を生む ~最強ギフトコンビの大陸制覇道~  作者: イ尹口欠


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第一話

新連載です。短いのですが、面白いと思ったらブックマークと評価をしてくださると嬉しいです。

 五歳の誕生日の前夜。

 それはこの世界では特別な夜にあたる。

 夢のなかに神様が現れて、ギフトを与えてくださるのだ。

 

 ――汝、サロモンに告げる。

 

 ああ、夢だ。

 ふわふわした感覚と共に自室のベッドで寝そべる自分に語りかける声は、神様のもの。

 威厳ある声は、これから僕にギフトを与えてくださるのだろう。

 わくわく、どきどき。

 

 僕の父上は鍛冶師で、母上は裁縫師だ。

 それぞれ【鍛冶】のギフトと【裁縫】のギフトを神様から授かった職人だ。

 僕のギフトも、父上や母上みたいな生産系のギフトだといいなあ。

 

 ――汝、サロモンに告げる。

 

 ――汝のギフトは【召喚】なり。

 

 え、【召喚】?

 

 それってどんなギフトですか、神様。

 

 ――告げる必要はない。

 

 ――ギフトは己の中にある。

 

 ――使い方は自ずと知れる。

 

 そういえば聞いたことがある。

 ギフトは授かった時点で使い方を十全に理解できるのだとか。

 

 夢が覚める。

 

 

 

 僕はベッドの上でぼんやりと自分の中に芽生えた【召喚】について理解した。

 このギフトは異世界から何かを呼び出すというものだ。

 妖精界、精霊界、幻獣界、天界、魔界、そしてそれ以外にも僕たちが暮らしているような世界がいくつもあって、そこから何かを【召喚】できる。

 【召喚】したものが生き物なら従魔、道具ならば宝具と呼ばれ、いずれも僕に従属するそうだ。

 【召喚】にはレベルがあって、そのレベルの回数だけ【召喚】できる。

 今の僕の【召喚】レベルは当然のことながら1である。

 

 凄いギフトだ。

 凄いけど、何が呼び出されるか分からないところがちょっと不安定なギフトでもある。

 

 僕はベッドから飛び起きて、早速【召喚】を試すことにした。

 

「【召喚】!」

 

 ズモモモモモ!

 

 複雑な魔法陣がくるくると回りながら派手に輝く。

 現れたのは?

 

 なんと可愛らしい女の子でした。

 白くて長い髪に、やはり白磁のような肌。

 白い貫頭衣を身に着けて、全身が白い少女だった。

 そして何より、頭上にある銀色の輪っかと、背中にある白い翼が特徴的だった。

 まるで神殿の壁画にある天使様みたい。

 

「えっと、君は……?」

 

「サロモンですね。私はあなたの従魔です。名前はダーナです」

 

「従魔……じゃあ本当に【召喚】されたんだね。でもどの世界から?」

 

「私は天界の転職の神殿の司祭でした。ですがこれからはサロモンの従魔です」

 

「天界の……テンショクの神殿の司祭? 神殿の司祭様ってことは偉いんだ!」

 

「もう司祭ではなくただの従魔です」

 

 凄い人が来た。

 ダーナは神殿の司祭様だったらしい。

 でもテンショクって何だろう?

 

「私は【転職】のギフトを持っています。私のギフトは、生涯で一度だけクラスに就けることができるというものです」

 

「よく分からないよ。クラスってなに?」

 

「……やってみましょうか?」

 

「でも生涯に一度だけなんだよね? 詳しく説明して欲しいな」

 

「……クラスのことを知らないのでしたら、そうですね。例えばサロモンの両親はどのような仕事をなさっているのですか」

 

「父上は鍛冶師。母上は裁縫師だよ」

 

「それです。それがクラスです」

 

「そうなの? クラスっていうのはギフトのこと?」

 

「え~……遠からず近からずといったところでしょうか。【鍛冶】のギフトを得た結果、鍛冶師になるのが普通ですが、私の【転職】は鍛冶師にすることで【鍛冶】のギフトを与えます」

 

「え? ギフトを与えることができるの!?」

 

「はい」

 

「凄い! それって神様にしかできないことなのに!」

 

 白い少女ダーナは恥ずかしそうに頬を桜色に染めて言った。

 

「そんなに凄いことではありません。制限もありますし、偉大なる神様には遠く及びません」

 

「でも分かったよ。ギフトを与える【転職】を僕に使って!」

 

「分かりました。――【転職】」

 

 僕の足元をクルクルと魔法陣が回りながら輝く。

 すると目の前にリストが出てきた。

 

 〈魔王〉。

 

 そのたったひとつの単語がリストに載っている。

 

「あの、ダーナ? 〈魔王〉しかないんだけど」

 

「おやまあ。〈魔王〉ですか……それは凄いですね」

 

「語感からすると悪いイメージしかないよ?」

 

「魔の王ですから。【召喚】であまたの従魔を使役するサロモンにはピッタリじゃないですか」

 

「選択肢がない……けど、これを選ぶとギフトがもらえるんだよね?」

 

「そうですね。〈魔王〉のギフトがどのようなものかは知りませんが」

 

「不安だなあ。〈魔王〉になって大丈夫なのかな?」

 

「クラスは他人から見えません。問題ないかと」

 

「そっか。じゃあなってみてから考えるよ。〈魔王〉に」

 

 僕はリストから〈魔王〉をタッチして選択。

 

《サロモンを〈魔王〉のクラスにしますか?》

 

 当然、イエス!

 

 すると僕の中に新たなギフトが生まれた。

 

 【領土支配】?

 

 ええとどんなギフトだろう。

 僕はできるだけ【領土支配】について考える。

 やっぱり【召喚】のギフトと同じく、自ずと理解できるようだ。

 

 【領土支配】は誰も実効支配していない土地を自分の領土として認定して、支配するギフトらしい。

 領土にした土地には僕の従魔や宝具を配置できたりする。

 

「サロモン、〈魔王〉のギフトはどんなものでした?」

 

「【領土支配】っていうギフトだったよ。誰も支配していない土地を自分の領土にできちゃうらしいよ」

 

「凄そうなような、そうでもないような?」

 

「だよねえ。もっと悪辣なギフトが来るかと思ったけど、〈魔王〉ってよく分からないや」

 

「ともかくギフトは使ってみないと分からないことも多いですからね。〈魔王〉のギフトを使ってみましょう」

 

「うん。あ、ダーナを父上と母上に紹介しなきゃ」

 

「あの……できれば【転職】のことは秘密にしてもらえませんか?」

 

「え? どうして? 凄いギフトなのに」

 

「天界ではそうでもなかったのですが、地上では強力すぎるのです。【転職】はサロモンとその従魔にしか使いたくありません」

 

「そっか。でもじゃあ、ダーナをなんて紹介すればいいんだろ」

 

「私自身、【転職】で〈神官〉になって【光属性魔法】が使えますので、そう紹介してください」

 

「あ、自分にも【転職】って使えるんだ。分かったよ。ダーナは天界の〈神官〉で【光属性魔法】のギフトを持っているんだね」

 

「はい、そのように」

 

 かくして僕に家族が増えた。

 父上と母上は仰天していたけど。


《名前 サロモン 種族 人間 クラス 魔王

 ギフト 【召喚Lv1】【領土支配】》

 

《名前 ダーナ 種族 天使 クラス 神官

 ギフト 【転職】【光属性魔法】》


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