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004軒:いざ、魔導士ギルドへ

――オフィールの街での最初の夜。

 ミナトとアーチェは宿屋の食堂で食事とお酒を堪能し、部屋へと戻りベットに入るとすぐに深い眠りに落ちていった……

 ミナトは一角猪と戦い、アーチェと出会い、オフィールの街へと来た。

その間眠る事無く、流石に疲労もかなり溜まっていたのだ。


――朝と言うか既に日が昇り昼を迎えようとしている。


 まだ頭が寝起きでボーッとしている……

そして、腕がふわふわして柔らかい感触に包まれて程よく気持ちが良い……

お約束と言うか……

……アーチェが布団に紛れ込んでいるだと!?

 アーチェが俺の腕を抱き枕代わりに抱き着いて、大き過ぎず小さ過ぎずも豊かな胸が押し当てられる。


 昨夜何が起きた……俺は何もしてないはずだ……

「んん……おはようなのん……」


 アーチェがモゾモゾと起き出した。

この状況に焦りを覚えつつも、俺はおっぱいは好きだがロリでは無い。

うん、おっぱいは超好きです。


「昨日ちょっと寒くて……暖かくなりたくて勝手に腕を借りちゃったのん……」

「おっおぅ……」

どうやらアーチェが勝手にベットに忍び込んだようだ……


「女の子が男のベットに忍び込んじゃダメだろっ」

自分からグイグイ行く気持ちは沸いて来ないと思っていた。

だがやはり、柔らかい感触が当たって嬉しかった!

……そんな事は言えない。


「ごめんなさいなのん。今度は気を付けるのん……」

「解ればいいんだよ、女の子なのだから少しは気を付けないとな」



 昨夜は服も着替えないでそのまま寝てしまった。

流石にしばらく風呂に入っていないの状態で魔導士ギルドに行くのは失礼だろう。


「魔導士ギルドに行く前に体を浄めに風呂に行こうか。」

アーチェは自分をクンクンしている。


「……綺麗にしてくるのん」


 二人で1階に下り受付で風呂について尋ねてみた。

この宿では水を外郭と内郭の間を流れる川から引いていて、魔道具と薪で湯を作り風呂に供給しているそうだ。

魔導術士が居なくても湯が作れるので、特に時間も気にしないで大丈夫との事。

……と言う事で男女に分かれた風呂へと向かう。


 男風呂はそこまで大きくなく、3人が一度に入れる程度の大きさだった。

この後の予定があるので長湯は控え体を洗ってサッと出る。


 アーチェはまだ出てこないので先に食堂へ向かうと、街に来る時に一角猪の串焼きを振る舞った男が食堂で飯を食べていた。


「よぉ兄ちゃんもこの宿に泊まってたのかい!」

「はい」

「そう言えば、一緒にいた嬢ちゃんはどうした?」

「風呂に入ってるところです。昨日は疲れてしまってそのまま寝ちゃったので」

「そうかい、昨日は串焼きありがとうよ、昼間っから酒とはいけないだろうが何か奢るぜ」

「そうですねぇ……お言葉に甘えて何か頂いちゃおうかな」


そうこうしてるとアーチェも風呂から出てきた。


「おっ嬢ちゃんも来たか!今兄ちゃんに何か奢ってやる話をしてたところだ、嬢ちゃんも何か食うかい?」

「串焼きの時のおじさんなのん。」


そんな話をしていると食堂の給仕担当の女性がやってきた。


「何か食べますかぁ?日替わりランチはブラックバイソンのそぼろとバレです。」


「じゃぁそれ貰おうかな」

「ボクもそれにするのん」


「お前さんたちは今日はこれからどうするんだい?」

「今日はボクが魔導士ギルドに行くのについて来てもらうのん」

「ほほう、内郭に行くのかい、俺はまだ踏み込んだ事がないから詳しくはわからないが、内郭には大きな温泉とかって言う風呂もあるんだってなぁ」

「へぇそうなのですか、それは良いですね」


……サッと体は洗ったが落ち着いて温泉に浸かるのもいいな。


「お待たせしました。日替わりランチのブラックバイソンのそぼろとバレお持ちしました。」


 そぼろはブラックバイソンの挽肉をニンニク、タマネギと共に炒め、赤ワインと塩胡椒で味を調えた物で、バレは全粒の小麦粉を使いパンケーキを薄く平たく焼いたようなものだった。


「これはなかなか美味しそうですね」


バレに一度蒸したキャベツの葉を敷き、そこに濃い目の味付なそぼろがのっている。

片手で食べれて実に美味しい。


「とっても美味しいのん♪」

「おじさん御馳走になります。」

「おぅ食え食え、昨日お前さん達に喰わしてもらった一角猪なんて、そうそう出会える物じゃないからな……」


美味しくてパクッと食べ終わってしまった。


「御馳走さまでした。では行ってきます。」

「美味しく頂きましたなのん」

「おぅまたなっ」


◇◆◇◆


――宿を後にしミナトとアーチェは魔導士ギルドへと向かう。


 俺の服装は一張羅なので、ブラックバイソンの黒革パンツに厚手の白い綿シャツ、茶色のマントと変わりはない。

 アーチェの方は、黒いウールでフィット&フレアシルエットなボディラインが綺麗に出るコートのダブルボタンを襟まで留めていて、コートの下から少しトラッドな感じの黒とベージュのチェック柄ミニスカートが見えている。足元は昨日と同じ黒いロングブーツだ。


 宿から少し歩き、内郭の門番たる衛兵にアーチェが魔導士ギルドに行く事を告げ通してもらう。

内郭内は外郭と違い植栽はあるが、中央通り以外も石が敷き詰められている。

 建物も木材と漆喰はあまり使われておらず、外郭より階層が高い建物が多く石とセメントを使って造られているようだが、白い石の柱には女神を象ったような彫刻が施されていて内郭が美術館のようだ。


 門からしばらく歩くと魔導士ギルドと思われる建物が見えてきた。

中に入ると窓はあまり無いが、魔導具の光によって明るく室内が照らされていた。


……鏡面に磨き上げられた白い大理石の床で、アーチェのスカートの中が見えるのではと思ってしまったのは内緒である。


――入口正面の受付でアーチェと共に要件を伝える


「いらっしゃいませ。1階は魔道具士、2階は魔導術士、3階は魔導書士のフロアになっておりますが、本日はどのようなご用件でしょうか?」


「俺の名前は一ノ瀬湊(いちのせみなと)、こっちのアーチェの付添いだ。」

「ボクの名前はアーチェ・ブロンなのん。魔導書士のフロアで『永遠の書庫エターナル・アーカイブ』について教えを乞いたいと思ってるのん」


「アーチェ・ブロンさんと言いますと、アルゲード・ブロンさんの関係の方ですか?」

「アルゲード・ブロンはボクの父さんだけど知ってるのん?」

「えぇアルゲードさんは魔導書士として有名な方でしたから……お待ちください。ギルドマスターに面会の旨を伝えます。」


「……ギルドマスターがお会いになるそうです。ですが只今打合せ中でして、少々3階の待合室でお待ちに頂けますでしょうか?」

「了解しましたなのん」

「それでは横のエレベーターでお上がり下さい。」

……この世界にもエレベーターはあるんだな


――受付を後に2人は3階の待合室へと向かった。

ミナトの服装は「ブラックバイソンの黒革パンツ」「厚手の白い綿シャツ」「茶色のマント」のまま


アーチェの服装は「黒いウールでフィット&フレアシルエットなボディラインが綺麗に出る襟までダブルボタンのコート」「トラッドな感じの黒とベージュのチェック柄ミニスカート」「黒いロングブーツ」

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