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033軒:筋電魔導義肢装着

お読み頂きありがとうございます。

申し訳ありませんが、この話で<打ち切り>とさせて頂きます。

――筋電魔導義肢アーティフィシャルメイル1回目の仮義肢合せから4週間が過ぎた。


 その間、螺旋階段エリア補強の現場監督として指示を出し、2回目の仮義肢合せをし、色々落ち着いて来たところで改めてオフィール商業ギルドの鑑定士であるベルガル・フィールから頼まれた、ウーツ鋼製320mm牛刀包丁作成依頼を包丁職人(ナイフビルダー)のボブ・クルレイマイヤー氏にお願いした。


 そして今日は、筋電魔導義肢アーティフィシャルメイルの完成品装着の日である。

左腕が無い状態では魔導ペンは使えても、魔法の倉庫(マジック・ストレージ)が使えなかった事もあり、とても心待ちにしていた日だ。


「ミナトおはようなの~ん」

 別の部屋でリヴィーナと寝ていたアーチェが俺の部屋に起こしに来て、布団に伸し掛かってボフボフと……


「アーチェ少し痛い……」

 切断による痛みは無くなって来たが、傷の中まで完全に治るまでには1年程は掛かるそうなのだ。


「ごめんなさいなのん♪ 起きて食事して早く鍛冶師ギルドに行くのん」

「もうアーチェったら……ミナトの体に負担をかけてはダメかしら」

「今起きるから……」

 俺は布団から起き朝の支度をはじめる。

左腕を失ってからはアーチェが支度を手伝ってくれているので横で待機中だ。

はじめは劣等感だったり恥ずかしかったりで拒んだが、それでも横に居てくれるのを今はありがたく思っている。


 支度を終えて1階の酒場に行くと

「おはようございますミナトさん。今日もいつもと同じでいいですか?」

 給仕担当の女性が挨拶と共にオーダーを取りに来てくれる。

この宿に泊まって1ヶ月以上になるので、すっかり常連になり定番の物を分かっていてくれるので楽だ。


「ああ、いつものでお願いします」

 いつものと言うのは、トルタと言うメキシコ版サンドイッチで、バゲットにからしマヨネーズをたっぷり塗ってチーズ、レタス、アボカド、トマトスライス、ブラックバイソンのベーコンを挟んだ物だ。

これが片手でも食べれて腹に溜まるので気に入っている。


「ボク達も同じのをお願いするのん」

「かしこ参りました。少々お待ち下さい」


「朝飯を食べたら、いよいよ鍛冶師ギルドで筋電魔導義肢アーティフィシャルメイルの取付けか……」

「仮義肢合せ2回とも問題なかったし今回もきっと問題ないのん」

「腕が戻ってからの事も考えないといけないかしら」

「そうだよな、かなりこの街に長居しちゃってるからベルガルさんが何と言うか……」

「ベルガルさんの依頼も終わったらどうするのん?」

「う~ん、少し色々なところを旅したいとが思ってる、俺に何ができるか分からないけど困ってる人の生活が改善できるような事がしたいかな」


 そうして運ばれてきた朝食を食べ、少し緊張ぎみに鍛冶師ギルドへと3人で向った。


◇◆◇◆


――鍛冶師ギルドに着き、いつも通りに受付のナーリが案内してくれる。


「今日はいよいよ完成品の取付ですね、少しだけティルに見せてもらったのですが綺麗な出来でしたよ」

「そうか、楽しみだな」


 鍛冶師ギルド長の部屋に案内されると、そこにはドゥヴィールとティルの他に、魔導士ギルドからシリスカ・ロギも来ていた。

「よく来たな」

「いらっしゃいミナト待ってたんだよ」


 机の上には筋電魔導義肢アーティフィシャルメイルの完成形が外装を外された状態で置かれている。

「いよいよこれの装着なんだよ」


「私から筋電魔導義肢アーティフィシャルメイルについて説明させて頂くと、筋肉が収縮する際に発生する微弱な電流をエーテル繊維で採取し、義手の指先まで伝え薄い物などもしっかり掴む動作が行えますわ。

また同時に、ラスコヴニクの実の関節が魔力を吸収保持し 炭素繊維強化形状記憶合金の人工筋肉に伝達し、元の腕より強い把持力で健常者以上の力を発揮する事が可能ですわ」

 作った本人ではないシリスカが魔導士目線で説明を挟んでくれたが、使ってないのでイマイチ何を言っているか分からない……


「難しい話は置いておいて装着してみてくれ。 ティル、ミナトに装着だ」

「ハイ、師匠」


 装着しまずは外装がない状態で稼働試験である。


「ミナト、魔力を込めないで動かしてみて」

「こうかな……」

人工筋肉と外装がない状態の2回目仮義肢合せで軽く動かしてはいたが、最初に思っていた以上に遅延なくキビキビと動いてくれる。


「次は少しずつ魔力を込めてみて」

「おぉ……!」

「光ってカッコイイのん」

 俺が魔力を込めると関節のラスコヴニクの実がオレンジに発光しだし、魔力の強弱により発光具合も変わる。


「それじゃあこれを魔力を込めて握ってみて」

 ティルから言われるがままに鉄らしいパイプを握ると軽く潰す事ができた。


「このパイプ右手でも試してみて」

「硬いな!左手では軽く潰せたが右手では無理だな」

「今の所問題ないみたいだから外装を取り付けていくんだよ」


 ウーツ鋼独特なダマスカス波目模様が目を惹く外装は実に美しい。

外装を装着した事でずっしりと重さが増すが、魔力が少しでもラスコヴニクの実にあれば気にならない。


「しばらくは違和感を感じるかもしれないけど慣れてくると思うんだよ……

それでも、数日して全然合わないようなら外装を削るか外してしまうかになると思うんだよ」

「あぁ……ありがとう。

これでまた魔法の倉庫(マジック・ストレージ)も使える」


 こうして俺の左腕には無事に筋電魔導義肢アーティフィシャルメイルが収まった。

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