031軒:坑道螺旋階段エリア補強計画
――俺は鍛冶師ギルド、商業ギルド、魔導士ギルド、冒険者ギルド、
それぞれの代表に螺旋階段エリア補強計画をプレゼンした。
賛同を得られてから2日間掛けて、俺は螺旋階段エリア補強計画全体の工程表を作成。
1、上層部分が崩落しないように鉄板と硬化の魔導書で補強してもらう。
2、現地螺旋階段エリアにて俺のTRF-CADと魔導ペンで、基準墨出しし配置を示して行き、補強柱の位置などを決める。
3、トロッコスロープエリア掘削で、掘った岩盤面に硬化の魔導書と固定の魔導書を施してもらいつつ、ロックボルトを岩盤に打ち込み壁の変形及びすべりの発生を抑制する。
4、螺旋階段エリア、トロッコスロープエリア覆工で、魔導膜防水工事とコンクリートの打込み、地中から浸み出す地下水などが内部に漏れてこないようにする。
5、坑道内付帯工事で、螺旋階段エリア及びトロッコスロープエリアをブロック直張りで舗装。排水用の側溝、坑内照明設置。
6、トロッコスロープエリアに枕木とレールを敷きつつ、ウーツ鉱石採掘フロアに休憩所的拠点を作成して完成となる流れだ。
同時に手漕ぎか魔導かでトロッコの製作も行わなくてはならないが……
工程表は木の板に複写し、アーチェとリヴィーナに頼んで、鍛冶師ギルド、商業ギルド、魔導士ギルド、冒険者ギルド、それぞれに通達。
再度打合せする事となり1日明けた……。
◇◆◇◆
――太陽が中天を過ぎた鍛冶師ギルドの応接室。
前回と同じように、鍛冶師ギルドマスターのドゥヴィール・アルドヘル、商業ギルド会計のモーズグ・レイグ、魔導士ギルドマスターのシリスカ・ロギ、冒険者ギルドマスターのアヴァル・ガルドールが集まっていた。
「螺旋階段エリア補強計画の工事手順は、昨日、アーチェとリヴィーナがそれぞれにお持ちした流れにしようと思っています」
「鍛冶師ギルドとしては、ロックボルトとトロッコ及びレールの制作に力を入れよう」
「商業ギルドは、コンクリート用のモルタル調達、補強工事全体の足りない物の調達と昼食を用意しましょう」
「魔導士ギルドは、適所で硬化の魔導書や固定の魔導書を使用すればいいのよね」
「冒険者ギルドは、とにかく依頼を出して人手を確保するぞ、既に何人かお金に釣られて来ておる」
それぞれ前もって渡した工程表を把握してるようだ。
「皆さんしっかり理解されていて話が早くて助かります」
「ミナト君、工程表の内容は理解しているが、ロックボルトとトロッコについては、まだどのような物かはっきりと理解できていないぞ」
「補強工事の物資に何がどの程度必要か把握しきれていないので、予算がどの程度掛かるか気になるところですな」
「魔導術士は私が行くので臨機応変に対応できると思いますが、街の方の農場エリアも確認に行く時間が欲しいと思ってますわ」
「ロックボルトは下層から上層に向って20m間隔で放射状に13本程ずつ、太さ0.05m長さ5mの鋼の棒を刺せればと思っています。
深さ220mですので約143本でしょうか。
トロッコは俺が木製の実物大の模型を作りますので、それを鍛冶師ギルドで金属製の耐久力のある物にして頂ければ良いかと」
「モーズグさんには申し訳ないのですが、物資に関して俺も把握しきれていません……」
「螺旋階段エリア補強計画工事は基本的に、3日工事して1日休みを入れて進めて行こうかと思っています。
かなり重労働になるかと思いますし……全然平気と言う事で働くみなさんの意見次第では作業日数を増やすかもしれませんが……
他に何かありますか?工事が始まってからも週に1回定例報告会ができればと思っています。
何も無ければ時間が許すなら現場を一度見に行ってみましょう」
「今日は時間を空けているから大丈夫だ」
「私も大丈夫ですぞ」
「私は長くなり過ぎなければ大丈夫ですわ」
「儂もギルドの方は任せて来たのでトコトン付き合おう、むしろこの後酒盛りするのじゃろ? 酒を飲みながら本音で語り合いたいのぉ」
どうやら酒盛りまで予定に含まれているようだが……
「俺はこんな体なのでお手柔らかに……
それでは、現地に視察に行きましょう」
◇◆◇◆
――アガルタ東門から街を出て、魔導ペンで灯りの魔導書を使いながら坑道を進み吊り橋の少し手前。
崩落で下に落ち、螺旋階段を造り戻ってきた場所へやってきた。
嫌な記憶が蘇えってきて左肩が疼くが右手で抑えて我慢する……。
アーチェが心配そうにこちらを覗き込んで来るが問題ないと手で止める
「このあたりが崩落したのですね、一応仮に固定の魔導書して硬化の魔導書もしておきますわ」
「ありがとうございます。螺旋階段を少し下りると最下層まで見下ろす事ができるかと思います」
5m程下りた踊り場から各自見下ろす。
「なるほど……聞いてはいたが、ここをウーツ鉱石担いで登るのは骨が折れるな」
「ここは何と言うか幻想的ですね、ウーツ鉱石以外にも魅力的な物があるのでは?」
「魔力的にも感じる物がある場所のようです」
「これは働き甲斐のある高さじゃわい」
「1フロア5m高さで踊り場を作りながら登って来ましたが、作業して行くにあたって拠点はどうするのがよいでしょうかね?」
「2フロアに1箇所ぐらいテントを設けたい感じはするのぉ」
「ドワーフにも魔力があれば丈夫な皮か布に飛行の魔導書を付与した魔導具を用意するのだけれど」
「ドワーフに喧嘩を売っておるのか!?」
「まぁまぁ……」
「悪気は無かったのゴメンなさい」
少し空気が悪そうになりかけたが、すぐに収まってよかった。
「どうでしょうか?そろそろ街に戻ろうかと思いますが」
「儂は大体分かったから大丈夫じゃぞい」
他の人達も頷いている。
「それでは行きましょう」
「僕、結構疲れてきたけどミナト大丈夫なのん?」
「辛いようなら街まで担いであげようかしら」
「まだ大丈夫だよ……」
こうして俺達は視察を終えて街に戻った。





