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026軒:一角猪のガーリックステーキとウーツ鉱石採掘現場

――崩落時、ティルを庇って壁面と接触し受けた傷は、当初出血だけだったが今は腫れと痺れと痛みでかなり悪化している。

 幸いと言うか魔導ペンで作業している際には痛みが忘れられるので、地上に向けての螺旋階段製作は捗り、目標のウーツ鉱石も発見する事が出来た。


 俺は魔力が回復するラインのスピードで、マイペースに魔導ペンで縦穴を削り上げ螺旋階段を造り痛みを忘れさせていた。



「う……うん……アレ、ミナトが居ない……」

 拠点でティルが目を覚まし周囲を見回す


「この黒っぽい赤茶の鉱石は……ウーツ鉱石!?」

欠片ではなく、切り出されブロック状のウーツ鉱石を見て驚くが……


「ミナト~~~ォォォ」

大きな声で名前を呼びながらミナトを探すべく拠点から出る


「…………。」

 昨夜3m程ミナトが螺旋階段を造るのは見ていたが、目の前には既に上方まで何フロアも出来上がっていたのを見て思わず絶句してしまったティル。

 起きるまで何だかんだ夜通し6時間程過ぎていただろうか、1時間に9m程進むのでウーツ鉱石を見つけたフロアから34m、拠点からだと54m程堀り削り上がってきたので54m/243mである。


「オ~イ、俺はここだよぉ~~」

「ここだよじゃないよ!そんな体で何してるのさぁ~~!」

「今下に戻るから待っててぇ」


……俺は下に戻り左腕を見せ状態と魔導ペンについて説明した。


「これは酷いね……鉱石の中には毒物を有する物もあるんだよ……

崖に擦れて肉が削れた時にそれが入ってしまったのかな……オイラのせいだね……」

「俺がしたくてしたんだからティルは気にしなくて大丈夫だぞ」


「そうは言うけど……」

 俺の左腕は肩からだらんと垂れ下り、色も傷口付近が紫に変色してきているので傍から見ると痛々しい。

実際かなり痛いのだが……


「ところで毒物ってどんな感じになるんだ?」

「白い感じのコロラドアイトって鉱石はマグマ系鉱脈で、加熱したりすると周囲で死者がでるよ。

あと硫砒鉄鉱って金に似た鉱石は、加熱したりすると毒だったり腐食するガスを出すんだよ。

他にも抜け毛が起きる鉱石や神経毒がある鉱石もあるよ」


「何でこの状態になってるか分からないから余計に怖いな」

「本当は今すぐにでも街で治療を受けないとマズイよ……」

「でも街には螺旋階段を造って上に行かないと戻れないししょうがない。

しばらくティルに色々頼る事になるけど宜しくな」


「何でも出来る事なら言っていいよ!

ところで……ウーツ鉱石の塊はどうしたの!?」

「あぁこの拠点フロアから4フロア程上の層で見つけたんだ、飯食べたら案内するよ」


 そう言って、焚き火の準備はティルにしてもらい、俺は魔法の倉庫(マジック・ストレージ)を脇に抱えて手を添える形で起動し、金剛石の粒入りの岩の塊、一角猪の肉、オリーブオイル、塩、黒胡椒、ガーリックを取り出し、金剛石の粒入りの岩の塊は魔導ペンでスライスし岩のプレートにしておく。


「ティル、今回はこの岩のプレートで肉を焼いてもらおうと思ってる」

軽く工程を説明し、肉は4cm厚に切り、ガーリックは薄くスライスしておいてもらう。


「まずはこのプレートが温まりきる前にオリーブオイルでガーリックを焼くんだね」

 焚き火にプレートをのせ、ガーリックをなるべく焦げないように調理、できたら一度横に置いておいて、次はそこに塩と胡椒をまぶした一角猪の肉を焼いて行く。


「そう言えば昨日も食べたけど、この美味しい肉って何の肉なの?」

「一角猪の肉だが言ってなかったか?」

「一角猪……そんなレア食材をオイラに……」

「まぁ今は肉がこれしかないしな気にするな」

 やはりティルにとっても一角猪はレアなのか

 そんな話をしているとイイ感じに肉が焼けてきた。

焚き火の高火力を岩のプレートが吸収し遠赤外線の効果と合わさって、外がカリッと中はレアなピンク色に仕上がりだ。


「一角猪のガーリックステーキ美味しそうに焼けたな」

「オイラ、料理はあまりやった事なかったけど、ミナトの指示通りにやると上手くできて嬉しいよ」

 皿が無いので鉄板焼き感覚で岩のプレートにのせたまま、昨夜使った串を清潔の魔導書(クリーン)で綺麗にして刺して頂く。


「上手く焼けてて美味しいよ、ティルは飲み込みが早くて助かる」

「これでも職人の端くれだからね」

ティルは褒められて顔を赤くして照れている。


「さて、火の始末をしたらウーツ鉱石のフロアに案内するぞ」

 魔導ペンでの作業を止めていたので左腕の痛みが強くなってくる。

俺の腕はこのまま死んでしまうのだろうか……


「準備できたんだよ」

「じゃあ行くか」


 拠点からは20mぐらい上がったフロア、目印となる板を立てた螺旋階段踊り場につるはしを担いだティルを案内した。

「この踊り場から外側に行くとウーツ鉱石の層があった場所だ」

「あんな大きな塊でウーツ鉱石が採れるなんて今までなかったんだよ」


 踊り場から放射状に延びた通路のうち1本を進んだ。

「本当に壁一面ウーツ鉱石の層だね……」

「このウーツ鉱石の採掘はティルに頼もうと思ってるんだけど大丈夫そうかな?」

「任せてよ!こんなどこを掘っても出てきそうな場所なら何の問題もないんだよ」

「じゃぁ任せた。俺は上に向って進むから、あとこれ渡しておくね」


 ウーツ鉱石を前に興奮気味なティル。

ブラックバイソンの胃袋で出来た水革袋を1つ渡し、俺は螺旋階段最上部に向う。

残りは189m大雑把な計算だと21時間で登りきれる予定だ。


◇◆◇◆


――坑道で床の崩落を回避できたアーチェとリヴィーナ。

 ミナト達と分断され坑道上部を確認して回っていたが下に向う方法は見つけられないでいた。


「やはりあの崩落した穴以外にミナト達を探しに行く手段がないのん」

「そうですね……しかしあの穴から突入すると周囲が新たに崩落したりする危険があるかしら」

「崩れた岩に当ったら危ないのん……」

「一度街に戻ってボブ・クルレイマイヤーに相談してみましょう」

「ミナトとティル大丈夫かな?心配なのん……」

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