023軒:坑道での分断
――ドワーフの街アガルタ、酒場での夕食を食べた後……
ティルとナーリはそのまま酒場に残って飲み直し、俺達は宿屋となっている二階に上がり俺が211号室、アーチェとリヴィーナが212号室だった……
……朝を迎えた。
部屋を分かれて寝たのでスッキリとした朝である。
少しすると扉がノックされアーチェとリヴィーナがやってきた。
「おはようなのん!」
アーチェが元気よく朝の挨拶をし抱き着いて来た。
ふわふわした柔らかい二つの感触が俺の胸板にあたり……おっぱいはいい物だと再認識させられる。
「おはようかしら」
目を擦り少し胸元を肌蹴させながら挨拶してくれたリヴィーナ、胸元から覗く谷間が実に素晴らしいが平静を保てだ。
「あぁ……おはよう」
アーチェの頭を撫でながら二人に朝の挨拶をすると……アーチェは猫のようにゴロゴロ嬉しそうにしている。
「昨日は何もせずに寝ちゃって本当は風呂に入りたいところだけど、とりあえず魔導ペンの清潔の魔導書で綺麗になろう」
魔導ペンに自分が綺麗になるイメージをし集中して魔力を注ぐと、淡い水色と緑色の光が自分とくっ付いていたアーチェを包み汚れが綺麗になっていく……
「ありがとうなのん、ボクも気が付いたら寝てたから」
「できれば私にもお願いしたいかしら」
リヴィーナからも要望があったので魔導ペンの清潔の魔導書を使ってあげた。
「魔導書無しで魔法が使える何て便利過ぎて本当にずるいのん」
「たしかに自分でも思うが、最初は魔導書の魔法が必要だしそう膨れるなって……下の酒場で朝飯食べようか」
◇◆◇◆
酒場に行くと、そこには既にティルが待っていた。
「おはよう遅いよぉ……二階に見に行くか悩んでたところだよ」
「悪い悪い待たせちゃったみたいだな、朝飯は奢るから機嫌直してよ」
夜に比べて酒場は空いている。
適当な席に着くと給仕担当の女性がオーダーと取りに来てくれた。
「今朝のメニューはウエボス・ランチェロスで、トルティーヤに半熟の目玉焼き、赤いサルサをのせたものになりますが大丈夫ですか?」
「1人辛いの苦手なので、一つはサルサをのせないで別のソースにする事は可能ですか?」
「それでは辛みの入っていないトマトソースがあるので一つはそれを添えますね」
「ありがとうございます。ではそれを人数分の4つお願いします」
「かしこ参りました。少々お待ち下さい」
「勝手に朝食決めちゃったけど大丈夫だったかな?」
「ボクの分は辛いの避けてくれたから大丈夫なのん」
「大丈夫かしら」
「オイラも平気だよ、ありがとう」
しばらく席で今日の事を話しながら待っていると料理が運ばれてきた。
「お待たせしました。
ウエボス・ランチェロスと、こちらのスープはソパ・デ・アホ・イ・バカと呼ばれてまして、ブラックバイソンの骨で出汁をとった牛肉とニンニクのスープです」
運ばれてきた朝食はなかなか元気の出そうで美味そうだ。
「辛みで体が温まりスープも実に美味しいな」
「そうですね朝から美味しい食事が食べれて幸せかしら」
「辛いの抜いてくれたから美味しいのん♪」
「アガルタでは結構定番だけど喜んでくれてオイラも嬉しよ、それで採掘の突入ルートなんだけど、今日はミナト達と出会った西側じゃなく東側から降りて行こうかと思ってるよ」
「その辺はティルに任せるよ、途中で反応があったら伝えるから」
食べながらではあるが、ウーツ鉱石採掘突入ルートは何となく決まった。
あとは水を調達して行くだけだ……
◇◆◇◆
中央通りの商店でブラックバイソンの胃袋で出来た水革袋を8個程購入し、そこで水も入れてもらい俺とアーチェの魔法の倉庫に4つずつ入れ準備が整った。
アガルタ東門から街を出たところで念の為にアーチェの魔物避けを発動してもらい、ティルを先頭に俺、アーチェ、リヴィーナの順で進みはじめた……
「こっちの東側は西側に比べて坑道の幅が広いんだな」
「東側はオイラが産まれる前だけど、街に近い上層でもかなりウーツ鉱石が採れたそうなんだよ」
「それじゃあ掘り尽されてるんじゃないのか?」
「そうなんだけど、西側もかなり広範囲に見てるけど全然ウーツ鉱石見つからないんだ……
最近は東側を採掘する人が少ないから見落としてる可能性が高いかなと」
「なるほどな了解。見つかるといいな」
「ミナト、このあたり少し右側の天井が落盤した形跡がありますね気を付けた方がよいかしら」
リヴィーナの忠告に俺は力が強くなるグローブを左手にはめ、暗くなってきたので右手では魔導ペンで灯りの魔導書を使う。
「この先少し進んだところに吊り橋が掛かってるんだけど、その先は道が細くなるか……」
そうティルが言い掛けた時の事である。
突然床に亀裂が走り、メキメキッと大きな音を立てて崩落しはじめた……
「ミナトォォォォッ」
アーチェが俺の名前を叫びながら手を伸ばそうとするが、最後尾のリヴィーナがアーチェを抱え届かない。
そして、俺とティルは崩落に巻き込まれてしまった……
「キギャャァァァァァァッ」
俺は大きな悲鳴を上げているティルに左手を伸ばし抱き寄せ、右手の魔導ペンを光の鞭にし落下しながらも壁面の岩に巻きつけようと試みる……
そう簡単に上手くはいかないが何回かは絡みつき勢いを殺す事に成功。
「ティル……」
声を掛けるが起きない、どこかを強く打った危険もある為に下手に動かせない。
見た感じだと怪我はないようだが気絶している。
「随分と下に落ちてしまった……左手の力が強くなるグローブはもうダメだな……」
俺の左手、力が強くなるグローブは壁に擦れた影響で大きな穴が開き、手の甲も穴の開いてしまった部分の肉が少し削がれ血が出ている。
一応動くので骨の心配はないようだ……
◇◆◇◆
「う、うぅぅん……」
「大丈夫かティル?……急に動くと危ないからゆっくりな」
ティルが静に目を覚ました。
「ここは……」
「床が崩落してかなり下に落ちたが命は大丈夫だったよ」
「ミナト……その手!?」
「大丈夫、血は出てるが動くから」
ティルは横になったまま、自分の黒綿布ズボンをゴソゴソし何かを取り出した。
「これ、応急用いつも持ってる薬草なんだけ。そんなに効かないかもしれないけどミナトの手に貼っておいてよ」
「ありがとう使わせてもらうよ」
薬草を手に貼ると血が止まり痛みが退いて行く。
ティルも落ち着いてきたようで起き上がる事ができた。
「このあたりは街より暖かいね、オイラこんな下までは来た事ないよ……」
「まぁ何とかなるだろう、二人でウーツ鉱石見つけて帰ろうな!
それに周囲の壁が何だか光ってるように見えるんだが」
「そうだね、オイラも現物は見たのはじめてだけど、自ら発光する鉱石があるって噂は聞いた事あったよ」
「もう少し休んでから周囲を確認してみようか、行動する為の拠点も作らないとな」





