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020軒:アガルタの街の鍛冶師ギルド

――洞窟で迷子になっていたところで採掘中のティル・クルレイマイヤーと出会ったミナト達一行は、ドワーフの街アガルタに入り鉱石を納品すべく、石板の敷き詰められた中央通りはコツコツと軽快に足音を立てながら歩いて鍛冶師ギルドに向っていた。


 洞窟からジオフロントになり拓けたとは言え、地下空間なので日の光はなく各所にランプの光が灯っているが、酒場からの灯りと賑やかな陽気といい匂いがしてくる。


「この時間と言っても時間がよく分かってないが、酒場とか既に活気に溢れてるんだな」

「ドワーフは仕事に打ち込んでる時は食事も忘れるぐらい集中するけど、基本的には昼間っから酒飲んで騒いでるのが好きなんだよ」

 つるはしを担ぎながら俺の顔を覗き込むようにティルが答えてくれた


「鍛冶師ギルドに納品したあと、オイラは工房の父さんにも報告しなくてはだけど、その後よかったら一緒に酒場行く?

採掘した物を運ぶの手伝ってもらったお礼もしたいしさ」

「ボク結構お腹空いちゃったのん」

「まずティルのお父さんと依頼の件で話をさせて欲しいかな……

その後できれば飲む前に宿を見つけておきたい」

「アーチェがマイペースな分、ミナトはしっかりしていて助かるかしら」


「了解だよチャッチャッとギルドに納品して工房に行くんだよ」


◇◆◇◆


 中央通りの突き当り、一際大きい煙突が付いた煉瓦組み建物の鍛冶師ギルドに到着。

中に入るとすぐに炉があるわけではないが、熱気に満ちており見慣れない者への視線とともに押し寄せてきた。


 正面のカウンターにティルと同じぐらいの小柄な女の子が受付として立っている。

「あらティルおかえりなさい。鉱石の採掘はどうだったの?

それに、そちらの方々は……」

「いきなりすいません、俺は一ノ瀬湊(いちのせみなと)、ミナト呼んで下さい。後ろの二人は仲間で……」

「アーチェなのん」

「リヴィーナかしら」

「はい鍛冶師ギルドで受付を担当させて頂いてます……ナーリ・ミョズヴィルです。

宜しくお願いしますね、ナーリと呼んで下さい。ティルとは幼馴染なんですよ」


 ナーリと名乗ってくれた受付の女の子は、水色のTシャツに、淡いベージュの右肩だけにヒモを掛けたタイプの片掛けエプロン、白糸でステッチされたティルと同じ黒綿布ズボンと言う装いだ。


「それでどうしたの?」

「オイラが採掘してたらミナト達が迷子になってて、アガルタまで一緒に道案内したってところなんだよ。

あと、掘った鉱石はミナトが魔法の倉庫(マジック・ストレージ)で運んでくれて……」

「そうなの……では鉱石は下の溶鉱炉部屋で受け取りましょうか」


 そう言って移動した部屋には、耐火煉瓦で組まれ外側を赤土で固められた大きな溶鉱炉が何基か並んでおり、親方(マイスター)職人(ゲゼレ)が張りついて作業している。


「こちらのテーブルか横の地面に置いて下さい」


……言われた通りに採掘した鉱石1メートル四方の木箱5箱分を横に


「たしかに一人ではとても運べない量ね」

「私が見た限りでは納品依頼は問題なさそう、詳しくはあとで手の空いてる親方(マイスター)職人(ゲゼレ)に見てもらいましょう」

「納品依頼達成して後は用事あった?

何もないなら丁度ギルド長が居るから挨拶して行く?」

「そうだな、まだこの街でティルしか面識ないし挨拶させてもらおうかな」

「じゃあ1番炉まで行きましょうか、あちらで職人(ゲゼレ)3人と作業してるのがギルド長ですよ」


「ギルド長、今宜しいですか?ティルの知り合いの方をお連れしたのですが」

「ああ。ここはお前たちに少し任せるから見ておいてくれ。

ようこそ、鍛冶師ギルドに。ギルド長のドゥヴィール・アルドヘルだ」

「俺は一ノ瀬湊(いちのせみなと)です」

「アーチェ・ブロンなのん」

「リヴィーナ・カレードかしら」


「見た所……鍛冶師になりに来たわけじゃないね?」

「はい、ティルに同行してお邪魔させて頂きました。

この後にティルのお父さんのボブ・クルレイマイヤー氏に依頼しに伺う予定なのですが、その依頼でウーツインゴットが必要になるので、インゴット作成時にお世話になるかと思います」

「なるほど、では君たちの事は覚えておいて依頼に来たら詳しく聞こう」

「その時は宜しくお願いします」


ギルド長のドゥヴィールに頭を下げてその場をあとにした。


「これで用件は終りですか?」

「そうですね、ティルの工房でボブ・クルレイマイヤー氏に会いに行こうと思います」

「それではまたのお越しをお待ちしています。ティルお疲れ様」

「ナーリもお疲れ様だよ。オイラ達後で酒場に行く予定だからじゃあね」


……ティルはナーリに何やらアイコンタクトして、鍛冶師ギルドからティルの工房を目指す。

ナーリ・ミョズヴィル

21歳 / 身長148cm / 体重56kg

ドワーフ / 鍛冶師ギルド受付

ティルと幼馴染

水色のTシャツに、淡いベージュの右肩だけにヒモを掛けたタイプの片掛けエプロン、白糸でステッチされたティルと同じ黒綿布ズボン



ドゥヴィール・アルドヘル

53歳 / 身長156cm / 体重71kg

ドワーフ / 鍛冶師ギルド長

水色のTシャツに、白糸でステッチされた黒綿布ズボン、淡いベージュの革に裾に炎のような刺繍入りのエプロン、革手袋、革と黒レンズのゴーグル

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