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002軒:オフィールの街を目指して

――オフィールと言う街へと向かう約束をしたミナトとアーチェであったが


「この残ってる一角猪のお肉勿体ないのん!持って行くのん!」

「……とは言っても俺、何も肉を持ち運ぶ入れ物とか袋持ってないんだよなぁ」

「それなら大丈夫なのん。良い本があるのん♪」

「本……?」

「この魔導書なのん!いっぱい物が入る本なのん」


アーチェが取り出した魔導書は『魔法の倉庫(マジック・ストレージ)』と言うらしい


「この魔法の倉庫(マジック・ストレージ)の中にポポッイッと入れるのん♪」


まだ荷重190kg以上あった一角猪の肉は綺麗に収納されつくした……


「これでしばらくご飯の心配ないのん!」

「その魔導書凄いな俺でも使えるかな?」

「魔力がある大人なら大抵1冊は持ってるのん。

 ミナトもきっと使えるのん。

 でも今はボクこの1冊しか無いから街に着いたら作ってあげるのん」

「それは助かる!」

「でも、その魔法の倉庫(マジック・ストレージ)魔法の倉庫(マジック・ストレージ)の中に予備も入れておけば良いんじゃないのか?」

「そこはなぜか解らないけど魔法の倉庫(マジック・ストレージ)の中に魔法の倉庫(マジック・ストレージ)は入らないのん」

魔法の倉庫(マジック・ストレージ)を収納するには、『永遠の書庫エターナル・アーカイブ』って魔導書が要るのん」

「ボクはまだ『永遠の書庫エターナル・アーカイブ』を作れないので、オフィールの街で作り方を学ぶのん」

「なるほど、アーチェは勤勉で偉いな」

「さてそろそろ街を目指そうか」


◇◆◇◆


 崖の階段を上りアーチェの持っていた地図を頼りに崖沿いを北上する。

途中アーチェの『魔物避けアヴォイド・モンスター』の魔導書の効果で魔物の気配は近くにはなかった。

力の弱い魔導士などには、魔法の倉庫(マジック・ストレージ)魔物避けアヴォイド・モンスターは旅の必須アイテムだそうだ。


しばらくして正面に吊り橋と街道が見えてきた。


「街道に出たのん♪

 ここから東南に向かって街道を進めばオフィールに着くはずなのん」

「そうか、ならここで昼飯にしようか」

「お肉なの~ん♪」


 街道の近くで薪になりそうな枝を集め、アーチェに魔法の倉庫(マジック・ストレージ)の中から一角猪のロースの塊を取り出してもらう。

金剛石の粒入り包丁でロースからヒレの部分を切り分け、小振りにカットして枝に5つ程刺して塩を軽く掛ける。

これをライター代わりに魔導ペンで点火した焚き木で炙り、本日の昼食は一角猪のヒレ串焼きだ。


「シンプルだが美味い!」


 今朝、一角猪のバラ肉を石焼であんなに食べたはずなのに……

肉の焼ける美味しそうな匂いが漂い、時々街道を通る人々が凝視して行く。


これはもしや売れるのではないか……?


「なぁ、二人だけでこの美味い串焼きを食べるのは勿体ないのでないか?」

「ん?ボクは美味しい串焼きを食べれて幸せなのん」

「折角だから道行く人にもお裾分けしようと思うが……」

「ミナトは優しいのん!」


 アーチェがキラキラした眼差しで俺を見てくる。

微妙に勘違いされた……?

しょうがなく商売しようとしていた事は忘れて、道行く人にお裾分けしてみた。


「あんちゃん見慣れない恰好だが、この串焼きは美味いな!」

「お兄ちゃんの串焼き美味しいぃ♪」

「街まで飯を我慢しようかと思ってたが助かったよ!」


 何だかんだで串焼きは20人程に配り、みんなから感謝された。

いい事をした後は気持ちが良いものだ……。


「さて飯も食べたし街を目指すか!」

「目指せオフィールなのん♪」


――東に向かうと脇道と街への分岐点にたどり着いた。


「これを右に曲がれば、もうすぐ街が見えてくるはずなのん」


 分岐点を右に曲がると街道が少し太くなった。

街道の右側には木々が生い茂り惑わせの森が広がっている。

左側は牧草地になっていて黒い牛のような獣が草を食べている。

さらに進むとアーチェが言った通り街の壁が見えてきた。


「なかなか高い壁に立派な門だな」

「ここまで長い道のりだったのん……」


門の前まで来ると警備兵が検問していた。

検問の順番に並んでいると前には先程串焼きを振る舞った何人かが居た。


「あっ串焼きのお兄ちゃん!」

「先程は美味しい串焼きをありがとうございました。」


「みなさんもオフィールに来られたんですね」

「何だが楽しいのん♪」


列に並んで和気藹々と先程の串焼きの肉について話していると


「えっ!?さっきのお肉って一角猪だったの!?」

「そんな高価な物を頂いて……」


どうやら一角猪と言うのは貴重な魔物だったらしい……


「まだお肉いっぱいあるから気にしなくて良いのん!」

「なぜアーチェがそんなに自信満々に……」

「偶然狩れた肉が一角猪ってだけなので気にしないで下さい。」


「そうは言ってもねぇ……」

「お兄ちゃんありがとぉ!」

「まぁ街で会ったら飲みにでも行こうや!今度は1杯奢るぜ!」


そうこうしている内に検問の順番が回ってきた……


「ボクはアーチェ・ブロン。魔導書士の勉強をしに来たのん」

「俺は一ノ瀬湊(いちのせみなと)。アーチェの付添いだ」


「男の方は身なりがボロボロだし見かけない服だし怪しいな。」


俺は建築現場を見学中だった為、デニムのパンツに作業着を着ていた。

それで崖を削って階段を造ったり、一角猪と戦闘したりですっかりボロボロだ


「ミナトは変わった身なりだけど、一角猪と戦ってボロボロになっちゃったのん」


「なっ!一角猪と……」


「これが証拠の角だが」


「うむうむ。確かに一角猪の角ようだな。魔導書士様のお連れだし入っていいぞ」


渋々だがどうにかオフィールの街に入る事ができた。


◇◆◇◆


「アーチェが一緒に居てくれて助かった。

 魔導書士様って言われてたし凄いんだな」

「ボクが凄いの解ったのん♪もって褒めてくれていいのん♪」


……ちょっとアーチェは調子に乗ったらしい。


「街に入ったがどうするか」

「まずは宿を確保するのん」

「俺、この国のお金って持って無いんだ……」

「じゃあ一角猪の残りの肉と、ついでに入れてきた皮も売ってお金にするのん」

「皮とか適当に剥いでしまったが売れるのか?」

「一角猪は貴重だから皮が縦に半分になってても金貨が結構貰えると思うのん」

「ほほう?……じゃあまず売りに行こう」


――街の中でも大き目な雑貨屋に向かうミナトとアーチェ。


「いらっしゃいませお客様」


ミナトの格好を見て少し渋い顔をする店員


「まずこれを買って欲しいのん」


 アーチェは一角猪の肉70kgと皮1頭分をカウンターに置いた。

一角猪の肉はまだ魔法の倉庫(マジック・ストレージ)の中に100kg程入っている。


「こっ……これは、一角猪の……」

「久しぶりに見ました。皮はなめしてなく程度が好くありませんが……」

「肉が金貨17枚と銀貨5枚、皮が金貨15枚で少しおまけしまして……

 金貨33枚でいかがでしょうか?」


査定して貰ってる間にアーチェに聞いた話から

金貨1枚=銀貨10枚=銅貨100枚

金貨1枚=10,000円、銀貨1枚=1000円、銅貨1枚=100円ぐらいな感じだ


「俺はそれで構わないが」

「皮の値段が少し安い気がするのん」


「1枚物なら……では皮は金貨17枚の計35枚でいかがでしょう?」


「それで良いと思うのん」


アーチェは若いがなかなかの交渉術を持っているようだ。

金貨35枚を受け取り……


「次にミナトに服を見立てて欲しいのん」


アーチェがそう言うと何着か服が運ばれてきた……

一般的には貴族は1から仕立て、平民は生地を買い家で作る。

だが、この街では家から出て一人で住む学院生や冒険者の為に、職人が既製服を少し作っているそうだ。


「ブラックバイソンの黒い革パンツに厚手の白い綿シャツ、それにこの茶色いマントを貰おうかな」


冒険者と学院生が着る物をミックスした感じらしい


「結局自分で選んでしまった……自分で着る物だしいいよな?」

「ミナトはなかなか個性的だけど悪くは無いと思うのん」

「……でいくらかな?」


「なめし革のパンツが少々高めで金貨3枚、シャツとマントが合わせて金貨3枚、合計で金貨6枚になります。」

「ではそれを貰おう」


 主にユニ○ロやZ○RAなど、ファストファッションばかり着ていた貧乏学生には高い気もするが、体が資本になる世界で初買い物なので迷わず買う事にする。


「アーチェ、ありがとう良い買い物ができたと思う。」

「どう致しましてなのん」


 早速着替え店を後に、アーチェと共に宿屋へと向かう。

残金は金貨29枚だが……

金貨1枚=銀貨10枚=銅貨100枚

金貨1枚=10,000円、銀貨1枚=1000円、銅貨1枚=100円


残金は金貨29枚、一角猪の角、肉100kg

200カラット(40g)と3000カラット(600g)の金剛石


[ミナトの所持品]

魔導ペン

金剛石の粒が混じった包丁

金剛石の粒が混じった銛

ブラックバイソンの黒い革パンツ、厚手の白い綿シャツ、茶色いマント


[アーチェの所持品]

普通の水筒

魔導書『魔法の倉庫(マジック・ストレージ)

魔導書『魔物避けアヴォイド・モンスター

魔導書『火の弾(ファイアー・ボール)

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