012軒:内郭の混浴温泉「エメラルドラグーン」
――冒険者ギルドにて、白藍のストレートで長い髪に翡翠色の瞳、巨乳でスタイルが良いエルフのリヴィーナ・カレードが護衛として仲間に加わった。
「私の事はリヴィーナと呼んで頂戴。あなた達の事もミナトにアーチェと呼ばして頂くわ。
……それでこの後はどうするのかしら?」
「この後は魔導士ギルドで白の書を購入して、内郭に大きな温泉があると聞いたので行ってみようかと思っています。」
「あら温泉とは……なかなかいいわね」
「ボクも大きい温泉楽しみなのん」
◇◆◇◆
――場所を魔導士ギルドの魔導具フロアに移し、魔導具への付与の依頼に基き『金剛石の粒が混じった包丁と硬化の魔導書』『雑貨屋で買った大き目な革袋と固定の魔導書』を渡しお願いする。
そして、そのままショップで白の書をアーチェに選んでもらう。
「アーチェ、白の書は旅に出てからも使う事あるだろうから、すべての種類を多めに選んで貰えるかな?」
「了解なの~ん。インクも追加しておくのん」
「アーチェは手際が良いのね、優秀な魔導書士さんなのかしら?」
「あぁアーチェはこの若さで優秀だとおもうよ」
「みんなでそんなに褒めると照れるのん♪」
「まぁあまり言うと調子に乗るが……」
「ミナトはまた一言余計なのん……」
「あらあら、それよりも早く温泉に行きましょうぅ」
2人を温かく見守りながらもリヴィーナは温泉がとても楽しみなようだ。
◇◆◇◆
――オフィールの内郭は混浴温泉として有名だった。
混浴と聞いて最初密かに期待してしまったが、湯浴衣を着用するのがマナーとなっている。
外壁は黄色とベージュの中間のような温かみのある色で彩られ、石の柱には女神を象ったような彫刻が施されている。
豪華な装いの宮殿のような建物で麻単衣の湯浴衣に着替え屋外にでると、そこには中庭式の自然の神秘「エメラルドラグーン」と呼ばれる通りエメラルド色の露天風呂と言うか温泉プールが広がっていた。
傷口を癒し美容効果が高く、肌がすべすべになると評判だ。
夜になると各ギルドで仕事を終えた人々が集まり男性率が高いそうなのだが、今はまだ早い時間だったからか貴婦人方が多いように見受けられる……
俺もせっかくなので湯に浸かってみる
「あぁ気持ちいいなぁ……このお湯は少しぬめり気があって、ねっとりとした肌触りで体に染み渡ってくるようだな」
続いてアーチェとリヴィーナが湯に浸かると、2人とも 麻単衣の湯浴衣を纏い素肌が見えている訳ではないが、体のラインが浮び上り何とも色っぽく艶やかだ……。
……俺は思わず顔を火照らせしまいそうになるも平静を保てだ。
「まぁ本当に気持ちがよいわね」
「ポカポカ気持ちいいのん♪」
アーチェはリヴィーナをジッと見つめている。
「ボクのはそんなに浮かないけど、リヴィーナのおっぱいは凄く浮いてる感じなのん……」
お湯の浮力がもたらす豊穣なる浮乳感はまさに神秘の現象……
「湯浴衣を着ていても引っ張られちゃうわね。アーチェももう少しすれば浮くと思うわよ」
「ボクのも浮くのかな……」
アーチェは自分の胸を揉みながら、俺の方に何かを訴え掛けるような表情を向けてくる……
……俺は思わす2人から少し距離を空けてしまった。
「あっちでワインとか売ってるようだから買ってこようかな」
「ボクも一緒について行くのん」
「あらあら、では私はここでお待ちしてますわ」
……ミナトとアーチェは飲み物を買いにいった。
「ちょっとやり過ぎちゃったかしら……
なかなか若い子と打ち解けるには時間が必要そうね」
少ししてミナトとアーチェは色々持って戻ってきた。
「あら、お帰りなさい、何かよい物があったんかしら?」
「食べ物は湯に浸かりながらはダメなそうなんだ。
でも飲み物は大丈夫って事だったから、ワインと花の蜜と葡萄のジュースを貰ってきたよ」
俺とリヴィーナはワイン、アーチェは花の蜜と葡萄のジュースを飲みながら再び温泉に浸かる。
「このワイン、芳醇な味わいで贅沢ね」
「花の蜜と葡萄のジュースとっても美味しいのん」
何もかも忘れて、この贅沢な時間だけが続けばいいのに……
そんな事を思いながら日が落ちてきたので温泉から上がる事にした……
――温泉から上がりロビーで2人と合流。
「そう言えば、リヴィーナってどこに住んでるんだ?」
「私は内郭にある冒険者ギルドの宿舎に住んでたわ。
ギルドの裏手にあって食事は出ないけど、月に金貨12枚ぐらいで住めたから……」
「そうなのか、ギルドの宿舎だからか内郭でも良心的な値段何だな。
俺達は外郭の宿に戻って夕飯にしようと思ってたけど……リヴィーナはどうする?」
「今日は2人の宿にお邪魔しちゃおうかしら」
「そうか、アーチェもそれでいいか?」
「……う、うんなのん」
◇◆◇◆
――3人で外郭の宿へと戻ってきた。
「おかえりなさいませ。」
受付カウンターの女性が挨拶してくれた。
「……203号室の者だけど、今夜は1人増えるんだけど大丈夫かな?」
「生憎満室でして……同室でしたら大丈夫でございます。」
「……どうする?」
「お二人が宜しいのでしたら大丈夫ですわ」
「では、そうさせて頂きますね」
そう言って金貨1枚を受付に渡した。
俺とアーチェの分は前払いしてるのでリヴィーナの分だ。
「毎度ありがとうございます」
……3人で宿屋の食堂はなかなかの活気に沸いている
「お食事でしたらこちらの空いている席にどうぞ。」
給仕担当の女性案内してくれた。
「今夜はブラックバイソンのロースト、ブラックバイソンとホウレン草とカッテージチーズのラザニアがお薦めです。」
「じゃあその二つと何かサラダを貰おうかな……
アーチェとリヴィーナは何か食べたい物あるかい?」
「私は|羊肉とキャベツの煮込み《フォーリコール》が食べたいですわ」
「ボクはミナトが頼んでくれたのぐらいでいいのん……」
……アーチェが少し元気無い気がするが
「それと飲み物に赤ワインの小樽と……」
「私は蜂蜜酒のお湯割りを」
「ボクはロイヤルブルーベリーのホットジュースが欲しいのん」
「ハイでは少々お待ちくださいませ」
「明日なんだけど……」
「ボクは魔力少し増えたみたいだから、明日は『灯りの魔導書』『清潔の魔導書』『魔物避け』『火の弾』『水の弾』の5冊を作っちゃうのん」
「……昼間少し1人で出掛けて来ようかと思ってるんだ」
実は昼間、魔導具ショップを訪れた際に『双方向に瞬間移動できるプレート』を白金貨1枚(金貨100枚)で購入していた。
「アーチェと出会った崖の所まで行ってこようかと思ってるんだけど……」
「あそこに1人は危ないのん」
「『双方向に瞬間移動できるプレート』を購入したから、1人でなら即帰って来れると思うんだ」
「それは確かにそうだけど心配なのん……」
「大丈夫だよ、でも行く前に『魔物避け』を先に作ってもらおうかな」
「崖と言うのがどこか解りませんが私はどうしましょうか?」
「リヴィーナはアーチェの側に居て欲しいと思っている。……アーチェもそれでいいかな?」
「わかったのん……」
……明らかに怪しいと思われてるな……
「お待たせしましたぁ。飲み物とお食事お持ちしました。」
「さぁ食べようか」
「リヴィーナにこれから宜しくと言う事で乾杯!」