010軒:冒険者ギルドへ
――魔導士ギルドから商業ギルドへ行き、アーチェに魔導書を作ってもらい疲れて就寝となった翌日。
それぞれのベットに分かれて寝たはずだった……
寝起きでボーッとしている……が、腕にふわふわして柔らかい感触。
大き過ぎず小さ過ぎずも豊かな胸に包まれて程よく気持ちが良い……
デジャブを感じながら……
……またアーチェが布団に紛れ込んでいるだと!?
今朝もアーチェが俺の腕を抱き枕代わりに抱き着いていた。
俺は何もしてないはずだよな……
「うんん……おはよう……なのん……」
アーチェが横でモゾモゾと起き出した。
……決してロリおっぱい最高とか思ってはいない。……ウソです超好きです。
「お前また俺の布団に入り込んで……」
「だって……こっちの方が暖かくて寝心地いいのん」
アーチェが勝手にベットに忍び込んでくるのは諦めるべきなのだろうか。
「たしか気を付けるって言ってた気がするが」
「細かい事は忘れたのん……ムニャムニャ」
「ハァ……とりあえず起きて朝食を食べに行くか」
昨日は起きたら昼だったが、今朝はちゃんと朝である。
「ほら、アーチェも起きろぉぅ」
「今日は冒険者ギルドに行くんだろぅ!」
「今起きるのん……あと少しで完成だから……」
どうやら半分寝ぼけているらしい。
「今日、自分が冒険者ギルドに登録も一応しようと思ってるけど、密かに護衛してくれる人も欲しいと思ってるんだがどう思う?」
俺は戦闘が得意ではないので、まだ遭遇してないが仕掛けられた罠の発見・解除、魔物の気配を探ってくれるような護衛が一人居ると助かるんだよなぁ
「ほらアーチェ、朝飯食べに行くぞっ」
今度はムクッと起き出した。
「やっと起きたな……」
「今日も元気に頑張るのん……」
まだボーッとしてるようだ……。
◇◆◇◆
――1階に下りて本日の朝ごはん
「じゃあ食堂に行こうか」
「朝ごは~ん♪なの~ん♪」
……食堂へ行くと席はかなり空いていた。
席に着くと昨日と同じ給仕担当の女性がやってきた。
この宿では昼間と夜で給仕担当が別と言うか、夜では給仕担当人数が多くなるが昼間は主に同じ人だけで担当だ。
「何か食べますかぁ?今日の日替わり朝食はブラックバイソンのスモークベーコンとバレ、煮込んだオニオンスープです。」
「朝から贅沢そうですね!」
「アーチェもそれでいい?」
「いいのん♪」
「ではそれを2人分お願いします。」
「お待ちくださいませ」
……少し待っていると美味しそうな匂いが近づいてきた。
「お待たせしました。ブラックバイソンのスモークベーコンとバレ、煮込んだオニオンスープです。」
「朝食も美味しそうなのん♪」
「あぁ美味しそうだね」
スモークベーコンは軽く炙られバレにのせられている。
煮込んだオニオンスープには少量のカッテージチーズがトロリと溶けて実に美味しそうだ。
「今日は食べたら冒険者ギルドに行ってから、魔導士ギルドで白の書の追加を買って、昨日おじさんに教えて貰った内郭の大きな温泉に行ってみようかと思うけど……」
「よいと思うのん」
「じゃあそうしようか」
「御馳走さまでした」
「美味しく頂きましたなのん」
「さて一度部屋に戻って荷物持って出かけようか」
◇◆◇◆
――宿を後にし冒険者ギルドへと向かう。
俺の服装は相変わらず黒牛のパンツに厚手の白い綿シャツ、茶色のマントだが左手に魔法の倉庫が追加された。
アーチェの方は、白大蛇のAラインコートでスカートは見えないが、膝上まである白いロングブーツとの間に絶対領域が良い感じだ。
宿から少し歩いて雑貨屋で大き目な革袋を買いつつ、内郭の門番に冒険者ギルドに行く事を告げ、内郭石畳の中央通りを抜けて行くと……
石造り3階建て魔導士ギルドや商業ギルドより装飾が控え目な建物が現れた。
中に入ってみると、外見は石造りだったが内装は木製床材に壁は漆喰が塗られ、何とも落ち着いた温かみのある室内だ。
入って正面奥にあるカウンターで受付の女性に、はじめてな事と冒険者登録したい事、護衛役になるレンジャーを探している事を伝えると2階の応接室に案内された。
「こちらで少々お待ちください。」
「よく分からないが待ってようか」
「ボクも冒険者ギルドはじめてなのん」
……少し待っていると、
かなり長身のガッシリした体型で左目に傷のある男性が、エプロンをして甘い香りのお菓子を持って現れた。
「どうもはじめまして。ここのギルドマスターをしているハロルド・ウィルズです。
これ今焼いて来たんだけど、よかったら食べて♪」
「わぁ美味しそうな香りなのん♪」
アーチェがお菓子に激しく喰いついた……
「はじめまして。一ノ瀬湊です。ミナトと呼んで下さい。
こっちはアーチェ・ブロンです。アーチェで良いです。」