表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

猫になった主様

「主様。猫は七代祟ると申しますから、長生きしてくださいませ」


 ”はな”はそう言って、俺の頭を舐める。

 仔猫だった俺の前にいきなり現れた時は驚いたが、俺を主と慕う”はな”はそう悪い奴じゃない。

 今は犬のような姿をしているが、犬じゃないってことにしておこう。”はな”は人間の姿で俺を運ぶこともあるから、犬じゃない。


 ”はな”は犬神というものらしい。

 元々は俺と一緒に暮らしていた犬で、犬神にされる時に初めの俺は死んだらしい。

 でも、”はな”が殺したわけじゃない。

 犬神作りに必要な犬を集める時に、命の危険を冒してまで野犬の群れから犬を調達するよりも、身分も何もない人間が飼っていた犬を攫うほうが安全だからと”はな”は狙われ、”はな”を取り戻そうとした俺は殺されたそうだ。


「人間より短い猫の七代でいいのか?」

「猫が祟る時は人間の七代でございまする」

「んな、無茶苦茶な」


 できるか、そんなもん。

 ニコニコと笑顔で俺を見る”はな”に言えない言葉を飲み込む。


 ずっと、一緒にいてやりたい。

 ずっとずっと、俺が死ぬのを見て、生まれ変わった俺を探してくれていた”はな”の望みを叶えてやりたい。

 何回、”はな”は俺と死に別れたのか?

 何回、”はな”は俺と出会ったのか?

 どのくらい、”はな”は俺との出会いと別れを繰り返してきたのか?

 どのくらい、”はな”は俺に、それまでの俺との思い出を話したのか?


 猫の七代でも、人間の七代でもいい。

 これが最後になってくれたらいいと思う。


 それが前世の記憶を持たない俺が願うこと。


「主様、主様。主様の尻尾が二本に増えてます」


 尻尾が増えた?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ