生まれた場所
僕は「アラン」
オルウェイという街で生まれ育った
オルウェイは王都だった…
だった…というのは、反乱が起きたため、もしかしたらもう王政は崩壊したかもしれない
とくに貧しい国ではなかった
むしろ、他国に比べれば少し豊かな国だったかもしれない
でも、それがいけなかったのかもしれない
街の人々は、時間とお金をもてあまし、さらなる贅沢を求めてしまっていた
とうぜん民がそんな状態なら、政治だって怠けないはずがない
政治に有利な法案をこれでもかというくらい、街の上層部の人間が票操作をして通過させていたことが
表立って知られるようになった
それが、のちの…反乱軍結成、そして昨晩からの反乱に繋がってしまった
僕の乗る船は、オルウェイの反対側の街、サンダリアに向かっている
サンダリアは落ち着いた街だから、反乱が落ち着くまで、しばらくはそこにいなさいと
両親が船に乗せてくれたんだった
着の身着のままだったけれど、護身用に、今まで握ったことすらない短剣を
父さんから渡された
本当は、こんなこと、すごく悲しくて、思い切り泣きたいのに
身体に走り渡る鈍い痛みが、それすら許してくれなくて
人目を避けて隠れた倉庫で、僕の意識がなくなるのに、そう時間はかからなかった