登城
僕たち三人は手錠をかけられ、ルイと数人の兵士に連行された
牢のある建物から出ると、そこは信じがたい場所なのだと認識させられた
荒野の中に牢のある建物だけが佇み、遠くにうっすらとすさんだ街並みが見える
「オルウェイに、帰ってきてたんだ」
「なんだって!」
僕のつぶやきに、ランシアがぎょっとして、クリスは俯いたままでいた
そう、そこはオルウェイの外れにある牢獄だったのだ
オルウェイにいた頃、罪を犯し捕まった人々が王城からこの牢獄へ連行されていくのを
何度か見たことがあったのだ
まさか自分がここに連れて来られていたなんて、信じられなかったし、信じたくなかった
そして、軍と僕らの足は確実にオルウェイの街へと向かっていた
軍を動かしてまで僕は連れて来られてしまったけれど、その原因が何なのかを知る機会になるかもしれない
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どうやら、街は完全に鎮静化されてしまったらしい
反乱軍の抵抗むなしく、王国に組みふされる形となったのだろう
行き違う街の人々の表情を見ただけで容易に想像がついた
「なんだか、やべえな」
ランシアの発言通り、街そのものに生きている感覚がなかった
反乱以前よりも状況は深刻になっているようだ
クリスがようやくここで口を開いた
「本来なら、反乱が起きたのであれば結果はどうであれ、王や国の重鎮は国民の声に
耳を傾けるでしょうに…この惨状を見る限り、街の復興にも携わるつもりはなさそうね」
まるで、僕等を連行しているオルウェイ軍の人間やルイに聞こえるような声で
クリスはため息交じりに漏らしたが、軍の人間やルイは反応することなく、僕等を連行した
早く、父さんと母さんの無事を確かめたい
早くランシアとクリスを解放してあげたい
僕はどうなってもいいから…そんな思いで、王城へと足を動かしていった