出逢い
「出ろ」
牢屋の前に来たオルウェイ兵にそう言われ、僕らは牢屋から出された
幽閉されてから何日も過ぎたように思えたし、一時間も過ぎていない様にも思えた
「あの、僕たちはどこに連れていかれるんですか?」
恐る恐る僕はその兵士に質問をしてみた
よく見るとその兵士は教会にやってきた若い兵士だった
「貴様に質問を許した覚えはないがな」
「す、すみません…」
僕と話すその兵士の姿にランシアは驚き、確認するように恐る恐る尋ねた
「おい、お前…もしかして、ルイか?」
「ルイ?…ああ、お前、ランシアか」
ランシアの驚きに反応し、ルイはそう答えた
「ランシア、この人のこと知っているの?」
僕はきょとんとしながらランシアに問う
「ああ、こいつは俺と同じ学校に通ってたんだけど、成績の良さと剣術の強さが見込まれて、王都の軍学
校へ抜擢されたんだ」
でもまさか本当に兵士になっているとはな、とランシアが最後に付け加えたのを、ルイは鼻で笑って見せた
「ふん、僕はお前のように授業から逃げ、学校から逃げ、世間から逃げたわけじゃないからな」
その挑発に、まだ心が幼いランシアはカッとなってルイの胸元を掴んだ
「てめえ、なに言ってんだ、ああ?」
クリスと僕がそんなランシアをすぐに食い止める
「止めなよランシア!ここでそんなことしたら…」
二人の間に割り込み、ランシアを制止する
ちっとランシアは舌打ちをしてルイから離れた
「まったく、俺たちが必要としているのはティルキスの子息だけだと言うのに、余計なのが二つもついてきたな」
よほど、不満があるのか、ルイと呼ばれた男は愚痴をこぼし続けている
ランシアはともかく、クリスに対して「余計なの」はひどいと思う
人質にして連れてきたのだから、そんな言い方はないと、僕は内心思っていた
しかし、当のクリスは先程から黙ったままだ
僕が目配せしても、口を開く様子はなく、ただじっと立っている
そして、そのうち僕らは連行されていく
何人もの兵に、まるで重罪人かの如く囲まれて、見知らぬ場所へと連れていかれるのであった