エメレンドとの思い出
「エメレンドさんって、どんな方でしたか?」
「えっとな…」
~200年前~
「エメ、またここで魔術研究に没頭しているのか」
「えへへへ」
この無邪気で魔術の研究熱心なのはエメレンド・アリシア。魔法学校を最年少で首席で卒業し、今は王国の研究所で働いている。エメレンドは二属性の魔法が使え、魔力が豊富でさらに威力も凄まじい。王国一の魔法使いと言われているが、本人と家族の希望で研究所で働いている。災害時には戦いに参加をと王国から要請があり、臨時の魔法騎士団員もしている。
「私、魔法で水と雷しか使えないでしょ?本当は回復魔法が使いたくて魔術の研究をしてるの」
エメの自宅の研究部屋には大量の書籍が積まれ、様々な魔物の素材や薬品が置いてある。この部屋は魔術専用の離れの小屋で何とも言えない匂いが漂っている。
「二属性だけでも十分すごいけどな」
「回復魔法が使えた方が大切な人が危ない時に助けられるじゃん。今、個人で蘇生の魔術を研究しているの」
「それって禁忌じゃん」
この王国では蘇生魔法や魔術は禁忌とされている。過去に蘇生の魔術や魔法の研究でアンデッドが大量発生し甚大な被害が出たことがあるため禁止になっている。エメは王国の研究所では魔術での呪いの解除方法や常に新しい攻撃の魔術が出てくるのでその対処方法の研究をしている。
「見てて」チョークで魔法陣を描いた上に息絶えた吸魔コウモリを置く。その上に翡翠色をした魔石にエメは魔力を注いでいく。すると息絶えた吸魔コウモリがじわりじわり動き出した。
「じゃん!すごいでしょ」
「じわりじわり動き回って、まるでゾンビじゃん」
吸魔コウモリは少し動いてしばらくすると動かなくなった。
「まだこの魔術は未完成なんだよね。お父様や王国には内緒ね。知られたら大変なことになっちゃうわ。ねえ、リンド。王国の閲覧制限がかかっている書物を読みたいんだけど。ダメ?」
「駄目に決まっているだろ!どうせ昔の禁忌の魔法とか珍しい魔法が見たいんだろ」
「そこを何とか王族の力で」
「駄目だ。エメに見せたらとんでもない事件になりそうだ」
「リンドさん、リンドさん」
ミーナの声で我に返った。 200年前のエメレンドとの懐かしい思い出に浸っていた。
「ああ。すまない。エメレンドは天才で努力家の魔法使いだったよ。凄まじい魔法を使うし、知識も豊富だ。魔法だけでなく魔術にも精通していてな」
「あっ!確かエメレンドさんが書き残した資料が家にあります」
「何!エメレンドの資料が」
リンドさんはすごくエメレンドさんの資料を見たそうにしていたが、私が家に帰れないからな。いつか見せてあげられたらいいな。




