本で衝撃事実を知る
リンドさんと夕食を食べそれぞれの部屋で本を読む。私は大魔の渦に関する本を読む。読み進めるとリンドさんの言っていた通りヤーコス付近の山頂、ライトネルの海上に渦が発生し魔物が町に押し寄せ甚大な被害が出たそうだ。ミトリア近くも渦が発生し火山が噴火。北の森と渦の魔物が押し寄せ甚大な被害が出ると思いきや、第二部隊魔法騎士団長リンド・カルテット、大魔法使いエメレンド・アリシアなどの大活躍により被害が少なく済んだそうだ。リンドさんの名前が載っている。身近な人が本に載っていたので胸が熱くなった。リンドさんにこの本を見せよ…。えっ…エメレンド・ アリシアってリンドさんと繋がりがあったんだ…。
リンドさんは本の虫になっていた。ここ数日は近くでご飯を買って、食べ終わるとまたすぐ本を読んでいた。
「リンドさん、大魔の渦の本に名前が載っていましたよ」
「そうだろ?俺、死ぬ気で頑張ったもん」
本を見せるとリンドさんは喜んでいた。
「このエメレンド・アルシアさんって仲良かったんですか?」
「ああ。エメレンドね。俺の婚約者だったからな」
「えーーーーーーーーーっ」
思わず大声が出た。
「そんなに意外だった?エメレンドの活躍についての書籍はあるんだけど、大魔の渦の後は書いてないんだよ。お墓参りもしたいし、情報がなさすぎて困っているんだよ」
「……………です」
「ん?声が小さすぎて聞こえなかった。もう一度言ってくれないか」
「私の実家のお墓です」
「はーーーーーーーっ?」
リンドさんも大声で驚いていた。お互い驚きすぎて少しの間、沈黙が流れていた。
「ちょ…ちょっと待って。今、俺、動揺してるからな」
リンドさんは深呼吸をして気持ちを落ち着かせている。
「ミーナはエメレンドの子孫なのか?」
「血は繋がっていますが違います。私はエメレンドさんの弟の子孫です。エメレンドさんは若くして独身のまま亡くなったと聞いています。死因は分からないですけど」
「イエスタの子孫か」
リンドさんは私をじーっと見る。
「じゃあ、ミーナの実家ってもしかしてアルシア伯爵だったりする?」
「はい。本名はミーナ・アルシアです」
リンドさんが言うには私の実家は200年前は子爵だったみたいだが大魔法使いエメレンドやアルシア家一族の大活躍により伯爵になったそうだ。
「マジかぁ。200年前のミーナの一族はすごかったぞ。みんな魔法の武闘派集団みたいな感じで。もしかして今も?」
「はい。父は王国の魔法大臣で、私の一族は強いです」
「マジかぁ」
リンドさんは頭を抱えた。
「前、密猟者襲撃の時からたまに魔力探知をかけているんだけど常に二つの魔力探知が消えたりついたりずっとしているんだよ。あちらから何もないから様子を見ていたんだ」
「それって…」
「そうだよ。ミーナの父さんが誰か雇っているかもな」
「えっ。それって私を実家に連れ戻すってことですか?」
「可能性はある。普通に子供が家出したら心配するだろう」
「私はまだ結婚したくないです」
そう、私は人助けがしたくて家を飛び出したが当時婚約者がいた。相手は子爵家の次男で、リンドさんと同じく二属性の魔法が使える希少な人物。魔法学校を卒業してすぐに結婚だったため卒業してすぐに家を飛び出し、教会に入る。リンドさんには今までの経緯を話した。
「なかなか勇気ある行動をするな。あちらから何もなければこのままでいいんじゃないかな。もし、あとをつけている相手がアルシア家で変に刺激するとミーナの父さんが出てくるかもしれないし。常に俺の立場は危ないな」
リンドさんの目的のエメレンドさんのお墓参りはこの旅の最後にすることになった。私の実家はアルシアという町で父に代わって年の離れた兄が領主をしている。そこは町に入ってすぐに大魔法使いエメレンド像があり、町外れにお墓がある 。今いるライトネルからは真反対でかなり離れている。私の家出のこともあり連れ戻されそうでアルシア領には近づけない。




