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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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ミーナ拘束される

翌日の夕方、リンドさんと食料品店で保存食を購入し店を出る。


「そこの君。何でこんな変なねずみのやつと一緒にいるんだ?」


昨日、夕食時にこちらをチラチラ見ていた男が話しかけてきた。


「同じ冒険者パーティーなので。失礼します」


すると男が腕を掴んできた。


「やめてください」


振りほどこうとするが離してくれない。


「女性が嫌がってるじゃないか。やめなさい」と、リンドさんが男に一喝する。


「これを見ろ」


貴族を証明する紋章入りのバッジを見せてきた。


「俺は貴族だ。たかが平民と遊んでもいいじゃないか。お金がないなら買ってやるぞ?こんな小さな町でもべっぴんはいるんだな」


男はニヤニヤする。この状況にどうしようと考えてるとリンドさんが


「バカ、アホ、マヌケ…〇×△〇×△」


と男の悪口を言い始める。


「貴族をバカにするな」


男は懐から刃物を取り出した。


「貴族だからって威張ってんじゃねえぞ。バカ」


リンドさんは男を挑発する。


「痛い目にあっても知らないからな」


男は震える手で刃物を持ってリンドさんに襲いかかる。私はとっさにガードの魔法をリンドさんまでかける。すると男は弾き飛ばされ尻餅をついた。


「いててて…あっ…血が出ている」


尻餅をついた男を見ると指先から血が出ている。


「ただガードの魔法で弾き飛ばされて、指に刃先が当たっただけだろ」


大げさだとリンドさんは言う。


「騎士団さん、騎士団さん。僕、この女に刃物で切りつけられました」


男は大声だし騒ぎ始める。騒ぎを聞きつけた騎士団員が到着する。


「何がありましたか?」


「聞いてくださいよ。この女が僕を刃物で切りつけたんです」


騎士団員に少量の血がついている指を見せる。


「これは…」騎士団員が私を見る。


私は今までの経緯を話す。騎士団員がこの事態を丸く収めようとしたが、男は引き下がらない。


「僕はトートン・ギャラスと言って、子爵家の嫡男なんだ。平民が貴族を襲ってもいいのか?僕はあのライトネルの領主と親戚だぞ」


騎士団員は困惑しながら「分かりました」と言って私を捕縛用のロープで縛りつける 。


「ハハハ。ざまあみろ。僕の言うことを聞くんだったら示談にしてあげてもいいかな」


「君達は一体何をしてるんだ?」


誰かが呼んだのだろう。領主のバタールさんが出てきた。


「この女が僕を切りつけたんだ」


「ミーナさんはそんなことしない」


「見てないなら強く出れないよね?」


バタールさんはギャラスという男を睨みつける。バタールさんの力ではどうする事も出来ないらしい。私は結局ヤーガンの騎士団本部の牢に入れられた。


「通行人からの聞き込みであなたが切りつけていないという証言があります。しかし相手が貴族でしかもライトネル領主と親戚となると。こうするしかありません。すみません」


騎士団員は頭を下げて謝った。


「気にしないでください。あいつが悪いです。あの、ねずみの被り物をした人は?」


「さっき出掛けられましたよ。色々と手を打つからそのままにしてくださいと言われました」


あのギャラスって男は権力を傘にしてサイテーなやつだ。人を見下し誰も逆らえないヤーガンに来たの?


この王国だと犯罪の種類によるが軽犯罪だと鞭打ちの刑や重労働などがある。まれにお金で解決したりするケースもあるがリンドさんはどうするのだろう。あのギャラスという男の言いなりや鞭打ちも嫌だし。考え込んで、夜はあまり眠れなかった。それから四日間この牢で過ごす。


「ルポルテさん、もうここから出ていいですよ」


牢から出ると、まさかのマキシルさんがいた。


「待たせたな。とんだ災難だったな」


なぜマキシルさんなのかと疑問に思っていたらマキシルさんが話し出す。


「ミーナさんがこの牢に入っている間、リンドさんがヤーガンで馬を借りて駆け足でラップルに来て、ミーナさんを助けてほしいと訪ねて来たんだよ。俺もな一応家が子爵家でコレ。伯爵家のベガーさんの嘆願書を持ってきたよ。ギャラス君にさっきお話ししたら訴えを取り下げてくれるって。ミーナさん、これで大丈夫だよ」


「ありがとうございます。あの男、ライトネル領主と親戚だそうですが大丈夫ですか?」


「あー、それね。俺、ライトネルの領主と元々仲が悪いんだ。気にしないでくれ。俺やベガーさんはミーナさん達に恩があるからさ。お互い様ってことさ」


みんなの優しさに涙が出そうになった。


騎士団本部から出ると顔がボコボコに膨れ上がったギャラスが震えながら立っていた。これってお話し合いじゃないよね。


「ミーナさん、この度はすみませんでした」


ギャラスが深々と頭を下げる。


「次やったらただでおかねーぞ」


マキシルさんが叫ぶとギャラスは逃げるように去って行った。


「リンドさんは今どこに?」


「リンドさんは日光に弱いから、休み休みでこっちに来てるから遅れて来るよ。今日の夜くらいに着くんじゃないかな」


「じゃあ」と言ってマキシルさんはポニソンに乗って猛スピードで走り去った。今日は周りの人に助けられて本当にありがたい。リンドさんがいつ帰ってくるか分からないので、私とリンドさんの宿を取っておいた。すれ違いになってはいけないので日が沈み始めてヤーガンの門で待つ。するとリンドさんと鞄に入ったクウが馬に乗って現れた。


「ミーナ、釈放されたんだな」


「本当にありがとうございました」


クウは尻尾を振って私に飛びに乗ってきた。ギューっと抱きしめ毛をわしゃわしゃするととても喜んでいた。


バタールさんもギャラスの件で掛け合ってくださったので報告とお礼を言いに自宅へ。


「私の力不足で申し訳ない。マキシル君がヤーガンに来てギャラスをボコボコにしたそうじゃないか。騎士団員が止めても貴族同士の喧嘩だ。止めないでくれと言ったそうだよ。キャラスも今回の件で懲りてくれるといいね。まぁ、ライトネルとラップル、サーマン辺りで何もないと良いけど」


パタールさん宅を出て、リンドさんと話し合い今日は宿に泊まり明日出発することになった。次は大都市ライトネルだ。とても楽しみ。

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