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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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山の幸に乾杯

翌日の夕方。私とリンドさんとクウと明日の出発に向けて道具屋と食料品店で必要なものを調達。その後はレクトさんからの手紙の確認のため冒険者ギルドに向かう。


「手紙が届いているか確認をお願いします」


ギルドの受付の女性に冒険者カードを渡す。受付の女性はカードを魔道具にかざし部屋の奥へ行った。


「はい。こちらになります」


レクトさんからの手紙を受け取る。ギルド内に設置されているソファに座り手紙を開いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミーナさん、リンドさんへ


無事に旅を続けていますか?僕はトマットとランデルとまだサーマンで仕事をしています。もうしばらくかかりそうです。ライトネルに着いたらライトネルの冒険者ギルドに連絡をお願いします。まだ別れて数日しかたっていませんが、トマットがやらかした話など積もる話がいっぱいあります。またみんなでご飯でも食べに行きましょう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



レクトさんからの手紙は三日前に発送されたものだった。


「なかなかレクトたちは仕事が忙しいんだな。ライトネルで会えると良いな」



ヤーガンに行くための詳しい地図を購入し掲示板を見る。ヤーガンに向けての掲示板は特になさそうだ。私達は冒険者ギルドを出た。


「ミーナこの後、ご飯食べに行く?」


「はい!私、気になるお店があるんですよ。行きましょう」


リンドさんを引き連れお店に行く。


「山の幸 クウカイ?」


「前、道具屋さんでおすすめのお店を聞いたらここがいいと聞きました。山の幸は山菜や熊の魔物、猪の魔物など山に住む魔物や動物の料理を出すお店だそうです」


「ほう」リンドさんは興味深そうにお店を見ていた。中に入ると多くのお客さんで盛り上がっていた。


「結構多いですね」


「いらっしゃいませ。今、営業している飲食店がここしかないので多いんですよ。珍しい料理がたくさんありますのでぜひ食べてください」


店員さんに案内され席に着いた。クウも大丈夫ということでクウをカゴに入れておく。メニューを開くと山の幸の料理がたくさんあった。おすすめは熊の魔物のベアコイルの鍋とイノシシの魔物のイノガーの串焼きセットとのこと。


「ハッハハハハ」


近くの席からから聞き覚えのある威勢のいい大きな声が聞こえた。席の方を見るとギルドマスターのマキシルさんが男の人と飲んでいた。


「俺達がサーマンを出た時はまだ町にいたよな?」


「早すぎますね」


マキシルさんはリンドさんの目立つ風貌に気づき話しかけてきた。


「皆さん、また会いましたな。こっちで一緒に飲みましょう」


マキシルさん達は単品の料理を何個か注文して色々な料理を味わっていた。お店の人に席を変わることを伝え、マキシルさんの席で一緒にご飯を食べることにした。


「マキシルさんはいつこの町に?」


「俺は用事があって、ポニソンで飛ばしてさっき来たよ 。いつ用事があるかわからないからお酒が飲めねえんだ。これジュースな」


私達はまだ注文していなかったのでリンドさんはイノガーの串焼きセットと私はベアコイルの鍋を注文することにした。


「こちらはこの町の領主代理のベガー・ ウェント殿だ」


「ベガーと呼んでください。面白いねずみの被り物だね」


ベガーさんはリンドさんの被り物に興味津々。水を飲む際、被り物の口が開いた時は目を輝かせて見ていた。 話は私達の旅の話になる。


「大魔の渦は僕が知っている限りだけど。大魔の渦の前年は不思議と作物が豊作で魚介も大漁になると聞いたよ。 あとヤーガンに行く途中の山岳に魔物の渦の発生場所があって昔、多数の犠牲者が出て石碑があるんだ」


さっき購入したヤーガンまでの詳しい地図を広げ、ベガーさんに詳しい場所を教えてもらった。


「ヤーガンまでは登山用の靴を用意した方が良いよ。 ルートによっては険しい道になるからね。靴がなくても魔物で作った靴ずれ防止や滑り止め防止の道具もあるよ」


ベガーさんにヤーガンまでの詳しい道などを教えてもらった。明日お店で靴を見てみよう。


「お待たせいたしました。イノガーの串焼きセットとベアコイルの鍋ですね」


私達が注文した料理が運ばれてきた。イノガーの串焼きセットはイノガーの串焼きにパン、スープがついている。イノガーは分厚いお肉に香味が効いたタレがかかっていて美味しいそう。私が頼んだベアコイルの鍋はベアコイルのゴロッとしたお肉と野菜が煮込んでいる。実際食べてみるとお肉の脂が乗って美味しい。スープはあっさりした味付けだったがベアコイルの旨味が出て味わい深い。


クウを見ると物欲しそうにずっと私達の顔を見てしっぽを振っている。私のベアコイルの鍋をクウが食べる分だけ木のお皿に取り分けておいた。冷めたのを確認し、クウにあげる。これまた勢いよく美味しそうに食べていた。


「そのハッコンは尻尾が三つあるな」 マキシルさんが聞いてきた 。


「そうなんです。母親のハッコンは尻尾は一本だったのですけど突然変異ですかね?」


ハッコンについて話していると考え込んでいたベガーさんが話し出す。


「このラップルに八尾(はちび)キツネっていう希少な魔物がいるんだ。八尾キツネは見た目がハッコンだが尻尾が八本あるんだ。もしかするとこの子のお父さんが八尾キツネだったりして」


八尾キツネは空を飛んで風を操る魔物らしい。このクウは一体どんな風に成長するか楽しみになってきた。空を飛べるなんて考えると、とてもワクワクする。



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