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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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ハッコンの子供

リンドさんと夜道を歩いていると、横たわっている人を見つけた。急いで駆けつけると男性が四人。魔物に所々食いちぎられたような跡があった。生存確認をすると誰も息をしていなかった。


「これは事件性があるかもな。ラップルに行ったら騎士団に報告だ」


よく見ると近くに引きずった血の跡がある。血を辿っていくと大きな白いきつねの魔物のハッコンとその子供が銃に撃たれて倒れていた。


「もしかしたら密猟が関係あるかもな」


リンドさんはこのハッコン親子をみていく。


「この母親の方はだめだな。子供の方はまだ息があるぞ!ミーナすぐ回復魔法だ」


魔物に回復魔法をかけたことがないので試しに魔法をかける。


「フルフィル・ヒール」


子供のハッコンにかけていくと、みるみる傷口が塞がってきた。回復魔法が魔物にも効果があることに驚いた。


「ハッコン頑張って。もう少しの辛抱よ」


苦しそうに横たわっているハッコンに回復魔法をかけ続け傷口が完全に塞がった。ハッコンの子供は起き上がり、すぐさま母親のところに駆け寄る。「クゥ」と何度も鳴きながら母親の体を掻き続けていた。


「 可哀そうだな」


「そうですね」


しばらくその光景を見ていた。もう少し早ければと思うと、くやしくて居たたまれない。


「このハッコンの子供はどうする?このままだと、この子は生きていくのは難しいだろうし」


母親のハッコンも生きていればそのまま野生に返してあげられるのに。


「そのままも可哀そうだし、ハッコンの子供を引き取るか?」


「そうですね」


ハッコンの母と子と引き離すのは可哀そうだが、この子を放置するのも可哀そう。一緒に旅をしてもう少し大きくなって野生に返すか一緒に旅をするか決めることにした。母親のハッコンは騎士団に報告の時に見せるのでそのままにしておいた。せめてものことで近くにあった野花を摘み手を合わせた。ハッコンの子供は終始「クゥクゥ」と鳴いていた。


「ところでハッコンの子供って何を食べるんだ?」


「分からないですけど、きつねは雑食ですし、子供だからミルクか柔らかい食べ物ってところですかね」


とりあえずお皿にミルクをあげてみる。ハッコンの子供は美味しそうにミルクを飲み干す。こっちを見て「クウ!」とミルクをおかわりと言わんばかりに大きな声で鳴いた。再びミルクをあげると飲み干し満足そうに口の周りをペロペロしていた。


「お腹が空いてたんだね」


「そうだな。ミルク好きそうだな」


可愛いハッコンの子供の飲みっぷりに笑みがでる。


「名前はどうする?さっき元気よくクウって鳴いたからクウにする?」


リンドさんと話し合い名前はクウに決まった。よく見ると尻尾が三本ある。母親は一本なのに突然変異?リンドさんと首をかしげながらラップルに向けて歩いた。


クウは白く毛がふさふさしてとても可愛らしい。気持ちよさそうに腕の中に包まれている。けれどもずっと抱っこをして歩くと腕が疲れてきた。


「クウの抱っこを変わってもらえますか?腕が疲れてきちゃって」


リンドさんに代わってもらった。リンドさんの筋肉でゴツゴツした腕が気に入らなかったのか腕をすり抜けて肩に乗った。ねずみときつねが並んだ光景に少し吹き出してしまった 。


「また変なこと考えただろう」


「変なくしゃみですよ」と、ごまかしておいた。

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