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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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孤児院

孤児院に行くと優しそうな中年の女性が出迎えてくれた。


「今日は来てくださりありがとうございます。私はここの院長のルールーと申します」


お互いに自己紹介を済ませルールーさんに応接間に案内された。


「綺麗なお二人が来られて子供達が喜びますわ」

とルールーさんに言われ、ランデルさんは苦笑いをした。早速、今日の計画の打ち合わせを始めた。


「レクトさんの話によれば犯罪グループは子供達が寝静まった頃にやってくると聞きました。今日は礼拝堂で子供達を一箇所で寝かしつけます」


ルールーさんから礼拝堂に案内をされた。20人の子供達を一箇所で寝かせるにはここしかないそうだ。窓がたくさんある広い部屋。侵入経路は多そうだ。しかしながら別々の部屋に寝かせると見守る人員が必要になってくる。ルールーさん以外の他の職員は危険があるため夕方以降はお休みさせるようだ。


「子供達と慣れた方がいいと思うのですが、子供達に会われませんか?」


ランデルさんと返事をし、子供達のいる教室に行く。


「皆さーん、お話があります。今日、新しい先生が二人増えました。こちらがミーナ先生とランデル先生です。皆さん仲良くしてくださいね」


「はーい」


ルールーさんの呼びかけに子供達の元気な返事が聞こえた。早速、私やランデルさんの周りに子供たちが集まった。見る限り子供達は2歳から10歳の子供が15人程度。もう少し大きい子は働きに出ている子もいるそうだ。「先生二人とも綺麗」「ランデル先生って男の名前みたい」 「ランデル先生の腕とっても硬い」など子供達からもみくちゃにされながら、なんとかその場を凌いだ。


「先生達って、もしかして助けてくれた人?」


一昨日助けた女の子もいた。


「あの時はありがとうございました。ミーナ先生から貰った桃のタルトとっても美味しかったです」


聞けば20人で分けたので、少ししか食べられなかったが、みんなとっても喜んでいたみたい。


帰りはランデルさんと昼食を買いに町中に出向いた。相変わらずお祭りで仮装した人で溢れ、愉快な音楽が響き渡っていた。 私はランデルさんからはぐれないようになんとか食材を手に入れた。よくよく考えると夜に計画を実行するので夕食分とリンドさんの分も含め多めに購入した。ランデルさんを見ると両手いっぱいに食材を抱えていた。部屋に戻ると昼食を済ませ、今夜に備えて仮眠を取ることにした。リンドさんは薄い毛布にくるまりよく寝ていた。


夕方になり目を覚ますと、リンドさんはすでに起きていた。「ミーナ起きたか。今夜の計画を聞かせてくれ」


お昼に買ったサンドイッチやお肉の串焼きなどを頬張りながら計画を話した。


「 ミーナとランデルさんは職員として普通に入れるが、レクトさん達や俺が普通に孤児院に入って行くと犯罪グループに警戒されるんじゃない?」


「大丈夫です!箱に入ってもらいますから」


「箱?」


午後6時にレクトさんの部屋に向かった 。すでに業者の人が来ており、木箱が用意されていた。


「俺達、この箱に入るのか?この蓋のついてる取っ手って何だ?」


リンドさんが頭を傾げる。


「これは相手から蓋を開けられないようにするためです。奴らの声がしたらしっかり取っ手を握って蓋を開けられないようにしてください。穴が空いているので呼吸は大丈夫です」


レクトさんは説明を続け、

「この木箱は東の窓近くにリンドさん、西の窓近くに僕。裏の勝手口近くにトマットを配置することにしたよ。犯罪グループが襲撃した音が聞こえたら、直ちに犯人をできれば捕獲。あとミーナさんとランデルは子供の安全をお願いする」


説明が終わると私とランデルさん以外の男衆は木箱に入り馬車に積まれ私達と一緒に馬車で向かった。孤児院の敷地の外に怪しい男が二人ほどうろついていた。業者には所定の位置に木箱を置いてもらった。木箱が目立たないように外には色々な他の木箱や物を置いてもらっている。勘が鋭い人がいれば怪しまれるかもしれない。


ランデルさんと一緒に孤児院に行きドアをノックする。ルールーさんが出てきた。


「他の職員の方に危害が加えられたら困るので帰ってもらいました。ミーナさん、ランデルさん今日はよろしくお願いします」


ルールーさんは深く頭を下げた。


部屋に入るとパジャマに着替えた子供達が

「ランデル先生とミーナ先生だ!」と大はしゃぎをしていた。子供達の就寝はいつも複数の部屋で別々に寝ているようだ。今日はみんなと一緒に寝れるという事で気分が高揚している。走り回っている子供達もいたので、ルールーさんに注意をされつまらなそうに薄い布団に入った。しばらくすると子供達は寝息を立て、少し前まで賑やかだった礼拝堂が静かになった。

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